不妊治療について 顕微授精編

はじめに

こんにちは。
前回の記事の続きになりますので、よろしければそちらから見ていただければと思います。
前回は男性不妊治療を行い、精子凍結まで。
今回は採取した精子を用いて、卵子との受精を行う顕微授精について書いていきたいと思います。

人工授精と体外受精と顕微授精

不妊治療の上で「人工授精」と「体外受精」は異なります。
人工授精は、採取した精液を使うのは同じなのですがそれを子宮内に直接注入する方法です。体外受精に比べると低コストで、身体的負担も(おそらく)少ない方かと思います。妊娠可能性も極端に低いわけではないです。
(おそらく)と書いたのは私たちは最初から「体外受精」を選択、しかもそのうち「顕微授精」を行ったからです。
「体外受精」は、卵子を身体から採取し体外で精子を振りかけて実施するものです。さらに、「顕微授精」は体外受精の一種で精子を直接卵子に注入して行うもので、より確率が上がります。その反面、コストが非常に高くなり、注射のための通院などを行うので身体的にも大変です。
私たちがこの「顕微授精」を行ったのは私の精子の質が影響しています。人工授精や体外受精は精子が自分で頑張って卵子にたどり着かないといけないのですが、前回の記事の通り元気な精子数が多くなかったため、顕微授精を選択しました。

採卵とその準備

前回までで私の精子自体は採取しておりましたので、次は卵子の採取が必要です。そして、多くの卵子を採取できるように事前の準備が必要です。
具体的には、採卵を行う前に注射を打っていきます。どのくらいの期間かは人によると思うのですが、妻の場合十日間くらい行っていました。これが毎日です。色々なやり方があって、自宅でできる方法もあるみたいなのですが妻は毎日病院で打ってもらっていました。全日ではなかったと思うのですが、可能な限り送迎をするという形で協力していました。
今回も最後に費用算出は書くのですが、このあたりのお金の飛びようはすごかったです。毎日ですからね。今は保険適用で軽くなったと思いますが。
そして採卵当日。実際に身体から卵子を採取し、そしてすぐに顕微授精を行います。ちなみに採取するのは手術というほどではないのですが、麻酔をかけて半日くらいで行います。妻の場合も午前中で終わりました。おひるごはんに焼き肉を食べに行き、強いな…って思ったのを覚えています。ちなみに、これは2020年12月のことでした。その二日後ぐらいに、顕微授精の結果を聞きに行きました。

顕微授精結果

今回、妻から10個以上採卵できたこともあって数個は体外受精(卵に精子を振りかけるもの)も行い10個を顕微授精(卵に直接精子を注入するもの)としていたのですが、まず体外受精はすべて受精がありませんでした。もともと私の精子が弱いのがあったのですが、ここで可能性が見えれば今後の不妊治療の選択肢が増えるなと思ったのですが…。
しかし、顕微授精のほうについては受精した卵が見られました!10個中7個に受精が見られ、そのまま正常に成長したものは最終的に5個となりました。まずは、私の精子と妻の卵子がきちんと受精できる状態出来ることにとても安心し、非常にうれしかったことを覚えています。

胚移植にむけて-初期胚と胚盤胞-

上で「正常に成長したもの」といった卵は、受精から2~3日後の卵の状態をいう「初期胚」まで育った状態のことを言っております。そして、これを更に成長させて5~6日経った状態のものを「胚盤胞」といいます。
卵を身体に戻す「胚移植」では、初期胚を移植する「初期胚(分割胚)移植」と「胚盤胞移植」があります。初期胚はすべてが確実に胚盤胞まで成長できるわけではないため、成長できた胚盤胞を移植することで移植一回当たりの妊娠率は高くなります。逆に言うと初期胚より移植回数が少なくなるので、チャレンジ回数が減ることと、体外で胚盤胞まで育たなかった卵が体内では育った可能性は誰にも分らない点、胚盤胞まで培養する費用が掛かる点などがあるため、明らかに胚盤胞が優位であるわけではありません。
私たちは、すべて初期胚移植を選択することにしました。病院からおすすめされたことと、ここまで頑張ったのに一個も胚盤胞まで育たずに胚移植が一回もできないということを避けたいという気持ちがありました。
また、胚には質を示すグレードと呼ばれるものがあるのですが、グレード1~5という数字で示され数字が少ない方が良く、私たちの胚はすべてグレード3でした。質がいいわけではないが、妊娠が厳しいわけでもない…くらいのイメージです。
結果として私たちは最終的に妊娠に至ったこともあり、自分たちの選択が間違っていたとは思っていないのですが次にまた胚移植をするとなったら恐らく胚盤胞移植を選択すると思います。理由としては、胚移植を行う事による妻の身体と心の負担が思っていた以上に大きかった、というところです。このあたりについて述べたいと思います。

胚移植とその結果

初期胚はいったん凍結して、胚移植を行う前に融解して使用します。最初の胚移植は凍結から一か月半後の2021年1月下旬に行いました。この胚移植の際にも、ホルモンの調整や子宮内膜を厚くするためのお薬をとっていました。移植予定日の数日前にも通院し、ホルモン値などが問題ないことを確認しておきます。胚移植当日は入院などは特にせず激しい運動をしなければ日常生活を行ってもいいという形で日帰りでした。そこからまた妊娠判定の日まで薬を服用しながら過ごします。移植日から約十日後に判定に行きましたが、結果としては1回目はうまくいきませんでした。とても残念でしたが、気持ちを切り替えて次の胚移植の計画に切り替えました。
そこから、2月~3月にかけて2回目・3回目の胚移植を行いましたが、いずれも実りませんでした。残りの胚の個数的にも、残りの移植回数は一回か二回。そこで私たちが考えたのは…。

