マグネシウムの重要性(1)概要と研究
マグネシウムは600種類以上の酵素反応と関与している。酵素反応の内容はエネルギー代謝、たんぱく質合成など実に多種多様だ。生体内のミネラル量を比較しても、鉄が約5g、亜鉛が約2gに対して、マグネシウムは約25と5~10倍の開きがあり、いかに体内においてマグネシウムが重要な存在であるかが分かる。
(1)日本人は慢性的なマグネシウム不足
成人に推奨されるマグネシウムの推奨量は、310mg~420mg/日の範囲で指定されている。しかし、一部文献では日本人が平均して摂取しているマグネシウム量は、わずか250mg/日にとどまると言われている。現代日本において、マグネシウム欠乏とされる人は非常に多いことの裏付けでもある。(表は厚労省より引用、2021年8月時点)
この要因の一つとして、日本の土壌はもともと欧米と比較して、ミネラルが少ないことが挙げられる。加えて、農作物のミネラル量が年々減少しているという報告もある。文部科学省「日本食品成分表」の初版、2015年版を見ると、1950年と2015年の比較でほうれん草の鉄分は85%も減少していることが確認できる。問題の特定は難しいが、その一端として農薬使用や酸性雨などの問題が指摘されている。
ここから先は
1,516字
このマガジンを購読すると栄養学的な知識がかなりマニアックに身に付きます。月2本以上読まれる場合は購読されたほうがお得です。
Nutrition Special Magazine
¥1,980 / 月
初月無料
栄養学の知識を様々な分野から解説していきます
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?