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イスラエル・パレスチナ戦争の真相に迫る

ニャンには心の中で勝手に「お師匠様」と呼んでいる方がいます。
今回は、お師匠様が書いたレポートを、お師匠様の許可を得て掲載しました。


イスラエル・パレスチナ戦争に迫る

                          三輪晴治
                         (2023年11月3日)

(1)戦争の真相がわからなくなった

 最近の戦争は、「誰が仕掛けたのかという戦争の原因」、「どの国を巻き込むのかという戦争の構造」、そして「戦争のプロセス」が全く見えなくなった。多くの場合、誰が、何のために戦争を仕掛けたのかは「陰謀論」、「都市伝説」としてカモフラージュされてきた。ベトナム戦争、イラク戦争、リビア戦争、中東戦争、9.11戦争、ウクライナ戦争など、一般のメディアを見ても、最初の段階では、その戦争の原因、構造はさっぱり分からない。単純な善悪の二元論で解釈することはできない。

 双方の戦争当事者は、膨大な数のスパイ、監視カメラ、盗聴器を使い、情報を錯乱させる。真相は、戦争が終わって10年ぐらい経たなければ表に出ない。それは「あるグループ」(Deep State)が世界のメデイアを支配し、言論統制、言論弾圧をし、SNS、ツイッターXなどを使い、デジタル加工画像、フェイクニュース、プロパガンダを流し、情報錯乱をしているからである。

 しかし最近はインターネット、SNS、ツイッターXに関わる人の数が膨大になり、これまではすぐには表に出なかった情報が流れ始め、真相の断片が少しずつ表に出るようになってきた。

(2)イスラエル・パレスチナ戦争勃発

 2023年10月7日突如、パレスチナのガザ地区を実効支配しているテロ組織と言われるハマスが5000発のミサイルでイスラエルを攻撃して、この戦争が始まった。しかし何が起こっているのかわからなかった。ハマスはミサイル5000発など持っていないはずだ。ハマス戦闘員がガザの検問所のドアーとフェンスを壊し、イスラエル領内に侵入し、人質200人以上を拉致し、ガザに引き込んだ。このハマスのイスラエルへの攻撃で、1400人が死亡し、この中にはアメリカ人、ヨーロッパ人も含まれている。

 イスラエル軍は24時間ガザ地区を監視してきたので、ハマスが簡単にイスラエルに地上兵で攻撃できたのは不思議なことである。

 これに対してイスラエルのネタニヤフ首相は、直ちに「戦闘国家体制」を組織し、ハマスの壊滅作戦を開始した。ネタニヤフは、ハマスのイスラエルへの攻撃計画を予め知っていたかのように迅速に動いた。ネタニヤフ首相は膨大な陸上戦闘部隊を編成し、ガザに攻め入るために、ガザの近くに膨大な戦車隊、歩兵隊を結集した。

 そしてイスラエルの反撃が始まり、ガザの北部が攻撃され、空爆が続き、イスラエルの戦車隊がガザの北部から侵攻した。2023年10月24日現在でパレスチナ人は4,385人死亡したという。しかし10月30日現在ではパレスチナ人は8,306人(そのうち子供は3,457人)が死亡したと報告されている。この戦争では、民間人の女や子供の死者が多い。世界は、これをイスラエルのやった「ジェノサイド」と呼び、イスラエルを強く非難している。

 しかし10月30日にイスラエルのネタニヤフ首相は「停戦はしない。勝つまで戦う」と言っており、イスラエルは、毎日ガザを攻撃して、パレスチナ人を殺している。

(3)ユダヤ人の歴史

 「旧約聖書」をもとにすると、ノアの洪水後、カナンの地(今のガザ地区あたり)で、アブラハムが現れ、その子・ヤコブがリーダーとしてユダヤ人を率いていた。ユダヤ人は遊牧民であった。カナンの地に飢饉が起こり、ユダヤ人は食を求めて、エジプトに移住した。だがユダヤ人は、エジプトのファラオ王に妬まれ、奴隷にされ、酷使された。

 紀元前17世紀のころ、預言者のモーセが現れ、奴隷にされていたユダヤ人を引き連れ、エジプトを出て行くことになった。モーセは神からのお告げで「十戒」を授かり、乳と蜜が流れる「約束の地」である「カナン」を目指して、歩き続けた。モーセは途中で死亡したが、モーセの子・ヨシアがユダヤ人を率いて、カナンに着いた。

 しかしカナンにはすでに先住民が住んでいた。ヨシアがユダヤ人を率いて、先住民と戦い、制覇し、そこにイスラエル王国を作った。イスラエル王国は栄え、ダビデ王からソロモン王となり、発展した。しかしソロモン王の死後、国は分裂し、北イスラエルと南イスラエルになった。だが北はアッシリアに滅ぼされ、南はバビロニアの捕虜になった。バビロニアが滅亡した後、ユダヤ人はイスラエル(カナン)に戻った。

 今回のイスラエルとパレスチナの戦争の原因は、ユダヤ人の生い立ちとして、エジプトを脱し、かつてユダヤ人が居住していたカナンの地に辿り着いたというユダヤ人の長い歴史からきている。

  ユダヤ人のモーセが神から「十戒」を頂き、エジプトを脱出してカナンに着いた。しかし「十戒」の中の三つ「⑥ 殺人をしてはならない」「⑧ 盗んではならない」「⑩ 隣人の家や財産を貪ってはならない」という戒めをユダヤ人は最初から破っている。

 紀元2世紀に多神教のローマ帝国は、キリスト教は受け入れたが、イスラエル(パレスチナ)に住んでいたユダヤ人のユダヤ教を迫害した。そのためユダヤ人はパレスチナを追い出され、世界中に散り散りになった。これを「ユダヤ人のディアスポラ(離散)」と言う。それから1900年間ユダヤ人は国を持たないで、世界中を放浪した。

