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トリクル充電とは

一般的には主充電の完了後などに、端子電圧や電池温度の維持を目的にチョロチョロと小電流で断続的な補充電を行うことです。一般的に販売されている電池の充電では過充電につながりやすく、セルの寿命短縮や性能低下を招くものとして嫌われることが多いです。通常は要らない機能ですが、目的意識をもってわざとトリクルをかける場合もないわけではありません。例えば、セルの保温目的にトリクルかけるとか(寿命は犠牲に)。

これは即ち「追い充電」の一種なわけですが、
いわゆる通常の「追い充電」は、いったん充電を完全にカットして
「バッテリーの端子電圧やセル温度を下げた後、改めてデルタピークが出るまで充電し直す」というものです。
これに対してトリクル充電はデルタピークも出さず、端子電圧も下げず、ただひたすら緩やかな過充電を延々と続けていく、というもの。セルに良くないことはその原理からして明らかですから、通常はお勧めでないのです。

ですのでトリクル充電を使う際は、ちょっと工夫した使い方が必要になります。デルタピークカット方式を採用している充電器は
「〇〇mV下がったら充電を終了する≒満充電」というのが一般的な満充電の解釈になります。しかし厳密に言ってしまえば満充電ではありません。
通常、満充電に近づくにつれて電圧は上がらなくなり、単位時間当たりの熱に変換される量が増加していきます。するとセル温度が上昇し、自己放電率も高くなっていきます。そのため電気を入れてるそばから電気が抜けていくという状態に陥り、ただセル温度だけが上昇していくだけになります。

ですのでデルタピークが出た後にトリクルを掛けてもあまり意味はないわけです。なのでデルタピークが出る前に一度カットして、そこからトリクルを掛けて、セル温度と満充電のピークを揃えるのが一番現実的な方法だと思います。

保安用の照明具などに仕込まれているバッテリーは、常に微小電流で充電されています。こういうのがトリクル充電の典型的な例です。
こういった用途に使われているセルは、一般用とは異なり、過充電に強い特殊仕様です。RC用などは大電流放電の特性を強化していますが、容量を追い込んでいる関係上、過充電には強いとはいえません。家電用も同様にある程度の安全マージンを取っているとは言え、そのような設計はしていません。

過充電に強くする、というのは、過充電により電解液の水分の電気分解が始まったときにセル内部の正極側に発生した酸素ガスを、負極の水素急増合金に残っている余分の水素と反応させ、水に戻すという安全機構を強化している、ということだと思われます。
つまり、正極と負極の活物質の分量が極端にアンバランス(負極のキャパが大きい)だと、負極の活物質ばかりを詰め込んでしまって正極側の活物質が少なくなり、それだけ容量が減ることになりますから過充電対策を念入りにやると容量的には不利になります。

過充電での安全マージンを削れば、それだけ高性能なセルが作れることになります。いわゆるロット違いの同銘柄の性能差の原因にはこのへんの事情もありそうですね。

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