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すでに起こった未来:日本はどう対処すべきか。「反グローバリズムのうねり」と「アメリカ一強時代の終焉」


1.すでに起こった未来

これまで学者や識者が作った殆どの「経済理論」や「社会法則」は「理論」ではなかった。ある国の経済社会の動きを観察して捉えてそれに自分のアイディアを加え纏めたもので、「プロパガンダ」である場合もある。

アダム・スミスの『国富論』は、母国スコットランドの経済発展のための指針であり、イギリスの7つの海の支配の理屈付けでもあった。そのためには徳を積まなければならないと、『道徳感情論』を書き、諭した。

ロスチャイルドに依頼され、カール・マルクスが書いた『資本論』『共産党宣言』は、世の中を「共産主義思想」で破壊しようとした、Deep Stateのプロパガンダであった。後の学者は、「マルクス経済学」は「社会科学」と言ったが、そうではない。

イギリス人のデヴィッド・リカードは一国の経済ではなく「国家間の経済のあり方」について提言した。「比較優位生産による国際分業による交易」である。

1929年のアメリカの大恐慌からどのようにして経済を回復させるかのアイディアをJ.M.ケインズは『雇用・利子及び貨幣の一般理論』として書いた。ある人は、実際にケインズが示した経済政策を実施しても経済の回復はすぐには達成できなかったので、ケインズの理論は誤りだと言ったが、そうではない。今日の複雑な経済構造ではいろいろの経済政策を施しても大恐慌からの経済回復には20年から30年の期間がかかるものである。

ヒト・モノ・カネを自由に動かすという「自由化」、「新自由主義」、「グローバリズム」、「多国籍企業主義時代」などは、政治の世界の「政治戦略」に属するもので、具体的にはDeep Stateグループ(ネオコン・グループ、ワシントンの官僚、ウオール街の金融資本家、武器産業)の世界を支配するための戦略であった。

ピーター・ドラッカーはいろいろの経済社会の変化を「社会生態」として捉えた。あるべき理論的な筋道として捉えるのではなく、「社会生態の変化」として捉えた。その「評価基準」は「その為政者のための利益」ではなく、「その社会の国民が豊かになっているかどうか」であると、ドラッカーは考えていた。
ピーター・ドラッカーは、社会生態の変化のなかで、すでに起こってしまったもので、もはや元に戻ることのない変化、しかも社会・人間にとって重要な影響力を持つ変化でありながら、まだ一般には認識されていないものを「すでに起こった未来」と呼び、社会のリーダーはこれをいち早く認識しなければならないと訴えた。それを認識する者と認識できていない者とのあいだで紛争になる。しかし最終的には「すでに起こった未来]を認識できていない者が負けることになる。

今日の時点での「すでに起こった未来」とは「反グローバリズムのうねり」であり、これはまた「アメリカ一強時代の終焉」を意味する。日本はアメリカに頼ることを止めて、自分の足で立ち上がり、自分の頭でものを考え、前に進まなければならない。岸田文雄首相のように、「バイデン大統領の命令通りに動きますので、何なりとお申し付けください」とアメリカに頼ってはならない。

2.これまでのグローバリズム 

1962年シカゴ大学教授のミルトン・フリードマンが『資本主義と自由』という著作を発表して、「グローバリズム」「新自由主義」という言葉が世界中を駆け巡った。フリードマンは「企業の社会的責任は自分の利益を追求することである」と言い切った。企業は国境を超え、世界で限りなく安い商品を追い求め、利益を最大限にすべきだとフリードマンは煽った。これにまんまと騙され、洗脳されたのはロナルド・レーガン米大統領、マーガレット・サッチャー英国首相、中曽根康弘首相、小泉純一郎首相であった。

つまりカネもモノもヒトも世界をぐるぐる回るようにすることである。しかしヒトは労働者と消費者であるので、商品のコストを極限まで下げるために賃金を下げ、最終的には労働・人間を排除することになる。つまりグローバリズムは「ヒト」を排除することになり、「カネ」を中心にして動く社会にした。

グローバリズムは、限りなく商品コストを縮小するので、人間性を捨象し、それぞれの社会の文化・伝統を消し、それぞれの国民の個性も消してしまう。商品は「のっぺらぼうな」、なんの特徴もない「100円ショップのような商品」になる。こうした商品を操る無国籍企業が世界市場を独占する。彼らは国籍がないので税金は払わない。国民は豊かにならず、貧困化する。

1971年、アメリカの弁護士であったルイス・パウエルが企業国家アメリカの商工会議所宛に「マニュフェスト」という「檄」を送った。これは世界をグローバリズムにしようという「檄」である。ルイス・パウエルはDeep Stateのれっきとした手下であった。1971年は、共和党のリチャード・ニクソン大統領が所得格差を是正するために企業と富裕層に厳しい税制を打ち出し、環境問題を改善しようとする法案を出そうとしていた時であって、ルイス・パウエルがニクソン政権の施策に猛反対する「マニュフェスト]を出したのである。これはアメリカ社会をグローバル化にしようとするものであった。
ロナルド・レーガンは1981年に米大統領になり、ルイス・パウエルの指示に基づき、本格的にアメリカをグローバル化する仕組みを作った。これによりアメリカ産業はイノベーションを忘れて、マネーゲームに走り、海外に出ていき、アメリカ経済は衰退した。そのためアメリカの所得格差が拡大し、アメリカ国民は貧困化した。