 ユダヤ人が崇める神は「ヤハウエ」で、神ヤハウエは「我は妬みの神」だと名乗ったと言う。神は、別名「イシャラ」と呼ばれ、「戦う神」であり「イスラエル」という名前はこれからきている。つまりユダヤ人は「戦う、妬む、報復する」というユダヤ教の精神を持つ。ユダヤ人は、ユダヤ教以外の宗教を信じるものは排斥しても、殺しても良いと教えられている。

 ユダヤ人がモーセの「十戒」を破ったのは、世界の多くのものからユダヤ人は迫害され続けてきたためかもしれない。「戦う、妬む、報復する」でなければユダヤ人は生きていけなかったのかもしれない。

 7世紀にムハンマドが現れ「イスラム教」が生まれた。これは中東全域で布教されて、「普遍の神」で、「愛の教え」を説いた。これを「エローヒム(エル)」と呼ぶ。「復讐してはならない。恨みを抱いてはならない。自分自身を愛するように隣人を愛せ」と諭した。

 ユダヤ人のイエス・キリストが現れた。キリストは「自分を迫害するもののために祈りなさい」と言い、「愛の教え」を説いた。これがキリスト教である。しかしユダヤ人は、イエス・キリストはユダヤ教を冒涜したと言って、ゴルゴダの丘でキリストを十字架にかけ、処刑した。しかしイエス・キリストの教えはその後世界中に広まった。キリスト教徒はイエス・キリストを殺したのはユダヤ人だとして、色々の形でユダヤ人を迫害した。神を殺した賎民としてユダヤ人は差別され、迫害された。

 ユダヤ人が世界から迫害された理由はもう一つある。ユダヤではトラーという経典があり、これにはユダヤ人の生き方が詳細に描かれている。「人から強奪されるのはユダヤ人の持っている財産、金である。しかし自分が勉強して得た頭にある知識は誰も奪うことができない」という考えで、ユダヤ人は常に思考し、新しいことを考え出すのがユダヤ人の生活の基礎になっている。新しいことを創造するには、これまでのものに拘らないことが重要となる。「安息日」はそのためにある。金曜日までの全ての出来事を忘れ「空」になるために、金曜日の夕方から土曜日、日曜日は何もしないことにする。そうすると全く新しいことが思いつく。これが「イノベーション」である。そういう意味でユダヤ人は頭脳明晰な優れた民族になった。ノーベル賞を受賞した人も多くはユダヤ人である。

 ユダヤ人は国土を持たなかったので色々の国に渡り、その国の新産業をユダヤ人が創造し、国を発展させた。近年になってからは、スペインではユダヤ人は大航海の技術と船舶操縦技術を進化させ、世界の海に出て交易し、領土を広めた。しかしスペインの晩年になると、ユダヤ人は突出した知恵者であるので、スペンインから排斥された。

 それからユダヤ人はオランダに移った。オランダではユダヤ人は造船技術を進化させ、世界一の造船産業を作り、オランダの経済を繁栄させた。オランダは土地の低い国であるため、沿岸工事の技術を開発しオランダに与えた。しかし同時にユダヤ人は金融で自分のために大儲けをした。そのためにユダヤ人はオランダを追い出された。

 そこでユダヤ人はイギリスに渡り、蒸気機関、汽車、織機機械を開発してイギリスの産業革命を推し進めた。同時に海軍・船舶を作り、イギリスは7つの海を制覇し、イギリス帝国を築いた。しかしその中でユダヤ人は犯罪的な商売をし、社会を乱した。そのためかユダヤ人はイギリスから追い出された。ユダヤ人の一部はイギリスで金融業を進化させて大儲けをしている。

 それからアメリカ国家が建設されたので、多くのユダヤ人がアメリカに集まった。ユダヤ人は科学技術開発を押し進め、イノベーションでアメリカ産業を大発展させた。同時にウオール街で金融工学を開発し、ユダヤ人自身が金融の分野で世界を制覇した。1950年アメリカは世界の覇権国になった。しかし1980年ぐらいからアメリカ経済が衰退し始めると、グローバル・ユダヤ人(これをネオコンという)はホワイトハウスを乗っ取り、戦争ばかり仕掛けて、ユダヤの金融資本家を儲けさせ、アメリカ社会の所得格差を深め、貧困者をつくった。

 そのことがアメリカ国民に知れ渡り、今「ユダヤ人・Deep State・ネオコン」に対して反抗する勢力が拡大している。その旗頭がドナルド・トランプである。ユダヤ人はその数々の悪行のためにアメリカを追い出されることになるであろう。

 18世紀の後半、ロスチャイルドの主宰する「秘密結社の会議」が行われ、彼らの行動戦略が討議された。その中でこれからの戦争:第一次世界大戦、第二次世界大戦、第三次世界大戦の計画と予想が語られた。「第三次世界大戦はシオニストとアラブ人との間に、イルミナティ・エイジェントが引き起こす、意見の相違によって起こるべきである。世界的な紛争の拡大が計画されている」という議事録が残っている。18世紀の後半に、ロスチャイルドDeep Stateによって、このイスラエルとパレスチナの戦争が計画されていたのであろうか。

(4)イスラエル人対アラブ人

イギリスの3枚舌

 イギリスの王は、大国のオスマントルコを支配するために3枚舌を使った。ユダヤ人のネイサン・ロスチャイルド(DSの親玉)にオスマントルコを征伐するための資金を出させた。アラブ人に、その資金で、オスマントルコと戦ってオスマントルコを倒せと言った。イギリスの王は、フランスに、オスマントルコを平定した後、ヨーロッパを二分して、イギリスとフランスで統治しようと言った。イギリスに言われるままに、アラブ人はオスマントルコと戦い、オスマントルコを負かした。

