肩関節複合体(2)肩鎖関節
肩鎖関節は、鎖骨遠位端(外端)と肩峰端(烏口突起)で形成される平面関節でありる。前後上下それぞれの方向に約4°自由度を持つ。アメリカンフットボール、柔道、ラグビーといったコンタクトスポーツで損傷することが多い。日常ではバイク・自転車での転倒事故なで損傷ケースが多い。
(1)主な機能
肩鎖関節はその構造を支える靱帯・筋を、静的安定化・動的安定化2種類の働きで分けることができる。
・静的安定化に働く靱帯 肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯、烏口肩峰靱帯
・動的安定化に働く靱帯 三角筋、僧帽筋
このうち、肩鎖関節の関節包靱帯は、鎖骨遠位端の前後方向の安定性で働いている。特に肩鎖靱帯上部は、下部に比べ頑強な構造をしている(上部は他領域と比べ厚みがあり、僧帽筋・三角筋の筋膜とも癒合している)。肩鎖関節周辺にある軟部組織は、互いに協調する関係性にある。
(2)静的安定化構造
1)烏口鎖骨靱帯
烏口鎖骨靱帯は、鎖骨遠位端の後方・上方変位を防ぐ主要構造である。円錐靱帯と菱形靭帯で構成され、円錐靭帯は上方変位を、菱形靱帯は後方変位をそれぞれ防ぐ。これら靱帯の作用は、線維の走行方向の違いによって起こると考えられており、烏口鎖骨靱帯は、各靭帯の総合的作用で、肩鎖関節への圧迫力を維持している。
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