アメリカのグローバル化は全世界をグローバル化した。日本もEU諸国もグローバル化し、国家の主権が後退してしまった。EUではEU委員会が国としての決定権を持ち、ドイツ、フランス、イタリアなどは独自の経済政策、金融政策、産業政策、移民政策を実施できなくなった。そのために産業も経済も衰退し、国民は貧乏になった。アメリカでも、後に産業で伸びたのはDeep Stateの手先であるGAFAMだけである。Deep StateはGAFAMに金を投下し、デジタル技術で世界をコントロールする仕組みを作った。

アメリカの歴代の大統領は皆Deep Stateにより操られている。Deep Stateに真っ向から反抗しているのはドナルド・トランプだけである。ロシアのウラジミール・プーチンもDeep Stateに反抗している。

今日、グローバル主義を推し進めているのはDeep Stateと中国共産党である。Deep Stateは世界中で戦争を仕掛け、戦争をする両国にカネと武器を貸し与え、多くの人を殺し、儲ける。最終的に他国を侵略して、その富を収奪する。この100年間Deep Stateが仕掛けた戦争はこのようなものであった。
ソ連共産党と中国共産党はもともとDeep Stateが、テロリストのレーニン、トロツキー、そして毛沢東などを起用して、金を与え、「共産主義・マルクス主義の旗」を授けて、クーデターというテロを起こさせて作ったものである。1917年にソ連を作り、1949年に中国共産党を作らせた。従ってDeep Stateにとっては、ソ連共産党も中国共産党も彼らの手下である。Deep Stateは時々中国共産党を痛めつけるような仕草をするが、それは世間を欺くためのカモフラージュである。
中国共産党も今では「超限戦(サイレント・インベージョン)」で静かに他国を侵略している。中国共産党の「超限戦」はDeep Stateの「戦略綱領」を真似したものである。オーストラリアも中国共産党により超限戦でやられた。中国共産党は今では「一帯一路」政策でユーラシア、アフリカまで侵略の手を伸ばしている。日本も中国共産党が北海道、和歌山、京都、関西などを静かに侵略している。しかし岸田内閣はこれを見て見ぬふりをしている。中国共産党は、近年「超限戦」でアメリカを侵略しているが、Deep Stateの了解を取ったうえでこれを実施している。これはDeep Stateの、中国共産党を使った、アメリカ社会の分断作戦である。
Deep Stateの「最終的な目的」は、世界の国々を分断し、監視社会にして、世界の人民をばらばらにして家畜のように働かせて、世界を支配することである。Deep Stateはこれを「New World Order 」、「Great Reset」と呼んでいる。

こうしたDeep Stateの悪行は、これまで「陰謀論」とされ、カモフラージュされていたが、今やそれを世界の多くの人々が知るところとなった。
ドナルド・トランプが大統領の時、大統領としては初めて「Deep State」という言葉で非難し、Deep Stateのいろいろの悪行を世間に暴露した。そのためにDeep Stateは慌ており、バイデン大統領Deep Stateはトランプを消さなければならないと決意した。

トランプ元大統領の暗殺未遂事件

7月13日、東部ペンシルバニア州でドナルド・トランプ元大統領は、トランプ支持派の選挙集会で演説中に銃撃を受けた。右耳を負傷したが命に別状はなかった。しかし弾丸が数センチずれて頭部に当たっていれば、命を落としていた。20歳の犯人がその場で射殺された。暗殺未遂事件である。Deep Stateとの関係はまだ明らかにされていないが、Deep Stateはトランプに消えてもらいたいと思っていたことは確かである。

これまでDeep Stateに刃向かう者は次々と暗殺されたり、または暗殺未遂事件が起きたりした。1865年のリンカーン大統領、1881年ガーフィールド大統領、1901年マッキンリー大統領、1912年セオドア・ルーズベルト元大統領、1963年ジョン・F・ケネディ大統領、1968年ロバート・ケネディ上院議員、1981年ロナルド・レーガン大統領などである。

右耳に白いガーゼをあてたドナルド・トランプは翌日(7月14日)の共和党大会に出席し、「私は死んだはずだった」と言って、「神様に生かされているという姿」で慈悲的な観音菩薩の眼差しで多くのトランプ支持者に挨拶した。共和党大会での決議として、正式にドナルド・トランプを大統領候補に指名した。
これまでトランプはラストベルトの白人の労働者の支持を得るために意識して下町の荒い言葉を使っていたために、アメリカの若者や知識層はトランプを支持しない「ネバー・トランプ」になっていた。しかし、今生まれ変わったトランプ氏にたいしては、アメリカの無党派層がトランプ支持に変わるかもしれない。
銃撃事件から一夜明けた14日朝、トランプ前大統領は自身のSNSに「皆さんの昨日の思いと祈りに感謝する。我々は恐れない。信仰を保ち、邪悪に抵抗し続ける」と投稿した上で「事件で亡くなった人に哀悼の意を表して怪我をした人たちの回復を願う」と述べた。また、トランプ氏は「私たちが団結してアメリカ人としての真の姿を示し、強く決意を固めて悪に勝たせないことがいま、これまでになく重要だ」と言った。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は「トランプ氏を暗殺しようとする企てが現当局によって組織されたとは考えていない」と記者団に述べた。その上で「米国が現在直面している状況はトランプ候補を取り巻く雰囲気が引き起こした」と指摘した。ロシアは政治闘争の過程におけるいかなる暴力も非難すると述べた。
ペスコフ氏は「バイデン大統領に攻撃の責任がある」と直ちに非難した一部の米共和党議員らに同調し、法的手段などを例に挙げ「トランプ候補を政治の舞台から排除しようとする数々の試みで、彼の命が危険にさらされていたことは外部の観察者にとっても明らかだった」と述べた。

