中学入試 国語読解法 その2 物語(小説)文の読解のしかた ③ 感情を表す言葉、登場人物の表情にも注目しよう
物語(小説)文の読解では『登場人物の気持ち、心の動き』にマークしながら問題文を読み進めましょう、というお話を前回しました。そして、そのためには「登場人物の動作」に注目をしようとまとめています。それでは、「登場人物の動作」以外に『登場人物の気持ち、心の動き』を知るにはどこに着目するかです。
a 形容詞など感情を表す語に注目しよう
形容詞はわかりますか。性質や状態を表す言葉です。その他、人の感情を表す単語に注目して、マークをしながら問題文を読んでいきましょう。
うれしい、さみしい、悲しい、恐れている、驚いている、不安な、怒っている、興奮している、緊張している、喜び、幸せ、焦り、不満、うらやましい、感謝、恥ずかしい、優越感
これらの言葉は、国語の読解演習でマークしていく演習を繰り返していくと、ぱっと目につくようになっていきます。逆に、ぱっと目につくようになるまでマークする演習を繰り返したいです。こうした語が気になるようになれば、『登場人物の気持ち、心の動き』は手に取るようにわかるようになりますし、設問でこうした語がそのまま問題になることも多いことがわかってくるはずです。
b 登場人物の表情や登場人物が見た風景にも注目
主人公をはじめとした登場人物の表情を表した表現には必ずマークをしたいです。
○○は、目を細めて△△を見た
○○は、微笑みを浮かべながら
○○は、目を輝かせて
○○は、口元から「おっ」と声を漏らした
○○は、眉をひそめて
○○は、覚悟を決めた表情で
○○は、不安そうな目で
○○は、冷たい目で
などといった表現です。こうした表現も、とにかくたくさんの文章を読んで、読みながらマークをすることを繰り返すことで、表情を表す部分がどこなのかがわかるようになっていきます。
さらに、登場人物が見た風景、見た相手にも注目しましょう。これはちょっと高度な表現技法になりますが、登場人物が見た景色でその時の『登場人物の気持ち、心の動き』を作者が表現することがあります。
○○の目には、遠くに広がる緑の山々とその向こう側にどこまでも広がる青い空が映っていた。
さて、この表現からは○○のどんな気持ちが読みとれますか。少なくとも「悲しみ」や「寂しさ」は感じられませんね。どちらかというと「希望」とか「喜び」ではないでしょうか。こうした表現は「暗喩(あんゆ)」とか「隠喩(いんゆ)」と呼ばれる技法で、読者側にある程度自由に想像を広げてもらいながら登場人物の気持ちを伝えたいという作者の思いのある表現です。
ですから、ただひとつだけの読み取りにはならないのですが、大きく「喜び」とか「悲しみ」とかいった気持ちが動いているということはわかるはずです。
○○の前には、激しく波が打ち寄せる岩場があり、その岩場にはいま音を立てて激しい雨が打ちつけている。
これからの物語の展開が、急にいろいろと動き出すような気配を感じませんか。こんな風に、登場人物の目に映った景色にも注目をして読み取っていきましょう。
c まとめ
『登場人物の気持ち、心の動き』を追うためには、形容詞など人の感情を表す語に注目をしよう。
登場人物の表情にも注目をしよう。
ちょっと難しいけれど、登場人物の目に映った景色などは、その人物の心の動きを読者に伝えようという作者の意図があることも忘れずに。
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