 オスマントルコの時代の600年間は、紛争はなかった。しかしイスラエルが建国されてから紛争、戦争が絶えない。

 イギリスの王は、資金を出してくれたユダヤ人にエルサレムに帰り、イスラエル国の建設をするように勧めた。それで1948年イスラエル国が建国された。この時フランクフルトのネイサン・ロスチャイルドが膨大な資金を出した。世界に散らばっていたユダヤ人がエルサレムに集まってきた。アラブ人もオスマントルコと戦った功績でエルサレムに住むようになった。今日のエルサレムという聖地はキリスト教会、イスラム教会、ユダヤ教会が共存する。しかし調整者のイギリスは、イスラエル人とアラブ人・パレスチナ人の地位については関係をあやふやにした。そのためにイスラエル人とアラブ人の間に紛争、戦争が続いた。これが今日のイスラエルとパレスチナの戦争の原因である。イギリスは3枚舌を使ったことで、イギリスはユダヤとアラブの両方から文句を言われた。

 旧約聖書には、神ヤハウエのお告げによりユダヤ人がエルサレムに行くようになったことが記されている。これをもとにユダヤ人は行動しているが、旧約聖書の記述が正しいものだという理由と証拠はない。しかしユダヤ人は、エルサレムという土地はもともとユダヤ人のものだと信じている。それでユダヤ人は先住民であったアラブ人(パレスチナ人)を殺し、迫害した。

 キリスト教とイスラム教は、共に元はユダヤ教から出ているが、ユダヤ教徒とイスラム教徒は近親憎悪で、他人同士よりも憎悪が激しい。お互いは憎み合い、怨念を持ち、戦うとお互いに「100倍返し」をやる。

 そんな関係でイスラエル人(ユダヤ人)とアラブ人(パレスチナ人)は長い間戦争を続けている。ユダヤ人もアラブ人も「邪悪な神」に弄ばれたのかもしれない。

 イスラエル人(ユダヤ人)はヨルダン川の西岸地区でもパレスチナ人の居住地を攻撃し、パレスチナ人を追い出し、パレスチナ人をますます狭い地域に押し込め、そこに囲い込みの塀を築いた。パレスチナ人が住む「ガザ地区」は塀で囲まれた天が見える監獄であると言われている。

 こうしたパレスチナ人の迫害が中東戦争として1948年から1973年まで続いた。エジプトには1928年にムスリム同胞団ができ、1987年にハマスというテロ組織になった。しかしこのハマスはイスラエルが資金を出して結成させたものである。イスラエルはハマスをテロ組織としては力のないものにとどめている。

 こんな状態で、イスラエルはガザ地区をしばしば襲撃して、パレスチナ人を殺し続けている。

2008年~2009年に、22日間攻撃し、パレスチナ人を1400人殺害した。

2012年に8日間攻撃し、140人殺害した。

2014年に51日間攻撃し、2200人殺害した。

2021年に15日間攻撃して、256人殺害した。

 2023年初めから、またパレスチナ人はイスラエル人に迫害され、殺されている。パレスチナは、大規模な軍隊は持っていないので、イスラエル軍に痛めつけられている。こうしたイスラエルのパレスチナ人への攻撃は、民間人の殺害で、ジェノサイドであり、戦争犯罪であったが、国連は見て見ぬふりをした。

 今日のエルサレムではユダヤ人は60万人、土地面積はエルサレム全体の56.6%を占めている。アラブ人(パレスチナ)は197万人、土地は43.4%である。イスラエル人よりアラブ人は多いのに、土地の面積は小さいのはおかしい、不平等だとアラブ人は文句を言う。

 ユダヤ人には、「グローバル・ユダヤ人」と「ナショナル・ユダヤ人」がいる。人口数ではナショナル・ユダヤが大半である。グローバル・ユダヤは「アシュケナージ・ユダヤ」で、「シオニスト」とも呼ばれる。ナショナル・ユダヤは「セム族ユダヤ」である。いうまでもなくネタニヤフは「アシュケナージ・ユダヤ」「グローバル・ユダヤ」である。最近この二つの対立が激化している。トランプはキリスト教の福音派を支持している。これは「セム族ユダヤ人」「ナショナル・ユダヤ人」である。

(5)イスラエルとパレスチナとの歴史的関係

 イギリスの元外交官のアラステア・クロック(ロシアのシンクタンク:「ストラテジック・カルチュア」の主幹)は2023年10月16日、「現代のパラダイムが崩壊する」というレポートを出した。

 10月7日以降2週間で、イスラエルが、ハマスの攻撃に対する報復としてやったことは、「ガザ地区を封鎖し、パレスチナ人をどこにも逃げられないようにして、攻撃する。これはジェノサイドであり、集団的処罰である。軍人・戦闘員以外の民間人を殺害し、処罰する」「そしてこれは民族浄化で、パレスチナ人を抹殺することだ」「イスラエル軍を背後においてパレスチナ人を強制移住させている」「民間人への執拗な空爆」であり、これらは「ジェノサイド」であり、全て「戦争犯罪」である。

 クロック氏は「これまで、ユダヤ人とアラブ人が一つの土地に住むための具体的な合意は何もなかった。1947年、西側諸国は、ヨーロッパ系のユダヤ人に祖国を与えるために、ユダヤ人とアラブ人の間の分割をイスラエルの思うままに容赦なく行わせた。パレスチナの土地のユダヤ人とアラブ人(パレスチナ人)との具体的な分割の合意はなかった」と言っている。

オスロ合意

 1993年アメリカのビル・クリントンの仲介で「オスロ合意」が締結された。イスラエル国家を承認し、PLOをパレスチナの自治政府として相互に承認することになった。イスラエルは占領地域から撤退した。ただし5年間自治政府による自治を認めるというものであった。5年後のことについての詳細は両者で協議することにした。しかし安全保障(停戦)の合意はなかった。つまり何もかもイスラエル側の自由裁量に任せるというものであった。

