アスコン・プリンセス(2023)の記録
2月15日の正午をもって応募が〆切られた「アストルティア・プリンセス・コンテスト」。
今年も拙作ながら、みゃーこ、キュキュ、2名の写真を応募いたしました。
今年は例年より応募期間が早く、年に1度の繁忙期の中でも一番忙しい時期に、アップデートと重ねて開催されることとなったため、正直応募ができるかどうか、内心ひやひやしておりました。
どうにかこうにか時間を作ってインしている時間に撮影を行いながら、なんとか応募することができた、という背景があります。
今回メイキングの話を書くにあたって、正直そちらの修羅場の話を書いた方が面白いか、とも思ったのですが、仕事に関わる話は違う意味で問題になりますので、自重致します。
閑話休題。
今年のアスコンは、みゃーこ・キュキュの両名とも例年と比べて初めに決めたテーマと構図から完成までに大きなブレがありませんでした。撮りたいものが撮れているため満足していますが、今後これを「可能性の追求が足りない」と見るのか「イメージを形にできるようになった」と見るのかは難しいところですね。
まずみゃーこの方は、家キット「アスフェルド学園の菜園」を見てからやりたいと思っていた、「窓の日差しが自キャラに当たる構図」です。そこから世界観を膨らませて「子供のころからずっと一緒だったお人形」というモチーフが頭の中に浮かんでいました。
なぜ「窓の日差しが当たる」という日常のシチュエーションを撮りたかったのかと言いますと、プクリポの身長だと「窓の日差し」を上手く当てる表現が困難だったから、ということにつきます。
セットを組む前に全体の構造をイメージしながら適当な家具を並べていたのですが、この時点で最終形の構図は実現できそう、というイメージになります。奥の方でライトが当たっているリンベリィちゃんについては、後述。
ここで、最終形のセットをご紹介します。最終形のセットは上のような感じで、階段に立つ自キャラ(みゃーこ)とカメラの撮影方向に、隠れるような形で様々な照明を配置しています。
右手からの強い光は「壁掛け四季の丸窓」で、平たく写ってしまう窓の遠景を隠しながら、差し込む光が入る構図にしました。
写真用に光の調整を行う際、カメラの手前側・奥側と色々な箇所に照明を配置することになるのですが、階段の近くでこの融通が効くのが「アスフェルド学園の菜園」の大きな特長、というわけです。階段が低くて上の段(カメラの手前側)からも下の段(カメラの奥側)からも、重ねおきで家具を寄せていくことができます。そして、これがセットのごちゃごちゃしている理由となります。
ちなみにしぐさは、カメラの「常に目を開ける」状態にした形での「いねむり」になります。(椅子に腰かけるため、いねむり時はキャラ位置が微妙に動くので立ち位置調整が地味に大変でした)
「ずっと一緒だったお人形」を表現するために、家の中という現在の状況だけでなく、写真内に違う時間軸を取り入れた表現をしたい、と思っていました。冒頭の写真でリンベリィちゃんが写っていたのは、その情景を表現するスペースを作るとき、「どの辺りだと、どれくらいの大きさで写るのか」を見るためです。
それで最初は、「棚の向こうに別の景色を作る」という工夫を考えていたのですが、しっくりこないので試行錯誤の繰り返し。
手前がごちゃごちゃになると思って一旦ぬいぐるみをどけたり、奥の情景を作ってみたり、を繰り返しながら大筋のところが出来上がったところで撮影仲間のご意見を伺ってみました。そうすると、「寂しい雰囲気を感じる」「1人で写っていると、人形っぽさを感じない」という感想が。
お人形っぽさを出すためには、やはり周りに別の人形・ぬいぐるみを周りに添えたほうがよい、となり、ここから再び狭い空間で調整開始。
しかしながら、ここまでの制作過程の立ち位置だと、上の写真のようにあまりに手前のスペースが狭すぎて人形を一緒に並べることができません。
