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どうして寅さんの恋は実らないのか?
「男はつらいよ」にはいくつかのお決まりの
パターンがある。
その中でも1番重要と言っても
過言ではないシーン「好きな女に振られる」
というシーンがある。
旅先で惚れたヒロインに映画の終盤に
振られて、いてもたってもいられなくなり
また旅に出るというパターン。
それが心地いいわけでもあるが、
脈なしの人ばかりな訳ではなく
いい感じだった人もいるわけで、
多少違和感を感じて少し考えてみた。
実際、わたしは彼女が出来ない、
勇気も出ない、奥手な自分にとって、
重要な事である。
「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」の
クライマックス ヒロイン 朋子(竹下景子)との別れのシーンから引用。
旅先のお寺の娘 朋子と知り合い。
朋子の父である住職との会話の中で
「次結婚するなら寅さん」と
思わず聞いてしまい、
気まずくなり柴又に帰ってしまう寅さん。
朋子は東京に来ていた弟に会いに来た
ついでにとらやに寄る。
朋子は岡山に帰らなくてはならないといことで駅まで送る事に。
朋子も寅さんも、「次結婚するなら寅さん」の話の続きしようしようと
ソワソワ、モジモジしている。
そこで、朋子が寅さんの袖を引っ張り(←キュンとする)話を詰める。
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朋子(以下 朋) ごめんなさい。
あの晩の3日前ほどに父から
次結婚するならどげんな人がいいかって
聞かれて、それでね。…それで…わたし。
寅 寅ちゃんみたいな人がいいって
言っちゃたんでしょ?和尚さん笑ってたろ?
俺だって笑っちゃうよ。ハハハ。…
朋 寅さん…。私あの晩父さんが言った事が、寅さんの負担になっていなくなってしまった
と思って、その事をお詫びに来たの。
寅 俺がそんな話本気にする訳ないだろう?
朋 …じゃあ、私の錯覚…
寅 安心したか?
首を横に振る朋子
電車来る。柴又駅よりさらに、
東京駅まで送ってあげようとするが
朋 いいの、用事は済んだから
行ってしまう、朋子
寅 (妹のさくらに)へへへ、そういうお粗末さ。さて、商売の旅に出るか
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と映画は終わっていく。
こうやって今回も
寅さんの恋は実らないのであった。
◉どうして実らないのか?
いくつか理由があるとおもう。
①ヒロインに好かれているのに、自信がなく、そんな訳ないと決めつけているから。
②それでも、告白なりプロポーズでも
出来ればいいのだが、勇気がなく
見送ることしか出来ないから。
③フーテンの寅である限り、
恋が実ると言う事は「男はつらいよ」として、作品として美しくないから。
という事は、寅さんが寅さんである限り、
恋は実らない。
そうなると、寅さんがとらやを継げば、
結婚できるか?
となると、好きな人に勇気を出して
プロポーズし、カタギになって真面目に
働く事を決心すれば、恋は実る。
という事は、そもそも昔家出せず、
とらやで過ごしていれば結婚出来たはず。
寅さんの魅力である、面白くて楽しいところはフーテンで旅しているからではないはず
だから。
しかし、そうなったら、男はつらいよという
物語は存在し得ないのである。
そういう陰と陽というか森羅万象というか
そういう関係性をもって、
寅さんの恋は実らないのである。