 2006年6月にガザ地区でハマスによるイスラエル兵拉致、2006年7月にヒズボラによるイスラエル兵拉致事件があり、2006年7月、イスラエルは報復措置としてガザ地区に侵攻、レバノンに空爆し、オスロ合意は崩壊した。

しかもイスラエルと他のアラブ諸国との合意はなかった。

アブラハム合意

 2020年9月15日アメリカのトランプ大統領が仲介して「アブラハム合意」ができた。これはイスラエルと他のアラブ諸国との合意が取れたと言ったが、このアブラハム合意の真の目的はイスラエルとサウジアラビアとの関係の正常化をしようとするものであった。つまりこれはパレスチナ人の犠牲によってなされるという内容のものであった。パレスチナは「バスの下敷き」になると言われ、パレスチナに不利な仕組みであった。

 しかし2023年10月7日のイスラエル・パレスチナ戦争が勃発して、イスラエルとサウジアラビアの関係は冷えてしまった。

(6)イスラエル・ネタニヤフ政権

 過去10年、イスラエルのネタニヤフ政権はイスラエル国民を反アラブにした。かつてはイスラエルとイランは同盟国であったが、ネタニヤフはイランを敵にしたのである。しかしこれはアメリカの意向でもあった。

 現ネタニヤフ政権には3人の極右シオニストがいる。ヨアフ・ガラット(パレスチナ人は人間の姿をした動物だと言う)、べザレル・スモトリッチ(財務)、イタマル・ベン・グヴイル(安全保障相)。彼らは極端なグローバル・ユダヤ人であり、パレスチナ人の存在を認めない。そしてパレスチナを国家として承認するつもりはないし、全パレスチナ人を追い出そうとしている。

 ネタニヤフ政権は法改正をして政府が司法をコントロールしようとしている。この点についてネタニヤフ政権はイスラエルのモサド諜報機関と対立している。

 ネタニヤフのこの閣僚は「公約」を作っている。この公約はすでに広く知られている。そのためにパレスチナ人はユダヤ人を忌み嫌う。その公約とは:

①   エルサレムの神殿の丘にある「アル・アクサ・モスク」の場所に「ユダヤ教の第三神殿」を建設する。
(第一はB C957-586 、第二はBC 515―AD70)
(これは「アル・アクサ・モスク」を取り壊すことを意味する)。

②   聖書に書かれているヨルダン川の西に正式なイスラエル国を建設する。(ヨルダン川の西地区には昔からアラビア人・パレスチナ人が住んでいる。パレスチナ人を完全に排除するということである)。

③   世俗法を廃止し、ユダヤ法(ハカラ・ラビの法律)を制定する。
イスラエルを完全な宗教国家にする。(イルラエルにはユダヤ人以外の人がたくさん住んでおり、それらは自分の法典を持っている。その人たちにユダヤ教徒ユダヤ法を強要することになる。)

 イスラエル内部ではナショナル・ユダヤが大半である。現在のネタニヤフ首相の支持率は29%以下である。ユダヤ人の市民で、政府を信頼すると答えたのは20%強にとどまる。2023年6月の調査の28%から急低下し、過去20年間で最低になっている。

バイデン政権の政策に抗議する

 2023年10月18日にアメリカの国防省の職員ジョッシュ・ポール氏はイスラエル・パレスチナ戦争で、バイデン政権がイスラエルを支持し武器援助をすると言ったことに対して、反対し、国防省の職を辞した。

 彼は「アメリカはユダヤ人から金をもらっている。そのためにユダヤに対して「Blind Support for One Side」である」として抗議した。「アメリカ連邦法は、人権違反をしているものには武器を供与してはならないとしている。バイデン政権はこれに違反している」「アメリカ議会はこの人権違反について議論すらしていない。議会の機能不全である。また安全保障の名の下に、不正をしている。安全保障という理由でパレスチナの民間人を犠牲にしている。一方への盲目的な支持は長期的には双方の人々の利益を破壊することになる」

 国防省内のDissent Cable(反対の異論を訴えるために通信先)で反対意見が出され、抗議の声が上がっている。ベトナム戦争の時もこれが使われた。ケネディはベトナム戦争を止めようとして暗殺されたとも言われている。(ケネディが政府通貨を発行したことに対してもDSがケネディを暗殺した)

バルフォーア宣言

 106年前の1917年11月2日、当時の大英帝国は、イスラエルの基礎を築く「バルフォーア宣言」に署名した。しかしロスチャイルドに送ったレターの中には、次のような規定が明確にされている。「パレスチナに存在する非ユダヤ人コミュニティの市民的及び宗教的権利を損なう可能性のあるいかなる行為も行ってはならない」。しかしイスラエルはこれを破ったのだ。

 イギリスは3枚舌を使ったことで、イギリスはユダヤとアラブの両方から文句を言われた。

(7)イスラエルの内部分裂

 2023年10月25日、独立ジャーナリストのシーモア・ハーシュが「2023年10月7日のイスラエル・ハマス戦争の謎」というレポートを書いた。シーモアは4つの謎について彼の情報を披瀝している。彼の情報ソースはアメリカ政府の高官と中東政治の専門家である。

①   何故イスラエル諜報機関が国民に謝罪したのか?

