[第10回]TableauCloud移行のその後
後日談 ~巡航速度に乗るまでのアレコレ
半年ちょっと前に、私自身がTableau DATA Saber合格、そして、TableauCloud移行を完了し、暖機運転的な移行初期をすごして、いま、その新たなCloudサイトは安定的に利用・運用されています。
このたび異動でTableauCloudサイト管理者を離任することになったので、記憶がまだ鮮やかなうちに、後日談を散文的に残しておこうかなと思いつきました。
そんなわけで、久々の投稿。
Tableau DATA Saber 挑戦で得たもの
TableauCloud移行作業を進めながらのTableau DATA Saber挑戦は、時間的にもメンタル的にも辛かったけれど、振り返ってみて「120%やってよかった!」と思っています。
DATA Saberのメリット
私が感じる、他の一般的な研修では得られなかった、DATA Saberならではのメリットは3つ。
① Tableauの仕様や操作だけでなく、データに向き合う姿勢を学べる
② 他の DATA Saber と①をアタリマエとして議論できるようになる
③ DATA Saber コミュニティに入り、社内外のネットワークが広がる
ひとことで言うと、同じ理想を目指して同じ言葉で話せる仲間が得られる ってこと。
TableauCloud移行を経て得たもの
キャズムを超えろ
[第3回] 新しい運用ルールの決め方 ~パーミッション続編 でも述べましたが、もともと移行前のTableauServerは黎明期に作られたもので、フィジビリ的に始まり熟練ユーザが自由に使える環境でした。それが現状は部門所属人数における利用割合50%弱まで増え、アーリーマジョリティにどんどんTableauを使ってもらおうとしている状況。振り返ると、イノベーター理論でいうところの「キャズム」を超えたのが、ちょうどCloud移行のタイミングだったのかなと感じています。
キャズムを超えられた流れは、アーリーアダプターの中に最初の成功事例として部門横断ダッシュボードを作り、部門でその成果が喧伝される機会を与えられ、アーリーマジョリティが反応する という経緯でした。
試行錯誤を振り返る
Cloudサイトのルールを決めるため試行錯誤した中でも譲れなかったのは、ヘビーユーザにとって重要な作業が継続できることです。また、キャズムを超えメインストリームに入ると、多くのユーザは「安心・安定」をより強く求めます。
詳しくは[第3回]でまとめていますが、パーミッションのルールを固定化して多数のライトユーザ(=アーリーマジョリティ)の負担軽減する一方で、少数のヘビーユーザ(=アーリーアダプター)がやりたいことができるルールに仕立てる(または代替策を用意しておく)。この両立こそが勝因だったと考えています。
そこに至るには、2つの要素が必要でした。
1つは、各ユーザ群のニーズやドメイン特性の理解。ユーザとの会話の積み重ねやTableauのログから、サイト管理者側がユーザの要求を推定する解像度の高さです。
もう1つは、DATA Saberで培った”データドリブン文化かくあるべし”の考えの軸。どうしたらユーザにTableauを使い倒してもらえるか、使いたいと思ってもらえるか、追及するための知識とキモチも重要でした。
その先にあったもの
移行前の問題を解決し再発しないよう仕組みとして作り込み、いま移行後半年を経て運用チームにCloudサイトを引き渡すことができた・・・(と感慨に浸るw)。準備が整い、4人に3人がTableauを活用してデータドリブンに業務を行うことが、新たに次の部門目標になっています。
【backnumber】
[第1回]TableauのExplorerライセンスは、どういう時に使うのか?
[第2回] Tableauのパーミッションはベストプラクティスを死守すべし!
[第3回] 新しい運用ルールの決め方 ~パーミッション続編
[第4回] 権限制御はどこに実装する? ~Tableauとデータベースの機能分担について
[第5回] Tableauでの行レベル/列レベルセキュリティの実現方法あれこれ
[第6回] Tableauからデータベースへのアクセス時の認証について
[第7回] 失敗例から学んでほしいダメなTableauの使い方
[第8回] クリーニングから始まるTableau Cloud移行
[第9回] Vizが遅い?! ~TableauCloud移行で性能に悩んだ話