このままでは行き詰まってしまうので、決心してセットの建て直しをおこない、手前のスペースを作ってぬいぐるみを並べ、照明を照らし直したのが最終形の写真となります。棚の奥の情景はほとんどなくなりましたが、照明の方向で丁度いい位置に、仄かに見える形に収まってよかったかな、と思います。もともと情景となる部分は添え物でしたしね。
ここで1つお詫びしますと、このセット再構成以降のメイキング写真はございません。お仕事のピークに差し掛かっている合間に作っていたので、そこまで気が回っていなかったんですよね。。。大変申し訳ない。自分でも悔やまれます(;´・ω・)
続いて、キュキュさんの写真。撮影風景の写真はこちらです。「モザイクタイルの壁」で組んだセットの前に立ち、「裁定者の拝礼」中にしぐさをキャンセルした瞬間の写真を撮っています。後ろの翼は、真後ろの姿が隠れる位置からしぐさ「シグナルウィング」をして、表示させています。
「歌手」をテーマにした写真はずっと前から撮りたかったのですが、「モザイクタイルの壁」が出てようやく、実現したい形になったと思います。
最初はライブハウスやミュージックホールの表現ばかり考えていたのですが、自分が縁遠いせいか、どうもしっくり来させることができなくて。
壁の並べ方を模索する一方でセットに映える格好も模索する中、髪の色や目の色を変えることについても、色々と試してみました。壁の色調とセットの構図を考えると、90年代のいわゆる「J-Pop全盛期」のミュージッククリップか、クラブミュージック系の洋楽のイメージに寄せたほうが映えるかな、って。上の写真は、そんなクラブミュージックの海外アーティストを意識して髪色や目の色を考えていた1枚になります。
しかし、「魔族の姿だと、フィルター次第で黒人アーティストっぽくなるかな?」みたいなことを考えながら上の写真を撮っていたころ「一体自分は誰の写真を撮っているのだ?」と、急に正気に返り、元の色に戻すことになりました。
極端な方向に振れた反動か、髪色を戻すとやっぱり王道のJ-Popアイドル路線にした方が上手くいきそうだ、と思うように。そこから、髪色とセットの雰囲気から90年代のイメージに寄せる方向へ。ここでおおよその方向性が固まったので、衣装を作ってフレンドさんへご意見を伺ってみました。
この時、90年代に寄せていったあまり、自分で笑ってしまったので没にした「ボディコン」バージョンも見せてみたのですが、「本人が引き立つから、色はこっちがいい」というご意見を戴いたので、衣装の色を変えることに。
そこから黄色ベースに塗り直し、それと合わせてネイルとマイクの色を赤に変更。そのほかにも、ビデオクリップらしさを足すために、以下のような細かな変更を加えました。
・音楽の雰囲気を伝えるため、周りに音符を出す家具を追加(壁の裏に仕込まれているため、写っていません)
・90年代当時は厚底ブーツなので、ブーツの丈を短くする
・体の向き(キャンセルするときに、腰と腕に動きが生まれるため)
・できれば流し目(しぐさのキャンセルタイミング次第)
ここからは試行回数の話で、しばらく写真を撮っていた時に、自分の中でバチっとハマったのが、応募写真というわけです。
タイトルの「angel gadget(DOWA Mix)」は、90年代の小室ファミリーっぽさを意識してつけたもので、「〇〇Mix」はフレンドさんの発案になります。
余談ですが、こういった正面に長い通路上の構図は、「歌い手」の写真とは別に、「いつかアスコンで撮りたい」と思っていた構図の1つでした。そういった理由でも、「いつかやりたい」がいっぱい詰め込まれた写真になったかと思います。
こうしてプリンセスの2枚の写真が出来上がったのでした。アスコンは毎年お祭の様相を呈しているので、その盛り上げの一助になりたいという想いがあると同時に、「普段いっぱい写真を撮れない子達も、年に1度はちゃんと綺麗な写真を撮ってあげたいな」という自分の願望を実現する機会だな、とも思っています。
賞レースとしてみるとなかなかに遠く険しいプリンセスの座ですが、こういう形で表現した自分の「好き」が誰かに伝わって共感できる、というのはとても貴重な機会であり、貴重な経験ですよね。今年もそういうたくさんの人の「好き」に混じることができて、楽しいです。