イスラエル諜報機関のイスラエル総保安庁のシン・ベルト長官は10月16日「10月7日の攻撃を阻止できなかった責任は私にある」と謝罪した。しかしネタニヤフ首相は何の謝罪もしてない。

 「イスラエル国防軍(IDF)、シン・ベルト長官(イスラエル総保安庁)は団結してネタニヤフ(ビビ)に言うべきだ。ネタニヤフの司法改革についてIDFが崩壊しようとしている」とイスラエルの政府内部のものは警告している。つまりネタニヤフと軍(IDF)とモサド(イスラエル諜報機関)は対立しているのである。

 ネタニヤフは「パレスチナの40人の赤ちゃんの首」についてCNNに映像をつけて通報した。しかしイスラエルの政府の報道官は「そのような事実はない。確認されていない」と言った。

   10月7日の騒乱を起こしたのはハマスだけではなかった

 イスラエルは「ハマスができるだけ多くの民間人と兵士を殺害し、拉致するという命令に従って、イスラエルに侵入した」と信じている。しかしそうではなかった。ハマスの軍事部門であるアル・カッサム旅団(テロ組織と指定されているもの)がやったというのである。

ハマス側の主張は「アル・カッサム旅団の目的は、イスラエルとの捕虜交換に利用するため数人のイスラエル兵を捕らえることだけだ」と言った。ところが「アル・カッサム旅団の襲撃成功の知らせが瞬く間にガザ中に広まり、ガザ住民が自発的にグループを結成し、破壊されたフェンスからイスラエル側に侵入した」と言った。

 「この騒乱の大部分はアル・カッサム旅団以外のテロリスト集団とガザ市民が引き起こした」という情報がある。しかしそれに対する疑問は「ガザ市民が破壊されたゲートやフェンスを超えて殺到したのをイスラエル兵が止めなかった」ということである。イスラエル兵は常時ガザの動きを監視しているので、ガザ市民がイスラエル側に侵入するのを止められないわけはない。

 この日10月7日、少なくとも8時間は、攻撃を受けたイスラエルの村にイスラム軍が来なかったことは事実である。

 同日は、アル・カッサム旅団は、ダンスパーティに集まった200人以上のイスラム人、アメリカ人、ヨーロッパ人に襲撃する計画は全くなかったと言う。つまりネタニヤフ首相とイスラム軍部・諜報機関は対立していた。

 10月7日のハマスのイスラエル攻撃計画の情報は前からイスラエルのネタニヤフ首相は知っていた。イスラエルのモサド情報機関は多くのスパイをガザに入れている。エジプトの軍部からもハマスの攻撃計画の情報をイスラエルのネタニヤフ首相はもらっていたが、ネタニヤフはその情報を無視した。

 ネタニヤフはハマスから攻撃されイスラエル人が犠牲になっても、パレスチナ人を殲滅しようとしていたのである。

 アメリカは2023年5月にイランへの凍結封鎖資金60億ドルを解除した。これでイランが反撃する資金になった。オバマはイランに資金を送っていた。とにかくDeep Stateは、戦争の当事者双方に金を送り、武器を供給して戦争を煽り、そして儲ける。

 つまりアメリカとイスラエルのネタニヤフは、ハマスに先にイスラエルに攻撃させようとしていたのである。これによりパレスチナ人を虐殺する理由を作ろうとしたのである。

③   ネタニヤフはハマスに資金提供していた。

 イスラエルとハマスの戦争で、カタールが重要な仲介役となり、その仲介は人質の命運がかかっている。カタールにはハマスの指導者が住んでいる。ネタニヤフはカタールを通じてハマスに資金を提供していた。強力なハマスの存在が、ワシントンの一部の人々が長年求めてきた「2国家解決」は不可能になると考えた。つまりネタニヤフは、イスラエルとパレスチナと2国家で解決することは絶対にしないと考えている。

 「長い間ネタニヤフはハマスに手を貸してきた。そして今我々を襲った。アッバス議長とパレスチナの国家化を犠牲にして、テロ集団をパートナーとして扱うネタニヤフ首相の方針により、その傷を癒すのに何年もかかることになる」

④   何故人質が解放されたのか?

 ハマスの言い分。「エジプト・カタールの外交交渉により、人質の女性二人を10月23日に解放した。それは女性の健康上の理由のためである。」だが人質解放の本当の理由は、国連の救援物資がガザに届いたからである。100万人の飢えと渇きに苦しむ難民がいるガザ南部に国連の救援トラックがエジプトから初めて到着したから。つまり人質解放は救援物資の見返りであった。

 イスラエル人捕虜の大規模な解放を密かに協議していたというが、イスラエル指導部は、ガザ侵攻前に、ハマスの広大なトンネル網を、神経ガスを使って破壊をしようとしている。トンネル内に200人の人がいる。これはイスラエル人の人質を見捨てることを意味する。

 ガザ地区には無数のトンネルがあり、その長さは500kmもあるという。これは要塞である。アメリカ軍が大敗したベトナムの地下道よりも長く、入り組んでいるという。イスラエルのテルアビブ市内にも地下道がある。

 筆者は1989年に、ユダヤ人で大富豪であるショール・アイゼンベルグ氏に招待され、テルアビブの4万坪の敷地を持った彼の邸宅を訪れたことがある。アイゼンベルグは第二次世界大戦中、ヒットラーの手を逃れて、ドイツから脱出し、中国経由で日本に来て、隠れていた。日本の特高が彼の面倒を見ていた。日本に来た当初は、彼は絵が得意だったので、日本人の似顔絵を描いて生活していた。戦後になり彼はユダヤ人脈により、インドネシア、フィリッピンなどの鉱石、石油を日本に輸入する手助けをした。アイゼンベルグは日本の家電製品のアメリカへの輸出の先鞭をつけた男であった。それからイスラエルへ帰り、鉄鋼産業、造船産業、機械産業、電子産業を起こし、イスラエルの経済を拡大し、イスラエルの軍事力の増強に貢献した。彼は、中国の江沢民と話し、中国の砂漠を緑にするプロジェクトを進めており(イスラエルはこの技術を持っている)、私に日本からの投資をアレンジしてくれと言った。彼はイスラエル政府の要人でもあり、国に貢献したということでイスラエル政府は彼には税金を一切課せなかった。彼はフランクフルトのロスチャイルド家との交流があり、大きなビジネスもしているようであった。つまり彼はDeep Stateの手下であった。

