全国送料無料ただし沖縄と離島をのぞく
仕事(研究)で離島に行くことが多い。コロナ前は沖縄の宮古島や石垣島は年2回以上、奄美大島や西表島や多良間島などはほぼ毎年通っていた。その他の島もできるだけ5年に1回以上は訪ねるようにしていた。いわゆる「定点観測」的な目的もある。
若い人たちにも沖縄や奄美の島々を旅することを勧めているが、問題はやはり旅費、特に飛行機や船の運賃である。
島で暮らす者にとって、その「運賃」は人だけでなく物に関しても大きな問題であることは昔から言われ続けていることだが、コロナ禍中にそれをさらに実感した人も多いと思う。ネット通信販売の送料である。「送料無料」と書いてあるので注文してみると送料が追加されている。よく見ると「離島をのぞく」と書いてあるのだ。
ネットで書籍が買えるようになる20年以上前は、東京や大阪に出張がある時にはたくさんの本を買い込んでいた。地元の書店に注文することもできたが、本が到着するのは早くて3週間後だったので、注文したことすら忘れてしまったことも多かった。
東京駅八重洲口の大型書店で、いつものようにたくさんの本を購入した時の事である。「全国送料無料」と書いてあったので、レジで手続きをしようとすると送料を請求された。よく見ると小さな字で「沖縄と離島を除く」と書いてある。さすがに腹が立ったので、「沖縄や離島は『全国』ではないのですか!」と詰め寄った。
結局どうにもならなかったし、振り上げた拳を下すわけにもいかないので、購入した十数冊の本全てを返品。その頃の怒りは今でもよく覚えている。
時代は変わり、本がネット通販で簡単に買えるようになって、その大型書店も今はない。
離島への送料が全国一律になるということは、儲けが減る、あるいは都会の人にもその分を負担してもらうということでもある。しかし、それを解消しないと離島の過疎化も止まらないのではないか。今でもネット通販のページを見るとそう思う。