Netflix(日本語版)登録フローのUXライティングを検証してみた
THE GUILDの安藤剛さんがTwitterでNetflixのUXライティングに関する記事をシェアされていたのですが、事業会社でUXライティングに取り組んでいるわたしにとって非常に参考になりました。
これらのUXライティングは度重なるA/Bテストの結果だということですが、安藤さんはこちらの記事でもNetflixのA/Bテストについて書かれています。
こちらの記事からも、NetflixがA/Bテストに非常に力を入れていることがわかります。
冒頭のTweetでシェアされている記事はこちら。
わたしは英語が苦手で記事を読んでもイマイチ内容が頭に入ってこないのですが、記事の主題はNetflixはとにかく同じことを繰り返し言うだと理解しました。
そこで、日本語版のNetflixの登録フローのスクショを撮りまくって検証してみました。果たしてNetflixは本当に同じことを何回も言っているのでしょうか。あまり整理されていませんが、速報版ということで大目に見ていただけると幸いです。
それでは早速いきます。
1画面目:公式トップ
記事にもあった「いつでもキャンセルOK」が早速登場します。
CTAは「今すぐはじめる」。
2画面目:ステップ1 プラン選択1
トップの「今すぐはじめる」をタップすると、ステップ1のプラン選択画面が現れます。ここでは3つのベネフィットを提示しています。
✔ 簡単登録、いつでもキャンセルできます。
✔ 低価格、定額でNetflixの全作品が視聴可能。
✔ どんなデバイスでも見放題。
「簡単登録」と「どんなデバイスでも」が初登場。「いつでもキャンセルできます」は早くも2回目の登場です。
そして見出しで「プランを選択」とありますが、プランに関する言及は一切ありません。訴求内容にあわせて見出しを付けるとしたら、「Netflixの特長」というところでしょうか。
CTAは「視聴プランを見る」。
3画面目:ステップ1 プラン選択2
ここで驚きの展開が。ステップ1の次はステップ2がくるのかと思いきや、なんとステップ1の2画面目が登場したのです。マリオで言うと1-2です。1ステップ1画面ではなく、ベネフィットの提示とプラン詳細で2画面に分けている。安藤さんのTweetにもあるように、メッセージを分けて伝えるために、意図的にタップ数を増やしています。
ベネフィットとしては、デバイスが2回目、キャンセルはすでに3回目です。ここまですべての画面にキャンセルに関する記述があります。
プランに関してはデフォルトはプレミアムが選択されていました。
CTAは「続ける」。
4画面目:ステップ2 アカウント設定1
「お好きなデバイス」が3回目。キャンセルに追いつきました。ここではイラストもデバイスを表現しています。
CTAは「続ける」。
5画面目:ステップ2 アカウント設定2
ステップ2も2つの画面に分割されています。2画面目はパスワード設定です。ここで「簡単登録」が2回目の登場。微妙に言い回しを変えています。
6画面目:ステップ3 支払い方法の設定
支払い方法の設定画面です。登録と手続きで微妙に言い回しが違いますが「簡単」訴求が3回目、「いつでもキャンセル」は4回目です。
7画面目:ステップ3 カード登録
さすがにここではベネフィットの訴求はないでしょう、と思いきや、なんと注釈の部分に「キャンセルはいつでも可能です」の一文が。5回目です。
恐らく次で登録完了だと思ったので、一旦離脱しました。ちなみに離脱後は次の通りです。
離脱後再訪問時のトップ画面
「Welcome back!」という言葉が追加されています。
「今すぐはじめる」だったCTAも「登録を完了する」に変更されています。
離脱後再訪問時のステップ1
「おかえりなさい!」という挨拶でお出迎え。
離脱後再訪問時のステップ2
ここで3つ目のベネフィットのみ差し変わっています。
広告や追加料金はありません。
永遠になし。
「永遠になし」というかなり強い表現が使われています。
以上が再訪問時です。
そして最後にひとつ補足です。冒頭の記事で13回提示されたという「一ヶ月無料」ですが、日本では現在利用できないそうです。
そうか、無料体験はできないのか、と気を抜いてはいけません。なんとここでも赤字で「いつでもキャンセルが可能」の文字が。本当に至る所で訴求していることがわかります。
以上がスクリーンショットのまとめになります。
最後に、今回検証した登録フローのまとめです。
登録完了までの画面数:7画面
登録完了までのタップ数:7回
いつでもキャンセルOK:5回
お好きなデバイス:3回
簡単登録・簡単手続き:3回
検証の結果、本当に同じことを何回も言っていることがわかりました。
他にもステップの分け方など、今後のUX設計で参考になりそうな発見が多くありました。こうしてひとつのプロダクトのUXライティングを細かく検証するというのは初めてやってみたのですが、とても学ぶことが多かったので、また別のプロダクトでもやってみたいと思います。