きゅうけい

すこし、胚移植を休憩することにしました。理由はいくつかあって、胚を使い切った場合また精液採取、採卵からの顕微授精からのやり直しになりますが、私の精子の状態をより良い状態にしたいことと、妻の身体の状態も少しでも良くするため、適度な運動を二人行うための一環としてジム通いをし始めました。また、メンタル的にも少し落ち込んでいました。特に妻の場合、薬の副作用や通院による身体的負担も大きかったです。そこで、いったん趣味を思い切り楽しんでみることにしました。2021年はコロナで全くイベントがなくなった2020年から一年が経過したころで、徐々にイベントが復活してきたころだったので二人で思い切り楽しみました。北海道に旅行に行ったりもしました。また、この機会にと結婚パーティの開催を企画し、2022年2月に無事に行うことができました。本当に楽しく幸せな時間となりました。
ここで一度切り替えて二人で色々とやってみたり、今の時間を楽しんだのは本当に良かったと思っていますし、結果に結びついたんじゃないかなとも思っています。そして、4回目の胚移植を行うことにしたのですが、また今回も長くなってしまったので別の記事に書こうと思います。

今回は実際の顕微授精から胚移植について、そしてその結果を受けての行動などを書いてみました。また誰かの参考になれば幸いです。

(余談)今回かかった費用や制度について

今回も、ざっくり費用計算をしたいと思います。ただ、現在は保険適用となっているため僕たちよりお金がかかることはないと思います、例外はありますが(後述します)。
まず、採卵の準備です。十日間程度、毎日注射を打つといいましたがこの通院費用が諸々の検査費用なども込みでだいたい12万円くらいです。日によってちょっと違うのですが、毎日5000円~20000円を支払うので結構気持ち的に大変でした。
そして実際の採卵と顕微授精、培養と凍結の費用です。これが合計で約40万円です。ちなみになんですが、受診していた病院はカードが使えなかったので現金払いでした、持っていくのが怖かった記憶あります…。
次は胚移植の費用ですが、ここも準備の通院費がだいたい1万円くらいで、移植費用自体が9万円くらいでしたから合計で10万円です。ただ、二回目以降は薬の種類を変えたり量を増やした関係で、12~13万円に上がっていましたので、1~3回目を合計して35万円くらいでした。
ということで、この記事でやった内容の合計金額は…約87万円となりました。前回と合計すると…としたいところですが、ここで「不妊治療助成」が入ります。保険適用外ではありましが、この助成制度に非常に助けられました。
私たちのタイミングでは、採卵を伴う治療には、一回当たり30万円が支給されました。よって、採卵~一回目の胚移植で、30万円支給されます。そして、胚移植のみの治療には10万円支給されましたので、2回の移植で20万円支給されました。ここは25万円ほどの費用の部分ですから4/5がカバーされています。これが県による助成です。
更に市による助成もあります。これは県の助成を受けた自己負担分のうち、さらに半分を市が負担してくれる制度です。この時点での自己負担分の合計が37万円くらいだったので、この助成によって最終的な自己負担額は19万円ほどになりました。
ただし、それぞれ回数の制限があります。これは保険適用になった後も同じようで、ここが例外となる部分です。このあたりが非常にややこしく、30万円支給される採卵を伴う治療でも一回、胚移植のみでも一回とカウントされるため、場合によっては胚移植のみの場合は申請せずに自己負担で済ますという選択もありました。最初から全部使い切ってしまうと、二回目の採卵からは全額自己負担になってしまうので…(赤ちゃんが出来たら回数はリセットされます)。
実はこの制度のややこしさについては、申請を行った際の窓口の方が丁寧に教えてくれてとても助かりました。申請の期限までは少し猶予があるので一通り不妊治療を行ってみて一番かかったところを申請する…とかやるといいですよ~的なアドバイスをもらってありがたかったですね。保険適用となった今、こう言ったやり方ができるのかはわからないので確認いただけると幸いです。
この不妊治療に関する助成は数年前までは30万円の助成額は半分の15万円でしたし、さらにその前は10万円、しかも年度を通してこの金額でした。それが近年、不妊治療についていろいろと見直されて今の保険適用に至っております。それでも高額なことには変わらないのですが、非常に助かりました。話は戻して、かかった費用についてですが前回の男性不妊治療と同じように、妻もサプリメントを飲んでいました。これも私と同じくらいかかっていたと思いますので、2~3年間の概算で20万円ほどかとおもいます。
これらの数値と、男性不妊治療の数値を合わせて約85万円ほどがかかっていた費用になります。妻も、採卵を行う前も私と同じように通院して色々と検査をしていましたから、不妊治療開始前から合計すると100万円を少し超える金額くらいかな、と思います。ひょえ~。
助成はあったとはいえ、事後の支給でしたからある程度の貯蓄がないと不妊治療を行うのは厳しかったですね、今は保険適用なおかげでこのあたりもフォローされているのは非常にいいと思います。

不妊治療についての記事は次回で終わりかと思います、
もう少しお付き合いいただけると幸いです。
読んでいただきありがとうございました。

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