~木づかい運動で林業活性化!~東京の森林・林業(下)
みなさん、こんにちは。林務担当です。
木材価格の低迷等による林業活動の停滞。
それが、現在の林業の実情です。
しかし、林業活動をしなくなれば森林が荒れてしまいます。
そして、それは巡り巡ってみなさんの生活にも影響してくるのです。
どうしましょう?
もっと、もっと木を使いましょう!
国産材の需要が増えれば、林業も活性化するし、森林も適切に管理されます。今回は そんなお話。3部構成の最後の記事、解決編です。
前回までの記事を見てない方は、こちらからどうぞ。
1.森林の手入れ
森林は、適切な手入れが行われないと荒れていきます。
幹も根も十分な成長ができず、もやしのように細い木が混み合い、地面に光が届かないため草が生えず土がやせます。
すると、森林の多面的機能が十分に発揮されず、
洪水・渇水、災害の発生や地球温暖化の進行などが生じ、森林の近くに住んでいない人にも悪影響が及びます。
昔は、家の近くにある森林(里山)は必然的に手入れがされていました。
薪炭を煮炊きや風呂の燃料として使っており、森林はエネルギー源として日常生活で利用されていたからです。
燃料革命以降、日常生活の中で人は里山に入ることが殆どなくなりました。
だから、東京都などが公的関与しない限り、林業をする人がいなくなれば、もう森林の手入れをする人がいないということになります。
現在、林業の担い手が減り、全国的に森林の荒廃が問題になっています。
2.森林の循環
森林の荒廃を防ぎ、多面的機能を十分に発揮させていくためには、継続的な森林の循環が重要となります。
森林の循環とは、森林を伐採し、木材販売の収益によって新たに苗を植えて森林を造り育て、十分に育った森林を再び伐採し利用するという
「伐採→利用→植栽→保育→」の林業活動のサイクルです。
この森林の循環が上手く回ることで、森林は健全に保たれます。
しかし、東京都では長らく森林の循環が停滞していました。
木材価格の長期低迷などから、木材販売による収益が得られず、また得られたとしても、新たに苗を植え数十年間手入れする経費を賄えないためです。
ちゃんと育てようとすると物凄く手間とお金がかかります。
大きく育った樹があっても伐採せず、伐採しないから収益もなく、新たに苗を植えられないので、林業活動が縮小していったのです。
そんな状態をなんとかすべく、東京都は、
伐採に適したスギ、ヒノキを地主さんから買い取った上で伐採し、伐採した跡地に花粉の少ないスギ、ヒノキ(花粉飛散量100分の1)を植栽するなど、公的関与により森林の循環を促しています。
この成果は着実に現れていますが、(多分 花粉も減っているはずです)
将来的には民間主体で森林の循環が進められることが望ましく、そのためには国産材の需要拡大が不可欠です。
木材需要があれば安定的な収益が得られ、林業活動に還元されて、また森林を造り育てることができるようになります。
3.多摩産材を使おう!
ただ、国産材の利用が拡大しても、東京都産の木材の利用が拡大しないと、都内の林業活動は活発化しません。
ですから、
私たちとしては東京の木『多摩産材』をみなさんに使って欲しいのです。
多摩産材とは、東京都(多摩地域)の森林で育てられた木材のことです。
写真は、三宅島の坪田地区で施工した治山工事の現場です。
東京都では、このように公共事業や公共施設などで積極的に多摩産材を活用し、PR活動等にも取り組んでいます。
みなさん、多摩産材にご興味おありでしょうか?
多摩産材を使った家具・木製品や家に関する学習会や現場見学会については、次の「TOKYO GROWN(外部サイト)」をご覧ください。
当サイトには、多摩産材以外にも、東京の農林水産物についての情報が満載ですので、是非他のページも見てくださいね。
また、林野庁が展開している「木づかい運動」(外部サイト)の下記HPに、
国産材製品マーケットやコラムなどを掲載している「ウッド・チェンジ 特設サイト」や、木づかいの情報がつまった「木づかい.com」などのリンクがあります。
特にウッド・チェンジ 特設サイトでは、色んな国産材製品が注文できます。
国産材製品にご興味のある方は、是非ご覧ください!
(林野庁HPでウッドチェンジ特設サイトのリンクを開くと、楽天市場に飛びます。)
その他、木づかい運動の各資料も是非ご覧ください。
今回の記事は、以上で終わりです。
3部作最後までお付き合いありがとうございました。