7月13日のトランプ銃撃事件が起こった現場のビデオ映像を見ると、不思議だと思えることがいくつかある。トランプ支持派の選挙集会の会場で、演壇から130メートル離れた建物の屋根に、トランプ氏が現れる10分前にライフルを持った若い男がよじ登り、腹ばいになりライフル銃口を演壇に向けて構えているのを見た人がおり、大声で地元の警官に通報していた。警官はハシゴで屋根に登り、若者に声をかけたところ、その若者は振り向き警官にライフルの銃口を向けて威嚇した。警官は危険を感じ、屋根から降りた。その後若い男はトランプ氏に向かってライフルで立て続けに6発撃った。そのうちの1発がトランプ氏の右耳の上部を貫通した。若い男(トーマス・クルックス、20歳)がライフルをもって屋根に登っているという通報を受けてから、若者がライフルで撃つまでかなりの時間があった。その間、演壇の周りに待機していたシークレットサービスは何の動きもしていない。
ある情報では、地元の警察の持っている通信機はシークレットサービスの通信機と周波数が異なり、連絡できなかったという。そして元大統領の護衛チームとしては数が少なすぎるとも言われている。こんなことはありえないことだ。
通常のアメリカでは、地元の警官が通報を聞き直ちに屋根に登り犯人の若者をその場で取り押さえるか、射殺する筈である。だから副大統領に指名されたJ.D.バンス上院議員は「この事件は現政権に責任がある」と言った。先述のロシア大統領府のペスコフ報道官もこのことを指摘している。
更にシークレットサービスのトップであるバイデン政権が任命したキーム・チートルは、トランプの演台の背後にある建物の屋根にいたスナイパー銃を持った護衛の狙撃手に「犯人を射殺するな」と指示を出していたという情報もある。
犯人トーマス・クルックスの持っていた「ライフルAR15」の最適射撃距離は30メートルだと言われている。130メートルは長すぎ、確実性が劣るという。 トーマス・クルックスの単独犯罪ではないようである。この真相が明らかになるにはまだ時間がかかる。

しかしこのトランプ元大統領暗殺未遂事件により、共和党の結束が高まり、トランプ氏が11月5日の大統領選挙で、アメリカ大統領に就任する可能性が高まってきた。

グローバリズムの歴史とDeep State

昔からグローバリズム的な動きは存在した。2世紀のローマ帝国、13世紀のモンゴル帝国、ナポレオン帝国もグローバル化で世界を制覇しようとした。ローマ帝国、モンゴル帝国などは、他国を侵略し膨大な人間を虐殺(ジェノサイド)し、多くの人間を奴隷にした。
その意味ではローマ帝国主義はまだ死んでいない。パンとサーカスというプロパガンダでカモフラージュし、今でも帝国主義的な侵略戦争、ジェノサイドは続いている。この300年、Deep Stateがそれを受け継いで、より大きなスケールで展開しているのだ。これが今日のグローバル主義勢力である。

Deep Stateは、自分の手を汚さないで、他国を使ってあちこちで戦争を仕掛け、多くの人を殺し、他国の資産を収奪する。Deep Stateは「民主化しましょう」、「経済の復興を手助けします」と言って、その国を乗っ取り、その国の富を収奪する。Deep Stateは一度、1991年末、ソ連崩壊のドサクサに紛れてロシアの資源資産を強奪し、多くのロシア人を死亡させたことがある。これに対してプーチンがロシアの大統領になってDeep Stateによって奪われたロシアの資源を奪還した。
Deep Stateは、ロシアの豊富な資源が忘れられず、再度ロシアを弱体化し、ロシアの資源を収奪しようとして今度のウクライナ戦争を起こしたのである。Deep Stateはウクライナ戦争の目的をまだ達成していない。しかしDeep Stateのメンバーであるブラックロック社はウクライナの肥沃な農地の65%を二束三文ですでに買収している。Deep State・NATO・ウクライナ軍はロシア軍に敗退している。だからDeep Stateはこのウクライナ戦争を止めることができない。

Deep State のネオコン・グループの女性のユダヤ人であるマデレーン・オルブライト元国務長官は、ある記者会見で、アメリカが仕掛けたイラン・イラク・中東戦争で何万人、何十万人もの民間人が殺害されたことについて追求されたが、「確かに多くの人を殺したが、それがどうしたと云うのか? 彼らを殺すことは世界にとって値するものだった」と言った。このような人は、脳の構造の中で、「哀れみ」とか、「恥じ入る」とか、「善と悪の判断」という脳細胞の回路が欠落しているのであろう。

1773年、Deep Stateの党首であるロスチャイルドが12人の賢者を集めて、世界を支配するためにはどうしたらよいかを検討する「秘密会議」を開催した。その会議の結果が『行動綱領』としてまとめられた。この『行動綱領』を、1776年にロスチャイルドが資金提供して、インゴルシュタット大学のアダム・ヴァイハウプト教授に『Novus Ordo Seclorum』 (英語では New World Order)として出版させている。

