ポピュラーなサプリメントの効果〜症状別のおすすめサプリメント〜
サプリメントの摂取目的としては、主にトレーニング効果の増大、パフォーマンスアップ、健康維持増進等が挙げられる。その中で、特に使用頻度の高いサプリメントと、普段抱えている健康不安に効果的とされるサプリメントを紹介していきたい。
(1)使用頻度の高いサプリメント
1)BCAA、EAA
たんぱく質はアミノ酸から構成され、体内では21種類存在するとされている。そのうち、人間の体内で生成できない9種類が必須アミノ酸(EAA)である。このうち、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類をBCAAと呼ぶ。
必須アミノ酸一覧
バリン
イソロイシン
ロイシン
メチオニン
リジン(リシン)
フェニルアラニン
トリプトファン
スレオニン(トレオニン)
ヒスチジン
その他12種類は非必須アミノ酸に分類され、必須アミノ酸があれば体内で生成できる。
非必須アミノ酸一覧
アルギニン(小児では必須アミノ酸に含まれる)
グリシン
アラニン
セリン
チロシン
システイン
アスパラギン
グルタミン(ストレス等で不足がちなため、「準必須アミノ酸」とも呼ばれる)
プロリン
アスパラギン酸
グルタミン酸
サプリメントとしてのEAAは、筋タンパクの合成と分解の抑制として用いられる。また、運動中に摂取することでパフォーマンスや集中力を高めることも期待できる。
接種方法としては、運動前・運動中に飲むと効果的とされ、摂取後30分程度で、血中濃度がピークに達するとされる。2時間後には元のレベルに戻るため、長時間の運動時ではドリンクに混ぜ、少しずつ飲むという方法も推奨されている。
BCAA、EAAのどちらを摂取すべきか
含有する必須アミノ酸の数から考えると、EAAを摂取すれば問題ないと言えるだろう(BCAAも同時摂取できるため)。ただし、効果効能に関するエビデンスはBCAAの方が揃っており、かつ安価で手に入れやすい。効果が明示されていること、コストパフォーマンスが優れていることから、BCAAを選んでも十分に効果を見込めるだろう。
ロイシンの働き
ロイシンはインスリンの分泌を促進するため、インスリン刺激による筋たんぱく合成を促す効果がある。BCAA、EAA購入時は、ロイシンの含有量をチェックするといいだろう。
2)グルタミン
グルタミンは筋たんぱく合成、治癒力向上、免疫力アップ効果が期待できる。ほかにも、胃腸の機能や粘膜機能のサポート、腸粘膜の修復、抗うつ作用などの効果もあるとされている。
接種方法として推奨されているのは、運動後や就寝前である。プロテイン、BCAAと混ぜて飲むことで、筋たんぱく合成効果がさらに増進されると報告されている。クレアチンとグルタミンを一緒に摂ることで、筋肉量が増えたとの報告もあるため、飲み合わせも意識したいところだ。
グルタミン自体は、幅広い食材に含まれている(肉、魚、乳製品、大豆等)。しかし、グルタミンは熱・酸に弱い性質を持っており、ハードトレーニングや重労働等で大量に消費されてしまう。身体活動量が多い人は、意識して摂取すべきだろう。
3)HMB
HMBは、必須アミノ酸のロイシンが筋・肝臓で代謝され生成される成分である。ロイシンのおよそ5%がHMBになるとされている。日本で販売開始されたのは2009年と、サプリメントとしての歴史はまだ浅い。2013年に発表された国際スポーツ栄養学会のガイドラインでは、トレーニングに対するHMBの効果として、筋肥大、筋損傷の回復、加齢による筋肉減少の予防、脂肪量の減少が示されている。
厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準では、HMBを作り出すロイシンのサプリメント摂取とレジスタンス運動により、75歳以上の日本人女性の筋量・筋力・歩行速度が改善したと報告されている。
HMBは摂取後、60~120分ほどで血中濃度が最大となるため、そのタイミングでトレーニングを開始すると効果的だとされる。他のサプリメントよりも効果が発揮されるのに時間を要するため、トレーニング時間から逆算した摂取が重要だ。
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