ニッケル水素電池育成方法
はじめに
皆さんこんばんは。現場猫で学ぶミニ四駆チャンネル管理人?のミヤです。
今回はニッケル水素電池の育成方法を書きました。設定などはあくまで自己流の解釈なので、同じ機材を持ち合わせていたとしても結果が保証されるものではありませんのでご了承ください。
充放電の基礎知識
1.セル性能について
RC用のサブCセルでも単三、単四セルでも、一般にニッカド・ニッスイの定格容量は『5時間率』という方法で計測されています。
要するに『ちょうど5時間で放電終了するように設定された放電レートを元に逆算された容量』ということです。
単三セルの容量計測に関するJIS規格では『0.2C放電、放電終止電圧1.0V、周囲気温20度プラスマイナス5度』となっています。
セルの性能表記にtypicalとかMaxとかの表記がされていますが、要するにJIS規格がいい加減なので、周囲温度の取り方によってこれだけのバラつきが出ますよー、ということです。
おそらくMinが最低気温の15度で、typicalが20度、MAXは25度と思われます。
容量のすべてを1時間で充放電する電流を1Cと呼んでいます。1000mAhのセルでは1C=1000mAh/h=1Aになります。
これは急速充電に当たりますが、今どきのニッスイでは当たり前な充電電流です。放電はこの倍くらい流してもほとんど痛まないです。
充電にも放電にも最適温度があり、充電は10℃から20℃で最も充電容量が多く、放電は40℃から60℃で最も放電効率が良いです。
(ただし電池を痛めない範囲では・・・)
スペック上0℃までは作動温度範囲にされていますが、水の分解、合成反応で動いているので、水が凍ってしまうような温度では原理的に作動しません(水溶液なので凍りはしませんが)。15℃を切ると充電の異常終了が起こりやすくなるので、冬場はウォーマーやカイロである程度のセル温度は確保しておきましょう。
2.オームの法則について
オームの法則ってありますよね。電圧=電流x抵抗です。オームの法則とは、ある電気回路において2点間の電位差は電流値に比例するという法則です。
閉回路ですので、ここでは電池の端子間電圧をEとすると
E=I×R=Vという関係式が成り立ちます。
しかしセルの性能はこの通りの公式には当てはまりません。なぜかというとセルの中にも抵抗があります。電気化学反応により動作するデバイスでは、理論的な電圧よりも放電時の作動電圧は若干低く、充電時の作動電圧は若干高くなります。この起電力と作動電圧の差のことを過電圧と呼び、起電力から電圧がずれること自体のことを分極と呼びます。この過電圧にはいくつか種類があり、活性化過電圧、濃度過電圧、IR損の大きく三つに分類することができます。
簡単に説明すると
活性化過電圧=電荷移動反応における抵抗
濃度過電圧=物質の濃度の差により進む物質輸送、つまり拡散抵抗
IR損=金属部品などの抵抗
これらを内部抵抗と呼び、セル内の活物質の反応が速いほど基本的には抵抗は減ります。内部抵抗が少ないと過電圧が小さく、高い電圧を保てます。
そして最初に出したオームの法則。
電圧=電流x抵抗
しかし実際は、
作動電圧=理論起電圧-(内部抵抗x電流値)になります。
作動電圧が実際の出力電圧で、理論起電圧が元の電圧になります。
また内部抵抗x電流を内部電圧降下というのですが、元の電圧から内部電圧降下を引いた残りが実際に使われる出力電圧になります。
つまり内部抵抗が少ないセルこそ、高電圧・高出力であるセルになります。
3.内部抵抗が増加していく原因
ニッケル水素電池の充放電サイクルに伴う、主な劣化モードのメカニズ ムは、正極・負極・その他部材(セパレータ)が原因として考えられますが、負極(水素吸蔵合金)に起因した劣化モードとしては主に2つが考えられます。
(a)水素吸蔵合金の電解液消費
充放電サイクル中に水素吸蔵合金がアルカリ電解液と反応することで酸化され、下記の反応水酸化物を形成することにより、電解液(水)が消費されます。その結果、セパレータ中の電解液量が減少して電池の内部抵抗が上昇し、寿命に至ります。
M+2H20→M(OH)2+2H++2e-
(b)水素吸蔵合金負極の充電リザーブの減少
負極容量には、通常の充放電で使用する範囲以外に放電リザーブ(電池が完全放電後での負極の残存容量)と充電リザーブ(電池が満充電後での充電可能な負極容量)があります。充放電サイクルに伴う水素吸蔵合金の酸化等により、負極容量の低下や放電リザーブの増加が生じるため、充電リザーブ(負極容量―電池容量―放電リザーブ)が減少します。充電リザーブが減少すると、負極から水素ガスが発生し、電池内部ガス圧力が上昇し、安全弁からガスが放出されやすくなります。ガスは、水素と酸素からなるため水の電気分解と同じであり、結果的に水の消費につながります。また、ガスとともに電解液が電池系外に放出されることもあるため、セパレータ中の電解液が減少して寿命に至ります。
(a)(b)のいずれのモードにおいても、水素吸蔵合金の酸化が電解液の減少による内 部抵抗の上昇を招き、サイクル劣化に至ります。
ここから先は
¥ 980
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?