それ以降Deep Stateは、その『行動綱領』に従って「世界を征服・支配する」ための行動を続けてきた。世界を支配するということで最も重要なものは世界の金を支配することである。一番にやったことは他国の金、他国の富を収奪することであり、次は自分(Deep State)が金を儲ける仕組み、手段を作ることである。また金を稼ぐ人、金を稼ぐ国を潰すことである。具体的には社会を分断し、互いにいがみ合う陣営をつくり、その対立する両方の陣営に金を貸し、武器を与えて、戦争させて、世界の国々を弱体化させて、富を収奪する(これを「両建て作戦」と呼んだ)。これにより多くの世界の人々を殺害してきた。こうしたDeep Stateの行動について、ロスチャイルドは「一般の人々に気づかせないように実施せよ」との通達を出していた。最悪の場合でも「陰謀論だ」ということでカモフラージュせよと通達されていた。しかし今ではそれが守られず、Deep Stateの悪事が世間に暴露されてきている。

Deep Stateグループは、こうした綿密な世界を征服する計画に基づき実行してきたので、人間の持つ「哀れみ」、「正義」を認識する「脳細胞とシナプス」が欠落しているのであろう。Deep Stateグループを率いているユダヤ人は、普通の人間にはない、ずば抜けた「記憶力」を持ち、人間の感情を入れない「冷徹な思考」のできる人間である。そうでなければ、300年間戦争を仕掛けて、多くの人間をジェノサイドで殺害し続けることはできない。異常な天才である。普通の人が感じる「悪意」(Malice , Malicious) と「罪悪感」いう認識がないのであろう。何をしても自分が悪事を働いたという認識はない。

3.世界の対立構造の変遷

近現代史において、世界の国々が調和のとれた関係を築いた平和な時代は一度もなかった。世界は、常にいろいろの国で戦争が起こり、常に「対立構造」が存在した。

その対立構造は、「封建社会」対「自由主義国」(フランス革命、ナポレオン戦争)、「帝国主義国」対「民主主義国」(アメリカが日本に戦争を仕掛けた時に使った図式)、「資本主義国」対「共産主義国」、「アメリカ」対「ソ連」(米ソ冷戦時代)、「テロ国家」対「民主主義国家」(アメリカのアフガニスタン、中東戦争のとき)、「民主主義国」対「権威主義国」(アメリカのロシア・中国への攻撃のとき)など、いろいろ変遷してきた。言うまでもなく、この「対立構造」を作ってきたのはDeep Stateであった。

現在は「先進国G20」対「社会主義国」そして「先進国G7」対「全体主義国」となっている。そして2年前から「先進国G7」対「BRICS・グローバルサウス諸国」と変わってきている。これはアメリカの力が衰退してきたことが明白になり、Deep Stateの数々の悪行がいろいろの機関により暴露さてきたことによる。つまり、アメリカ(Deep State)抜きの国々の結束が拡大しているのである。

4.Deep Stateを追い込む動き

上海協力機構の拡大

2024年7月4日、上海協力機構(SCO: 中国、インド、ロシアが主導する枠組み)の第23回首脳会議が、中央アジアのカザフスタンで、インドのナレンドラ・モディ首相を議長としてオンラインで開催され、そこでロシアの同盟国ベラルーシの正式加盟が承認された。準加盟国だったイランも正式加盟が承認された。
ベラルーシの加盟により、上海協力機構の加盟国は10か国となった。カザフスタン、中国、ロシア、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシである。SCOは多極的な世界の安定力になっているとの考えを示した。

プーチン大統領は、「SCOは公正で多極的な世界秩序の重要な柱の一つとして確固たる地位を築いている」と表明した。「ロシアと中国の二国間関係は史上最高の状態にある」とし、「われわれの協力は何かを標的にしたものではなく、いかなるブロックや同盟も形成していない。国民の利益のためだけに行動している」と述べた。
習近平主席は冒頭演説で「絶え間なく変化している国際情勢」に対応し、中国とロシアは「何世代にもわたる友好という従来の願いを堅持する」と語った。プーチン氏と習近平氏は、SCOの発展は「新しい冷戦]を意味するものではないと述べている。
SCOのウェブサイトによると、加盟10カ国の総国土面積は3,500万平方キロメートルを超え、人口35億人以上、世界のGDPの約4分の1を占め、世界貿易のシェアは15%以上だ。
議長国カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は首脳会議の演説で、「SCOが大きな潜在力を持ち、世界的で重要な役割を担う組織に成長した」と述べた。1年の活動を振り返り、投資作業部会の活動再開や自国通貨決済への移行の進行により、加盟国間の貿易と経済協力がダイナミックに発展したと評価した。欧米主導の国際秩序に対抗する枠組みとしての性格がさらに強まった。

2023年度BRICS総会

2023年8月22日から南アフリカ・ヨハネスブルグで開幕したBRICS総会、別名「BRICS首脳会合」には、逮捕を恐れたプーチン大統領はビデオ演説した。中国の習近平国家主席は同時期に南アフリカを訪問し、22日にラマポーザ氏と会談していたもののビジネス会議の会場には姿を見せず、王文濤商務相が声明を代読した。それでもビジネス会合には南アフリカのラマポーザ大統領、インドのモディ首相、ブラジルのルラ大統領が出席し、グローバルサウスの役割強調が目立つ内容となった。
今回の総会開催でアルゼンチン、エジプト、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦がBRICSに加盟することが決定した。世界の主要原油生産国の8カ国のうち5カ国がBRICS入りを果たしたことで、原油生産の実に80%がBRICSのコントロール下に置かれることになり、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イランがすんなり加盟したことは新たな時代の幕開けを示唆する。