 彼の自宅の敷地は城壁で囲まれており、正門には武装した警備員がいる。メインダイニングルームと応接間は地下1階と2階にあった。そして4万坪の自宅の敷地には何本もの地下道トンネルが張り巡らされていた。いくつかのトンネル地下道を案内されたが、地下には食料を備蓄する多くの貯蔵庫があり、多くの逃げ道があった。外から襲撃されることに備えたものである。テルアビブ市内には多くのトンネルがあるようだった。

マグレガー大佐の見解

 2023年10月26日、マグレガー大佐(ペンタゴンの顧問)は、あるメディアに話をした。マグレガーは「ウクライナ戦争に対してロシアの力を過小評価してはならない」と警告してきたが、今度のイスラエル・パレスチナ戦争でも「モスリム、パレスチナの力を過小評価してはならない。このままでは、イスラエルはウクライナのような運命になる」と言っている。

 「ウクライナは、ウクライナ戦争をする前に、国が滅びるように仕組まれていた」「アメリカの軍事力は、1991年ソ連を崩壊させた時のレベルのアメリカ軍の兵力のレベルから、この20年で、格段に落ちてしまった。空軍を別にして、海軍、陸軍、海兵隊には誰も志願しない。つまり予備兵をリクルートできない。アメリカはもはや『二正面作戦』は不可能になった。『一正面作戦』でもおぼつかなくなった」「イスラエルは中東でこれまで色々戦争してきたが、しかし20年前の戦争と今日では戦争の内容が大きく変わってきた。武器も全く違ったものになっている。」「そしてイスラエルは四方八方を敵に囲まれている。イラン、イラク、シリア、レバノン、トルコがイスラエルの敵である。イランに近いヒズボラは130万発のミサイルを持っている。もしガザにイスラエル軍が侵入すれば、ヒズボラを含め周りの敵が一斉に攻撃してくる。従ってアメリカはアメリカ軍を投入するつもりはない。アメリカ軍は既に破産している」

 そして「もしイスラエルが『コレクティブ・パニッシュ』(集団懲罰、民間人をも殺し懲罰する)をすると、ハマスから100倍返しの報復が起きる」。「イスラエルのネタニヤフはハマスを殲滅すると宣言しているが、このミッションは不可能である」。「とにかく、この戦争を直ちにやめることである」とマグレガー大佐は言う。

 2023年10月12日イスラエルのハアレレソ・ヨアグ・ヤッシュ教育大臣は「これは我々の政権下で起こったことで、我々は責任を取らなくてはならない」と言った。

 アメリカに住むユダヤ人も、この件に関しては一枚岩ではなく、かなりのユダヤ人はパレスチナを支援しようとしている。アメリカ議会も割れている。世界各地で「フリー・パレスチナ」のデモが起こっている。トルコのエルドアン大統領も「フリー・パレスチナ」デモに参加して、パレスチナを応援している。バイデン大統領のイスラエル支援も、世界がパレスチナ支援に動いてきたので、少しずつ後退してきている。

  2023年10月29日、バイデンは電話でイスラエルのネタニヤフ首相に「イスラエルにはテロから市民を守る当然の権利と義務があり、民間人の保護を最優先する国際人道法と合致した形で遂行すべきだ」と言った。しかし戦争を中止せよとは言わなかった。

  しかしイスラエルのネタニヤフ首相は、2023年10月30日に記者会見で、「われわれに停戦を求めることは、ハマスやテロ・蛮行に降伏するという意味だ」と強調した。「ハマスはイランが形成した悪の枢軸の一つだ」と非難した。(イスラエルが資金を出してハマスをつくったのに)「米国が日本から真珠湾攻撃を受け太平洋戦争に突入したように、ガザへの攻撃は民間人への集団懲罰には当たらない。」と言った。

 2023年10月16日、国連でロシアがガザ人道停戦決議案を提案したが、アメリカ、イギリス、フランス、日本が反対し、否決された。

(8)世界がイスラエル・アメリカ・DSに反抗し始めた

 2023年10月12日ジャーナリストのペペ・エスコパルは「クレイドル」というサイトに「アルアクサ洪水作戦の地政学」というレポートを投稿した。

 「アルアクサ洪水作戦」とは10月7日のハマスのイスラエル攻撃のことである。ウクライナ戦争はアメリカとロシアの代理戦争であったが、このイスラエルとパレスチナ戦争は「アメリカとイランの代理戦争」だとエスコパルは言う。イスラエルはパレスチナ人に大量虐殺、ジェノサイドをしている。無差別の空爆を続けている。民間人を「集団懲罰」している。ネタニヤフとその閣僚は「パレスチナ人は人間の姿をした動物だから、パレスチナ人を虐殺する」と言っている。

 こうした状況に対して、パレスチナ、ハマスを支援するイラン、ロシア、アラブ諸国、イスラム諸国が団結して、イスラエル・アメリカに対抗し始めた。そしてこれに中国、トルコが加わる。更に「BRICSプラス」がバックアップしている。

 イラン、アラブ諸国、ロシアが共同で新しい物流ルートを作ろうとしている。インドーイランーアゼルバイジャンーロシアの7200kmの物流ルートINSTCである。このルートは、スエズ・ルートに比べて輸送コストは50%安く、輸送期間は20日短縮できる。

 これによりこれまでの世界の「地政学的ポジション」、そして「世界的なバランス・オブ・パワー」が大きく変わることになる。つまりこれでアメリカの力がさらに凋落することになり、これまでのアメリカ一極支配が終焉する。

 更に、2023年10月27日、ぺぺ・エスコパルは「イランとロシアが仕掛けた罠」というレポートを出した。

「最近ロシアとイランが戦略的パートナーシップを締結している。両者の共通の敵はアメリカのネオコンである。今までアメリカのネオコンには色々と虐められてきた」。ハマスとパレスチナとイスラム聖戦がヒズボラのハッサン・ナステラ書記長とレバノンで打ち合わせをしている。

