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【エッセイ】夜更けのご褒美:秋の匂いとマロングラッセ

 最近、急に涼しくなりましたね。
秋がひょっこり顔を出して、こちらの様子を伺っているようで、嬉しくなっちゃう。

 涼しくて、寂しくて、優しくて、秋は好きです。
静かに、穏やかに、冬がくるまで寄り添っていてくれる無口な親友。

 秋は気持ちが落ちこんだり気候の変化で体調を崩すことも多い。
だからまだちょっとだけ余裕のある夜には、大好きな親友について思いを馳せる時間を過ごしたい。お供はちょっと贅沢に、マロングラッセで。

 ひとくちで食べるのはもったいないので、お茶と一緒に少しずつ食べるのがいいかな。お酒の香りとしっとりした甘さが疲れた心身を癒してくれるのを、ゆっくり感じたい。せっかくの秋の夜長ですもの。

 たとえば、暖かな橙色の日差しに包まれる公園を思う。
少し冷たい空気を胸いっぱいに吸い込む。秋の匂いは、ちょっとくすんだ、乾いた土の匂い。かしゅかしゅ音がする落ち葉を踏みしめて、のんびりお散歩がしたい。

 そして、そんな公園でごはんを食べたらきっと、いっとう美味しい。
お弁当に、いろんな具材の入ったサンドイッチと、魔法瓶に温かいお茶を入れて、リンゴなんかも持っていくの。バスケット持ってピクニックってすごく憧れがあるけれど、それはちょっとやりすぎかしら?

 それで柄にもなく、ちょっと体を動かしてみたくなったりもして。
公園でさ、バドミントンでもしようか。翌日には腕が筋肉痛になるかもしれないけれど、それもまた一興ってことで。

 秋雨のそぼ降る日などは外出するのがおっくうだけど、あえて出かければ空いているカフェなんかが見つかるかも。そして窓辺で読書しながら温かいコーヒーを飲んで、ふと顔をあげれば、しとしとと降る雨。

 おうちにいられる日は、ちょっと凝った和食を作って、秋の味覚を楽しみたい。栗やさつまいもはご飯と炊いて、大好きなしいたけもこの時期は味が濃くなるのでシンプルに焼いて醤油をかけて、秋刀魚や鰹なんかのお魚が食べたいね。そして食後には、甘いぶどうを食べるの。私、ぶどうを食べるのが下手なんだけど、笑わないでね。

 そんな、静かで豊かな時間を過ごしたいなぁ。
って妄想するだけで、ちょっと楽しい。嫌なことがあるとついそればかり考えてしまいがちだから、意識して楽しいこと考えるのが大事。

 ままならないことを考えるのがしんどくなったら、逃避しちゃいましょ。

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