この勢力はすでに世界のGDPの30%、実に30兆ドル規模に膨れ上がっており、すでにG7が競争の対象ではなくなりつつあることを示している。プーチン氏は国際決済における脱ドルは「後戻りすることのないプロセスだ」と述べ、ドルに依存しない新興国との貿易の促進に拍車がかかる
今回の首脳会談ではBRICS共同通貨の「ローンチ」について発表はなかったが、世界の原油生産の実に8割をBRICSが制御するとなればドル決済を徹底的に排除しロシアルーブルや人民元ベースでの取引を拡大することは容易で、「新ペトロ通貨」が生まれる可能性がある。原油生産という非常に重要なファクターをOPECではなくBRICSが中心になってコントロールする新時代が到来したことになる。BRICSに石油産油国が入会する。欧米のセブンシスターに代わり、「新セブンシスター」が結束すると、「新ペトロ通貨」が誕生することになり、ドル崩壊に歯止めがかからなくなる。

イランとサウジアラビアの国交回復

2024年3月10日、イランとサウジアラビアの国営メディアは、両国政府が2カ月以内に外交を正常化し、双方の大使館を再開することで合意したと伝えた。これは中国が両国を仲介した。7年前に国交を断絶し、激しく対立してきたサウジアラビアとイランが今手を結ぶことになった。中国主導による中東の大国の和解実現は米国の指導力低下を意味している。
中東の覇権を争うサウジアラビアとイランの両国の対立は、イラク、シリア、イエメン、レバノンなど多くの国を巻き込み、「代理戦争」と言われる状況を生み、中東諸国を分断させてきた。この両国の関係正常化が実現すれば、2か国にとどまらず、地域全体の安定と緊張緩和につながる。

7月10日にサウジアラビアがG7に警告した。
「G7がロシアの資産を凍結・押収したが、これをウクライナ支援に使うと決議したことに反対し、サウジアラビアは保有している欧州債権を売却する」と言った。サウジアラビアは保有するフランス国債、ユーロ国債など数百億ドルを売るというのである。つまりサウジアラビアは欧州に投資していた資金を引き上げ、第三国に資金を流すというのである。

ハンガリーのビクトリア・オルバン首相の電撃的行動

2024年7月2日にハンガリーのビクトリア・オルバン首相は、突然キエフを訪問し、ゼレンスキー大統領に会い、それから7月5日にモスクワに飛び、プーチンと会った。そして両者にウクライナ戦争の停戦を要請した。
このオルバン首相のモスクワ訪問にたいして、欧州理事会議長のシャルル・ミッシェルは怒り、「輪番制議長国のオルバンのモスクワ訪問にEUを代表する権限はない」と言って批判した。オルバンはそれに対して「欧州に平和が戻ることを強く求める人類の代表として発言したのであって、6ヶ月間の輪番制議長の立場で発言したのではない」と述べた。

この7月5日のオルバン首相とプーチン大統領の会合で、いくつかのことが明らかになった。

2014年に、ロシアはロシア人が多く住んでいるクリミアを占領したが、プーチンは、そのクリミアの主権をウクライナと共有するという驚きの[新和平案]を既にアメリカに提示していたのである。プーチン氏はロシアの内相をアメリカのワシントンに派遣し、この「新和平案」をもとにアメリカと打ち合わせをさせた。ロシアはアメリカと外交の裏ルートを持っていたのである。
プーチン氏はオルバン氏に言った。「ロシアはすぐにでも停戦し、和平交渉をすると何度も言ってきた。しかしウクライナのゼレンスキーはそれを拒否した。私はその理由を知っている。ウクライナ戦争が停戦になると、ウクライナは戒厳令を解除しなければならなくなる。そうすると戒厳令を理由に中止した2024年3月にやるべきだった大統領選挙を実施しなければならなくなる。今日のウクライナの状況ではゼレンスキーが大統領選挙で勝利する見込みはゼロだから、ゼレンスキーはロシアのプーチンの和平交渉案を拒否したのだ」。
プーチン氏は記者団に「オルバンとの会談はフランクな(率直な)ものだった」と述べた。外交用語で「フランクな」は、両者にはまだ隔たりがあることを意味している。しかしプーチンはオルバンとの会談を大変ポジティブなものであったと考えている。

5.欧州の反グローバリズムのうねり

イギリスの総選挙で労働党が勝った。しかし実際は、労働党は得票数を前回より減らしている。「労働党」(412議席)「保守党」(121議席)「自由民主党」(71議席)「リフォームUK」(5議席)となった。「リフォームUK」はブレグジットを率いたナイジェリー・ファラージが党首であるが、「保守党」の者がこれから「リフォームRUK」に流れてくることになると見られている。ファラージ党首は「反グローバル主義」であり、アメリカのドナルド・トランプと強いパイプで繋がっている。

 近年、イギリスの EU 離脱やアメリカの「自国第一主義政策」において、世界的にも、先進諸国でも、反グローバリズムの勢いが増し、貿易における保護主義的措置の台頭や移民の排外主義の高まりなど、既存の政治体制・グローバル経済体制を大きく揺るがす事態が起きている。これはグローバル化により経済社会の急激な変化から取り残された人々が、インフレや、エネルギー価格高騰問題、格差拡大問題、移民による賃金低下・社会の分断など不満が限界に達したことがある。つまり、グローバル政治に対する反抗がヨーロッパ中に起こっている。

イタリアのメローニ首相もインドのモディ首相と反グローバリストのロシアのプーチン大統領と繋がっている。フランスは、マクロン大統領がグローバル化で農産業を縮小するのに反対して農民が全国的なデモ行進を起こしており、マクロンは選挙で大敗をした。スペイン国内では、バルセロナ地域を中心にしたカタルーニャ地方には、常にスペインからの独立を目指す一派が存在している。イギリス内でのスコットランドは、イギリスからの独立を目指してスコットランド独自の国民投票まで実行した。

