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1)がんと代謝

がん細胞生物学では、代謝の重要性が大いに注目されている。がん細胞はエネルギー効率の良い好気的呼吸ではなく、効率の悪い発酵に強く依存するという特徴が発見されている(ワールブルグ効果)。これは多くのがん細胞にみられる特性であり、増殖と生存を促進するための代謝適応を反映していると考えられている。

またある研究では、盛んに増殖するがん細胞は、栄養素を細胞の構成成分の産生に充てる必要があるため、異化から同化に代謝経路を切り替えていることが示唆されている。

ワールブルグ効果の他にも、がん細胞の代謝にはいくつかの特徴がみられる。

がん細胞の代謝の特徴
・グルコースとアミノ酸摂取の障害
・解糖系/TCA回路(クエン酸回路)の中間産物を利用した生合成とNADPHの産生
・窒素要求性の亢進
・代謝産物による遺伝子制御の変化
・微小環境との代謝的相互作用
など

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