 そしてWarmonger(主戦論者・ネオコン)の一人であるリンゼー・グラム米上院議員は、「ウクライナへ支援するのはアメリカにとって最高の投資である」「ウクライナ戦争で失敗したので、今度はパレスチナで投資を取り戻そうと言い、イスラエル支援を主張している」。「今イスラエル支援とともにイランを攻撃する上院議員立法を準備している」「イスラエル・パレスチナ問題の方が簡単だ。ハマス・パレスチナを支援しているイランのインフラを徹底的に攻撃すべきだ。そしてパレスチナ人を民族浄化すべきだ」とリンゼー・グラムは言っている。つまりパレスチナ人を殲滅せよと言っているのである。「これはアメリカにとって良い投資だ」とリンゼー・グラムは言う。

 こうした状況の中で、ある動きがあることをペペ・エスコバルが指摘している。2023年10月27日、イラン(アリ・パケル:外務省副大臣)、ロシア(ボグダノフ外務省次官、セルゲイ・リヤブコフ:ラブロフ外務大臣の代理人)ハマス・パレスチナ(アブ・マルズーク・ハマスの幹部)がモスクワで会談した。これには中国習近平もサポートしている。同時にハマスが世界中に離散している数百万人のパレスチナ人、アラブ世界全体、イスラム諸国に団結を呼びかけている。そしてサウジアラビアとイランも手を結び、パレスチナを支援する。イランとロシアはイスラム聖戦部隊とも会い、イラン・ロシア・アラブ諸国・イスラム諸国全体が団結して、イスラエル・アメリカ(ネオコン)・Deep Stateに対決しようとしている。このために軍事的な準備、計画を進めているが、これを指揮しているのはイスラム聖戦革命防衛隊のファダヴィ副司令官である。

 具体的な目的は、第一段として「ホルムズ海峡を封鎖する」ことである。このために、イランが新しく開発した「極超音速ミサイル(ファタミサイル、マッハ15)」を使う。これだとイスラエルのあらゆる標的に400秒で到達する。

 これで「ホルムズ海峡を封鎖して、21世紀の石油ショックを起こす」ことである。これにより西側諸国への石油供給を止める。同時に地中海沖・ガザの沖にあるパレスチナの「天然ガス田」をイスラエルに奪われないようにする。

 最も大きな狙いは、これによりウオール街(DS)が仕組んでいる「デリバティブ金融商品」618兆ドルを吹っ飛ばすことである。つまりウオール街の国際金融システムを破壊することである。2008年のリーマンショックでは金融資産29兆ドルが吹っ飛んだが、今度はその22倍の資産が飛ぶことになる。つまりDeep Stateが所有している資産が吹っ飛ぶということでる。これが起こると日本が一番大きな被害を被ることになるだろう。

 これがイランとロシアが、アラブ諸国、イスラム諸国を巻き込んで、仕掛けようとしている罠である。

 この罠に嵌まり、最近アメリカのネオコン・グループは「悪の枢軸(Axis of Evil)」という言葉を頻繁に使い始めた。米下院議員議長になったマイク・ジョンソンは「イスラエルのネタニヤフにイラン戦争の許可を与える」「ロシア・中国・イランは悪の枢軸である」と言った。ネオコンのリン・ゼーグラ上院議員は「イランを攻撃する決議案を提出する」と言っている。「ウクライナ戦争では大失敗したので、パレスチナ戦争で取り返す。パレスチナは小さな国だから、簡単に処理できる」と言う。かつてネオコンのジョン・ボルトンはトランプ大統領にイランを攻撃するように強く進言したことがある。しかしトランプはその進言を退けた。

 だがイラン・ロシア・アラブ諸国・イスラム諸国全体が「アメリカに仕掛ける罠」に、アメリカ・ネオコンが自ら飛び込んでくることになりそうである。「悪の枢軸」と言って戦争を仕掛けているのは「グローバル・ユダヤ」「ネオコンDS」というほんの一部の人間である。彼らは膨大な資金を持っている。しかし、客観的に見ても、「悪の枢軸」は「グローバル・ユダヤ」、「ネオコン・グループ」でる。

 もしホルムズ海峡が封鎖されると日本はエネルギーがなくなり、ウオール街が崩壊すると日本の金融資産は吹っ飛び、日本経済は大打撃を受けることになる。日本はこれにどう対処するかを考えておかなければならない。

 日本はイラン、アラブ諸国、イスラム諸国と長い間友好関係を保ってきた。プーチンだけではなく、日本もイスラエル・パレスチナ戦争をやめさせるように動かなければならない。

 イスラエルは、政権トップが「グローバル・ユダヤ」になるとパレスチナの地区を侵略し、より激しい戦争を仕掛ける。政権トップが「ナショナル・ユダヤ」になるとイスラエルはパレスチナと平和的に共存することができるであろう。そして2024年のアメリカ大統領選挙でトランプが大統領になれば、トランプはこの戦争をやめさせることに力を入れるであろう。

 しかしこの「イランとロシアの罠」が起こると世界経済は未曾有の大恐慌になる。とにかくアメリカのネオコンを押さえつけなければならない。日本もトランプ支持派、プーチンなどと連携して、ネオコンを封じ込め、イスラエル・パレスチナ戦争を中止させなければならない。日本はイラン、イスラエル、アラブ諸国と昔から良い関係を保ってきた。日本が積極的に動く必要がある。