6.Deep Stateの最後のあがき

オバマのバイデン大統領降ろし

Deep Stateは、2020年、バイデンを操り人形として、アメリカ大統領にした。しかしバイデンの健康上の問題を含めて、バイデンは11月5日の米大統領選挙では共和党のトランプ大統領候補には勝てないということでバイデン大統領を退任させることにした。

そこで、オバマ元米大統領は、ジョー・バイデンの退任を進めるために、ある「ショー」を行うことにした。本来なら8月、9月に共和党と民主党の指名する「大統領候補のTVディベート」をやるのであるが、その予定を変え、トランプ氏とバイデン氏の「TV討論会」を6月30日に実行した。案の定、この「TVショー」でバイデンの認知症が重症であることが世界に知れ渡った。これで全メディアがバイデンの退任要請をアナウンスした。多くの民主党の政治家もバイデンの退任を要求した。しかしバイデン氏はそれを拒否している。

ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、バイデンの認知症について、Blank Stare(心が虚ろで静止している)が起こっており、重症であることを指摘した。ホワイトハウスの中には、イスラエル・パレスチナ戦争を止めさせようとする民主党議員と、イスラエルに更に武器支援をして戦争を煽るネオコンのような者とがいる。しかしバイデンは民主党員とネオコンのイスラエル支持者と会話する能力がなく、それぞれのグループはバイデンを人質にしているのである。今バイデン氏は、ホワイトハウスでどんな書類にサインしているのかが全く分かっていない。しかしバイデンは、このホワイトハウスの大混乱に気づき、友人に電話して、誰かホワイトハウスに来て私を助けてくれとないかと言ったが、誰もこの火中のクリを拾う者はいない。マグレガー元大佐は、TV討論を見たあとで「我々の国は危機的状態になっている。このような大統領をそのままにしておくのはアメリカに対する侮辱である」と述べた。

バイデンを辞めさせるには、憲法に基づき、副大統領が他の複数の閣僚と相談して、バイデンは大統領の職務を全うする能力がなくなったことを書面にして議会に提出しなければならない。しかし本人は大統領を辞める意思はない。バイデンが大統領を降りると、身内がやっている悪事について議会がバイデン一家を訴追することになるので、バイデンは退任できない。(息子のハンター・バイデンのいろいろの犯罪、バイデン自身を含めたバイデンの身内が人身売買で金を儲けていること)

NATOの東方拡大

NATOはもともとドイツを封じ込めるものであったが、その後ソ連の軍事力拡大で「米ソ冷戦」が起こり、ソ連が率いるワルシャワ条約をもとにしたソ連の衛星国を入れた「ソ連の防衛網」ができた。アメリカはそれに対抗するためにNATOを「ソ連を追い詰めるための組織」にして拡充した。NATOの拡大は、Deep Stateのグローバル化戦略展開の一つである。しかし1991年にソ連が崩壊して、ソ連のワルシャワ条約体制が解消し、NATOの存在理由がなくなった。

アメリカ政府は、「NATOを解消はしないが、NATOの東方拡大はしない」と約束した。しかしアメリカはその約束を破り、NATO組織の東方への拡大を進めてきた。そしてウクライナをNATOに加盟させたいと言い出した。ウクライナがNATOに加盟するとミサイル基地ができ、ミサイル弾は10分でモスクワに届く。ウクライナ戦争の原因の一つはこのNATOの東方拡大である。

岸田首相は、昨年NATOに呼ばれて、NATOの極東への拡張について打ち合わせた。そして今年、北海道でNATO軍と日本の自衛隊の合同演習をする計画が話し合われ、東京に「NATO事務所」を設置させてほしいとの要請を受けた。ロシアのプーチンはこれに反対している。
7月9日から11日、ワシントンで「NATOサミット」が開催された。NATO結成の70周年記念に当たる。これに日本、韓国、ニュージランド、オーストラリアが招待された。
第一の決議はウクライナに430億ドルの支援をする。
第二の決議はロシアがウクライナ戦争を続けられるのは中国がロシアを支援しているからだとした。NATOの事務総長のストルテンベルグは「ウクライナ戦争が長引いているのは中国がロシアに軍民両用の技術を輸出しているからだ」と述べた。

実際は、中国は「武器」をロシアに供給していないが、中国はロシアに軍民両用の「先端電子製品」を供給している。これを理由にして、Deep State・NATOは次の戦争を仕掛けようとしている。つまりDeep State・NATOは中国とアジアで戦争を起こす計画をもち、日本が中心的な戦場になる。Deep Stateは中国と日本を戦わせるのである。尖閣諸島と沖縄が戦場になるのであろう。中国は尖閣諸島に軍事情報レーダー基地とミサイル基地を設置し、台湾全体をコントロールして台湾を完全に支配する体制を作ることを狙っていると言われている。更に沖縄に中国共産党の軍事基地をつくる。このために日本の自衛隊と戦うことになる。だがNATO、アメリカはこの戦闘には加わらない。本当のことを言えば、NATOとアメリカは中国と戦う力はなく、戦う気はない。ただアメリカは兵器を日本に売りたいと思っている。

