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重要なことは「軍費」と「兵站」と「長引かせない」こと。もし孫子が現代に現れたら、ウクライナ戦争にどうコメントするだろう?
今回は作戦篇です。
漢字で「作戦」と書きますが、内容は攻撃や防御といった軍事作戦 "Military Operation"ではありません。主に兵站 "Military Logistics"です。戦争作戦で重要なことは「軍費」と「兵站」、それに「切りあげるタイミング」だと述べています。戦争と経済との関係性がうまく説明されていると思いました。
2000年以上もはるか昔にこういう概念が整理されていたとは、いにしえの日本の軍人や学者が「孫子の兵法」に魅了されて勉強し取り入れてきた理由が頷けました。
以前に「作戦篇」を読んだとき、自分も同じように感心したのでしょう。読書ノートには(それ以前のように)中国を揶揄する文章はなく、「そうなんだ。」とだけ書いてありました。
もし孫子が現代に現れたら、ウクライナvsロシア戦争について、どのようにコメントするでしょうか。
「ニ 作戦篇」概要
戦争の原則
武器と武器を作る材料、兵士、兵士の甲冑や食糧、武器や食糧を運搬する車や馬や人夫とその費用、さらに外交費用など一日に千金を費やしてはじめて十万の軍隊を動かせるものである。
だから、金がかかる戦いが長引くと、軍は疲弊し戦力は衰え、国家の経済は窮乏する。そうすると、それに付け込まれて外国から攻められる。智将でもそれにうまく対処することはできない。
戦争に拙速というのはあるが、巧久というのはない。つまり、まずくてもすばやく切りあげることだ。うまく戦って長びくという例は無いのだから。そもそも戦争が長引いて国家に利益があるというのは、あったためしがない。
兵站(補給)
戦争の上手な人は、何度も兵を徴収しない、軍需品は自国のものを使うが、食糧は敵地で調達する。軍隊のため国家が貧しくなるのは、遠くまで食糧を運ぶからだ。遠くまで運ぶのは負担が大きいから民衆は貧しくなるし、近くでの戦争なら物価が高くなり民衆の蓄えが無くなる。民衆も国家も貧乏になる。
だから、智将は遠征したらできるだけ敵の食糧を奪って食べることにする。
敵兵を殺すのは奮いたった気勢によるが、敵の物質を奪い取るのは実際の利益のためである。敵の物質を奪い取り、降参した兵を身方の兵にして使う。これが敵に勝って自軍の強さを増すことになる。
戦争は勝利を第一とするが、長引くのはよくない
将軍は戦争の利害を理解すべし。