「歯内療法診療ガイドライン」を2分で読めるようにまとめてみた
歯内療法診療ガイドライン(2020年6月発行)を読んだので、2分で読めるようにまとめてみました。
CQ1. 初回根管治療における 1 回法は複数回法よりも有効か?
初回根管治療(未処置の根管に対する根管治療)において、
複数回法より1回法の根管治療を弱く推奨する
(エビデンスの確実性:低 推奨の強さ:弱い推奨)
エビデンスとして採用された論文にも目を通すと、要するに、
「複数回法(水酸化カルシウムの貼薬)」は、根管治療の術後疼痛や成功率に、大きな影響を与えることはないようで、そうであれば、通院回数や治療時間が短くなる「1回法」がベターだろう
という結論のようです。
CQ2. 初回根管治療(生活歯と失活歯)における処置後の鎮痛薬処方は行うべきか?
初回根管治療(生活歯と失活歯)における処置後の鎮痛薬処方を行うことを弱く推奨する
(エビデンスの確実性:低※ 推奨の強さ:弱い推奨)
※ 本文中(P.37)では「エビデンスの確実性は「中」」となっている
処方している鎮痛薬の種類や用量はそれぞれ異なり、一部の研究でしかメタアナリシスできていないようですが、エビデンスとして採用された論文にも目を通すと、要するに、
NSAIDs、NSAIDs + アセトアミノフェン、NSAIDs + オピオイドは、術後疼痛を軽減することが期待できる
ということです。
興味深かったのは、
根管治療後に、(アセトアミノフェン1,000mg 単剤より)NSAIDs+アセトアミノフェン1,000mg 併用で術後疼痛がより抑えることができた(Elzaki, 2016)
という論文です。
筆者としては、入院患者の血液検査や尿量の変化から、NSAIDsの腎障害を幾度も目の当たりにしているので、NSAIDs の使用は極力避けて、アセトアミノフェン1,000mg の高用量使用を基本にしようと思いました。
CQ3. 初回根管治療(失活歯)における処置後の抗菌薬処方は行うべきか?
初回根管治療(失活歯)における根管治療後に、抗菌薬処方を行わないことを弱く推奨する
(エビデンスの確実性:非常に低 推奨の強さ:弱い反対の推奨)
2 つのランダム化比較試験がエビデンスとして採用されており、いずれも、急性症状を伴う歯に歯内療法を行った後の抗菌薬処方は、術後の疼痛・腫脹に対して有効ではないという結論を示しています。
・歯髄が壊死し、急性根尖膿瘍が存在する歯
・痛みと腫脹のどちらか、または両方の症状を有する歯
(体温が37.8℃以上の患者は除外)
であっても、抗菌薬の使用で、疼痛・腫脹の改善に効果はなかった
ということです。
歯内療法における抗菌薬というものは、効果は期待できないけど、下痢になるかもしれない薬
というところでしょう。