7.すでに起こったこれからの道

これまでの500年は、多くの国が白人の西洋文明を崇め、西洋化を進めてきた時代であった。言うまでもなくこの西洋文明はDeep Stateによってコントロールされていた。日本は明治維新(1868年)以降、憧れの西洋文明を追い求め、日本文化を捨て、西洋文化を導入した。それにより、日本は科学技術を発展させ、産業を興し、経済を発展させて、経済大国になったが、所得格差は拡大し、国民は貧困化し、社会は分断され、憎しみと戦争をもたらした。日本人にとって最も悲劇であったことは、第二次世界大戦に破れ、戦後アメリカ・GHQは日本の歴史、文化、伝統、日本精神、武士道の精神を徹底的に消してしまったことである。

しかしアメリカ自身は1981年からグローバル化に走り、産業を衰退させ、移民を大量に入れてアメリカ文化を破壊してしまい、アメリカ社会は分裂してしまった。支配者としての白人も、今や世界の中で、マイノリティになりつつある。

1919年6月28日、第一次世界大戦後のパリ講和会議で、日本は人種差別撤廃の提案をしたが、アメリカ大統領により拒否された。しかし今日では人間の肌の色の違いによる差別は消えた。人間社会にとって、物質だけではなく、人間の心の持ち方がこれから重要になることが分かったからである。

7月13日、トランプ支持派の選挙集会でドナルド・トランプが銃撃されてから、7月14日に右耳に白いガーゼをあてたドナルド・トランプ氏が共和党大会に姿を現した。トランプ氏は「私は死んだはずだった!」「私はここにいるはずではなかった」と言って、「神様に生かされているという姿」で慈悲の眼差しで多くのトランプ支持者に挨拶した。そして「今必要なことは団結である!」と叫んだ。トランプはこれまで「団結」という言葉を使って支持者に話したことはない。このトランプの言った「団結」とはアメリカ全体の団結を呼びかけたものである。側近にはトランプ氏は「私はみんなから愛されたい」と言ったという。これまでのトランプの眼はギラギラとした闘争の眼であったが、今は慈悲の眼に変わっている。トランプ氏の側近たちは、銃撃事件以降、トランプの性格が変わった事に驚いている。トランプは翌日のスピーチの内容を少し変えるように指示したと言われている。トランプの心情の変化が一次的なものかどうかはわからない。しかしこの瞬間でもトランプが変わったことは確かである。トランプ氏はバイデンや共和党を罵ることはしなかった。これまでの挑戦的なトランプとは全く違ったものになった。そしてバイデン氏もトランプを罵るTV番組を中止した。18日トランプは共和党大会で演説した。これまでのトランプとは違い、落ち着いた態度でアメリカ国民全員の団結を訴えた。民主党やバイデンを批判しないで、強いアメリカを作り上げようと訴えた。こうした光景はTVやSNSで全世界に伝わった。
このトランプ氏の言葉や眼差しが何を意味するかはまだわからないが、しかし130メートル先からライフルで右耳を銃撃されたが一命をとりとめたということが、トランプの心情を変えたのではないか。トランプ氏は仏教でいうところの「解脱」の域に到達したのかもしれない。これが世界の政治を良い方に変えることを望む。

7月14日の共和党大会での決議として、正式にトランプ氏を大統領候補に指名し、そしてトランプ氏はトランプ内閣での副大統領を指名した。18日にトランプは共和党が大統領候補にトランプを指名したことに対して、それを正式に承諾した。副大統領に指名された上院議員のJ.D.バンスは、2016年ころは「トランプ打倒の旗頭」であり、ある記者のインタービューでバンス氏は「私は『ネバー・トランプ(トランプは絶対だめだ)』派だ。彼を好きになったことは一度もない」と言っていた。しかしその数年後、バンス氏はトランプ前大統領の強固な支持者に変身した。トランプ氏もそんなバンス氏を副大統領に指名し、自分の味方にした。7月16日、「反トランプ」であった元国連大使のニッキー・ヘイリー氏が共和党集会に現れ、自分はトランプ氏の強力なサポーターになったことを表明した。

トランプ氏は、敵対しているロシアのプーチン大統領、北朝鮮のキム・ジョンウン総書記、中国共産党の習近平総書記とも腹を割って話をすることができる。今度の銃撃事件でトランプの心は慈悲の心に変わったようだ。これがこれからの世界で必要なことになる。

ハンガリーのビクトリア・オルバン首相も心の広い人物である。「今世界が必要とすることはドナルド・トランプが帰って来ることだ」とオルバンは訴えた。オルバン氏はEU委員会の幹部から批判されているが、世界の平和のために世界中を飛び回っている。本来なら大和心、和の心を持った日本人がこれからの世界を纏めるべきであるが、残念ながらいまのところ日本にはそのような人物がいない。

とにかくこの世界で、人を殺す戦争を止めさせなければならない。インドのモディ首相が言ったように、「戦争では問題は解決しない。戦争をする時ではない」である。そのためには「世界の対立構造」を解消させなければならない。世界の人々の心から「悪意」を消さなければならない。人を押し倒してでも自分の利益を追求するという心を消さなければならない。

Deep Stateはこれまで世界各地で戦争を仕掛けてきたが、これを止めさせなければならない。そして中国共産党に「超限戦」を放棄させなければならない。

米大統領になるうえでのトランプ氏の公約:「アジェンダ47」で、「Deep Stateの一掃]を掲げているが、これを戦争ではなく、トランプ氏の「慈悲の心」でDeep Stateグループの心を入れ替えさせることである。Deep Stateは、党首ロスチャイルドのつくった「世界支配の綱領」を捨て、軍事産業ではなく、そして生物兵器産業でもなく、まともな民生産業を興し、人類社会に貢献しなければならない。「全BRICS諸国・グローバルサウス諸国」が団結してDeep Stateグループの心を変えさせなければならない。

