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第五章 ナノテクノロジーの開発(NNI)

アメリカの「国家ナノテクノロジー・イニシャチブ」

アメリカの「国家ナノテクノロジー・イニシャチブ」(NNI)は大学、国立研究所、政府機関(国防省)のコンソーシアムとして設立された。これまでのインターネット、コンピュータ、半導体に替わる次の新技術である「ナノテクノロジー」の開発がこれからの経済成長の基礎になるとして、このプロジェクトがスタートした。これは20年30年の長期プロジェクトである。物質の分子・原子・エレクトロン・レベルをコントロールして新しい物質や技術を創るものである。これは1990年後半に全米科学財団とクリントン政権に所属する科学者・技術者のビジョンと努力によりスタートした。そして2001年にNNIが設立された。これで社会構造、産業構造を変え、新しい産業、新しい市場を創造することを目的にしている。

NNIの関連組織として「ナノスケール科学・工学・技術小委員会」(National Science ,Engineering, and Technology Subcommittee NSET),「ナショナル・ナノテクノロジー調整室」(National Nanotechnology Coordination Office NNCO)がある。

政府のイニシャチブによる軍事兵器の開発・生産を中心に進んだアメリカ産業の拡大

軍産複合体

こうした企業家精神を持った政府が1970年以降のアメリカの先端技術開発を進めてきたが、しかし、よく見るとこれらの技術は基本的には兵器になる技術であった。
つまり戦後のアメリカ産業の拡大は基本的には政府のイニシャチブで軍事兵器の開発・生産を中心に進んだのである。特に1970年以降アメリカは世界で戦争を仕掛けて儲けてきた。1961年アイゼンハワー大統領は退官するとき、アメリカの「軍産複合体」(Deep State)の問題を指摘した。これがアメリカおよび世界をおかしくしているとアイゼンハワーは言った。
1970年以降、アメリカの技術開発・商品開発活動は、アメリカ国民を豊かにするためものではなかった。アメリカの国民を豊かにする商品は生産されなくなった。アメリカ政府はアメリカ国民を豊かにするためには直接的には動かなかった。

Apple社

ワシントンの政府官僚は言う。「アップルはiPod、iPhone、iPadと革新的な製品を開発したが、これらの製品に使われている重要な要素技術は、企業家精神を持った政府の官僚・技術者が国に資金を使い、リスクを冒して開発したものである。そしてアップル社には国民の膨大な税金がつぎ込まれている。そしてアップル社はこうした製品で膨大は利益を上げている。アップル社はアメリカのネバダ州とタックスヘイブン地域に事務所を作り、税金を納めていなか、節税をしている。アップル社は、政府の起業家精神を持った官僚・技術者の大きな努力とアップル社に投入された国民の税金に対しての何のお礼もしていない。アップル社はほとんどのiPhoneの生産を海外で行っており、アメリカでは雇用を生み出していない。これは大変おかしなことだ」「これはGoogleについても同じことが言える」と言っている。

アメリカ政府・アメリカ産業の背後には

「インタ―ネット」はサイバー攻撃に対抗するものとして開発され、「スマホ」は国民を監視・誘導するために使われ、「グーグル検索システム」も為政者のプロパガンダの道具になっており、「先端通信機器」も盗聴に使われた。今アメリカ政府が中心になって開発している「ナノテクノロジー」技術も優先的に軍事技術の開発に向けられるのであろう。世界を制覇しようとするアメリカの「覇権の座」がそうさせたのである。そうしたアメリカ政府・アメリカ産業の背後にはウオール街・軍産複合体・公衆衛生複合体(Deep State)の支配の構造があった。我々日本人はこれを変えなければならない。

2024年4月14日 三輪晴治