中学入試 国語読解法 その3 説明文(論説文)の読解のしかた ② 形式段落と意味段落
a 形式段落
行がかわりひとマス空いているのでどこが区切りかはすぐにわかります。ひとつの内容のまとまりです。著者は読む者に自分の意見や考え、伝えたいことをよりわかりやすく述べるために形式段落ごとに文章を区切ります。ですから、読む側は、形式段落ごとに「何が書いてあるのか」を読むようにすべきです。
その際、注意すべきことは、その形式段落が全体の流れの中でどんな役割をしているのかを確認しながら読むことです。
1 導入の形式段落 どんなことについて書こうとしているのか、どんな考えを述べようとしているのか、著者がこれから述べようとしていることの書き出しの段落。
2 具体例を述べる形式段落 著者の言いたいことの背景になる具体例をいくつか例示したり、事実や、実験や観察の結果などを述べている段落。
3 主張や意見を示す段落 筆者の言いたいこと、説明したいこと、考えなどが示されている段落。
4 反対の意見を示す段落 異なる立場や反対の意見を示すことで、より明確に筆者が言いたいことや説明したいことをはっきりさせるための段落。
5 接続の段落 全体の流れの中で、それまでと違ったトピックに移る時に、それまでの内容をまとめたりすることでスムーズにつぎの段落にうつるための段落。
6 結論の段落 ふつうは文章の最後にあり、まとめや結論を示す段落。
これらはわたしがまとめた形式段落ごとの役割です。こうしてこの形式段落はどんな役割をしているかを考えながら読むことはとても大事です。
b 意味段落
さて、形式段落をその役割ごとに理解しながら文章を読んでいくと、それらの形式段落がいくつか集まってまた別の役割をしていることに気づくはずです。それが意味段落です。意味段落はまれに一行あいていたりすることもありますが、明確にここが切れ目ですというものはありません。また、入試問題などでは「意味段落の区切り」を問われることも多いです。
それではどうすれば意味段落の区切りを見つけることができるでしょうか。実は、多くの説明文(論説文)は、つぎのような流れで書かれているのです。
序論→本論→結論
序論 読者に対して分翔全体の内容や目的、これから述べていこうとすることの導入をする部分。問題提起、背景の説明、どのような目的でこの文章を書くのか、などが述べられている。
本論 文章のメインの部分。長い文章だとこの部分がいくつかの章やセクションに分かれている。著者が言いたいこと、述べたいことの裏付けとなるデータや根拠が提供され、説明されている。
結論 読者に対して著者が述べたいこと、伝えたいことをまとめた段落。また、今後の展望などが書かれていることもある。ふつうはそこまでで述べられてきたことを要約したりまとめたりして結んでいる。
この流れを意識しながら問題文を読んでいくと、自然に意味段落の切れ目が見えてくるはずです。また、入試に出題される問題文は、こうした流れがはっきりしたものが選ばれていることが多いので、普段からこの流れの中で問題文を読んでいく演習をすることがとても大事です。
c まとめ
説明文(論説文)は形式段落ごとに内容が小さなまとまりになっている。
形式段落にはそれぞれに役割がある。その役割を確認しながら読んでいくこと。
形式段落がいくつか集まって大きなまとまりとしての意味段落を作っている。
意味段落は 序論→本論→結論 の流れでまとまっている。
序論→本論→結論 の流れを意識しながら文章全体の流れをつかもう。
さて、説明文(論説文)の流れをつかむ上で大切なことについてつぎの稿でお話しします。