8.ドナルド・トランプが米大統領に就任すると何が起こるか

トランプ政権での政策綱領

7月15日に開幕した共和党大会でトランプ政権での「政策綱領」を決議した。

(序文)アメリカは深刻な衰退期にある。アメリカを再び偉大な国にする。

①   トランプ減税を恒久化し、チップ収入に対する課税を撤廃する。インフレを退治し、住宅ローン金利を下げる。民主党が導入した仮想通貨の規制を撤廃する。
②   バイデン政権の気候変動対策を廃止する。バイデン政権が導入したAI規制を撤回する。
③   「国境の壁」の建設完了、不法移民の強制送還、海外駐留米軍を南部国境に配置する。
④   中国のWTOの最恵国待遇を廃止する(関税の引き上げ)。アメリカ第一の通商政策を貫く。国内生産者を優先する。
⑤   同盟国が共同防衛への投資義務を果たすことで、同盟を強化する。欧州の平和を取り戻し、中東の平和を追求する。

プロジェクト2025

トランプを支持している「ヘリテージ財団」「シンクタンク」がトランプに提言している政策:「プロジェクト2025」(Mandate for Leadership)がある。

①   アメリカの家族制度を破壊するLGBT法案を破棄する。
②   ビッグテックを保護する通信品位法230条の修正。
③   司法省が司法を武器化してきたことに対する是正。
④   WHOからの脱退を検討。
⑤   連邦準備制度(FRB)の改革。貨幣政策のハンドルを当局の手から取り戻し、国民に戻す(これにはDeep Stateは抵抗するであろう)。
⑥   ホワイトハウスの人事の刷新(Deep Stateの手下の一掃)。

日米関係

これまでの日米同盟は、日本はアメリカの属国であったが、トランプ政権になると、「アメリカ第一主義」に基づき、日本とアメリカは対等な同盟関係になる。

世界構造は「アメリカ一極支配構造」から「多極構造」に変わる。バンス副大統領候補は「同盟国にも世界平和の確保のために重責を担ってもらう」。そして「グローバル企業にこびへつらうことなく、アメリカ企業とアメリカ産業のために立ち上がるリーダーが必要だ」と説いている。トランプは「アメリカは他国への介入を止め、自国第一主義を推進する」と言っているが、同時に「日本も日本第一主義になれ」と言っている。

イギリスのデヴィッド・リカードが提唱した「比較優位生産構造と国際分業による交易」(The Theory of Comparative Advantage)がこれからの世界構造となる。これはトランプの[自国第一主義]に通ずるものである。自国の文化、伝統、習慣に基づいた優れた高付加価値の商品を開発し、それを国際分業で交易することにより世界の国々が豊かになるものである。他国への介入を排し、互いに相手国の主権を尊重する。これにより世界の国々は繁栄し、平和な世界になる。

これは、日本が主権を取り戻すチャンスとなる。しかしそうなるためには日本は、自分の頭でものを考え、自分で行動しなければならない。そのためには日本及び日本人は、経済力・産業力だけではなく、日本精神、大和心、日本の文化・伝統・歴史・共同体精神・葉隠武士道精神を取り戻さなければならない。日本人の身体の中にこの日本精神は宿っている。これを自分のものとして引き出すことである。

9.日本の進むべき道

戦前アメリカDeep Stateは、「日本チーム]を設置し、日本という国と日本人を徹底的に調査した。Deep Stateは、日本の強みは、「技術力」、「ものづくり力」、「団結力」ではなく、日本精神、大和心、武士道精神、共同体意識、和の精神、家族制度であると見ていた。この日本の強みはアメリカにとって大きな脅威になるとし、これを徹底的に破壊しなければならないとした。この日本精神を徹底的に壊すために、Deep Stateフランクリン・ルーズベルト大統領は有色人・日本を弱体化する「ABCD包囲網計画(日本への石油を断つ)」「オレンジ計画」を策定し、日本を太平洋戦争に誘い込んで、日本を破壊した。

戦後アメリカGHQ・Deep Stateは、日本人がもっていた日本の伝統・文化、歴史、日本精神、神道、共同体精神、武士道の精神を消すために日本の教育制度を変え、それに関する書物を焚書にした。
日本を再興するには、先ずアメリカが消した日本精神、大和心、日本文化、日本の歴史、神道、共同体精神、武士道の精神を取り戻さなければならない。そのためには教育制度を日本独自のものに戻すことである。

日本精神を取り戻したあとで、独立日本としての正しい政策を策定し、実施する。
防衛政策:抑止力としての核武装(核搭載の原子力潜水艦の建造)。
財政政策:緊縮財政の暗示から覚めること。
環境問題政策:極端な脱炭素政策を破棄する。エネルギー自給率、食料自給率を引き上げる。
経済・産業政策:イノベーション力を向上させる。生産性向上投資の実行。消費税の撤廃。
社会政策:LGBT法の破棄、移民法案改正を破棄する。

国民を豊かにする政策を策定し実施する。

デヴィッド・リカードが提唱した「比較優位生産」の考えのもとに、イノベーション精神で、日本の伝統・風土・文化をベースにした優位性のある商品を開発することにより、国際分業による交易を通じて、各国が互いに繁栄することになる。これがこれからの多極化時代の経済システムである。

こうして日本は、80年続いた「アメリカの属国」の地位から独立して、トランプのように「自国ファーストの道」を進め、国際社会における日本の役目を全うしなければならない。 


「すでに起こった未来:日本はどう対処すべきか」完
2024年7月20日
三輪 晴治