(9)ジョン・ミヤシャイマー教授の予言

 シカゴ大学のジョン・ミヤシャイマー教授は6年前の2017年にイスラエル・パレスチナ問題についてその見通しについて論文を発表していた。

 イスラエルは「イスラエル・ロビー」を結成し、膨大な資金を持ってワシントンで活動してきた。この目的はアメリカの政治家、官僚にイスラエルの「良いイメージ」をワシントン、ホワイトハウスに売り込むことだ。世界中の国のロビイストがワシントで蠢いているが、献金としてはイスラエル・ロビーが断トツであった。これにより「イスラエルは善良な国である」というイメージを作り、「良いブランド」を作ることができた。従ってこの20年アメリカの政界は常にイスラエルを支援してきた。

 「しかし現実のイスラエル・パレスチナ紛争・戦争の中で、そのブランドは崩壊してきている」とミヤシャイマー教授は言った。これは2008年から2009年にかけてのイスラエルがパレスチナのガザ地区を攻撃したことをもとにしている。

 国連はイスラエルとパレスチナの2国家解決(2国の共存)を主張したが、イスラエルは「グレーター・イスラエル」(パレスチナ人を排除する)に固執した。これはロビー活動によりアメリカのサポートを得ているからである。ミヤシャイマーは「2国家解決」にすべきだと主張した。ポール・クレイ・ロバーツも「何故イスラエル人のみに生存権を与え、パレスチナ人に与えないのか」と言っている。

 「イスラエルの行動はイスラエルを『アパルトヘイトの国』にしてしまう。2008年−2009年のイスラエルのガザ攻撃は戦争ではなく、『ジェノサイド』であり、『集団懲罰』であり、『アパルトヘイト』、『民族浄化』である」。「イスラエルが邪悪なゴリアテに挑む道徳的に正しいダビデと見られていた時代は終わったということだ」とミヤシャイマーは言っていた。そして「イスラエル・ロビーで金をもらったので、アメリカの民主党はイスラエルを全面的に支持してきたが、しかし『ガザ攻撃』で、民主党のイスラエル支持者は急落した。2017年時点でイスラエル支持は33%になり、パレスチナ支持が67%に跳ね上がった」。「イスラエルとイスラエル・ロビーにとって暗黒の時代が来る」「グレーター・イスラエルを押し通すと、イスラエルはアパルトヘイトの国になる」「イスラエルが自由民主主議国家になり、パレスチナも同じ権利を持つようにしなければならない。」「しかしイスラエルがアパルトヘイトの国になるか、イスラエルとパレスチナが『2国家解決』で平和に共存するかは、20年か30年経たないと決まらないであろう」とミヤシャイマーは言っていた。

 2023年10月30日イスラエルのネタニヤフ首相は、「ハマスとの停戦はない。停戦はハマスやテロへの降伏だ。勝つまで戦う」と断言した。

 しかし10月7日から始まったイスラエル・パレスチナ戦争で、世界の多くの人がパレスチナを支援し始めた。10月29日アメリカのコーネル大で学生が「イスラエル人を殺せ」と叫んだ。ニューヨークの大学クーパー・ユニオンでも、パレスチナを支持する集団が「ユダヤ人の殺害」を叫びかけた。

 アメリカFBIのレイ長官は10月31日アメリカ国内でユダヤ人への脅威が歴史的な水準に達しようとしている」と上院公聴会で証言した。民主党の急進左派の代表格のフラミラ・ジャヤパルト下院議員は10月29日「我々は信頼を失いつつある。世界で孤立している」と言った。「私たちユダヤ人の名においてパレスチナ人を殺害することを拒否する。」とワシントンのユダヤ教指導者(ラビ)が訴えた。全米100を超える大学で反イスラエル活動が起こっている。

 国連のグテーレス事務総長は「このハマスが10月7日イスラエルに攻撃したのは、理由もなく起きたのではない。56年間にわたりパレスチナ人は息が詰まるような占領下に置かれていたことを忘れてはならない」と言った。しかしイスラエルのネタニヤフは国連のグテーレス事務総長の言葉を非難し、「グテーレスは国連事務総長を辞任せよ」と言った。

 キルギスで行われたCISサミットにロシアのプーチンが参加してスピーチした。「イスラエルのネタニヤフのやっているガザ地区の封鎖は極めて残酷なもので容認できるものではない。多くの民間人が犠牲になった。このガザの封鎖は、1941年にナチス・ドイツがやったレニングラードの包囲戦に似ている」。ナチスはレニングラードを900日封鎖し、100万人の民間人を殺した。死亡した人の97%の人の死因は餓死であった。

 「イスラエルは自分の国を守る権利はある。しかしパレスチナが東エルサレムに首都としてパレスチナ国家を樹立することは国連で決定された。パレスチナにはこの約束が守られることを期待する権利がある。パレスチナは独立国家を樹立することが必要だ」とプーチンは言った。

 サウジアラビアのムハンマド皇太子は、このイルラエル・パレスチナ戦争が第三次世界大戦になることを心配し、「イスラエルに圧力をかけるようアメリカに圧力をかける」と言っている。

 2023年10月31日に国連人権高等弁務官事務所のニューヨーク事務所のクレイグ・モクヒバー氏は退官にあたり、上司の国連人権高等弁務官フォルカー・テュルク氏宛に手紙を書いた。「私たちの目の前でジェノサイドが再び起こっている。私たちはそれを止める力がない。私たち国連は同じ過ちを繰り返している。アメリカ、イギリス、欧州の政府は、この攻撃に完全に加担している。彼らはジュネーブ条約の民間人を守る義務を果たそうとしないどころか、イスラエルの残虐行為を積極的に支援している。国連創設以来ずっとパレスチナ人に対する殺人と迫害の波が次々と押し寄せてきた。」

 バイデンはこの戦争をやめさせようとはしない。イスラエルを支持し、資金を与えている。これを止めさせなければならない。

 元々あったと思うが、ユダヤ教も、イエス・キリストのように「愛」、お釈迦様のように「慈悲」を説かなければならない。


以上、お師匠様のレポートでした。