『水色の雨』 /八神純子(昭和歌謡曲)
♪ ああーー 水色のぉ 雨ぇ~♬
高揚する前奏が流れ、美しい声で始まるこの歌。『水色の雨』は、まず曲調が素晴らしい!声を張り上げて歌いたくなる。
しかし、歌詞はなんとも意味深である。
♪ やさしいぃ人~ねぇ~ あなたぁって人ぉ~はぁ~ 見ないふりぃ~していたの、私のあやまちぃ~♬
ごめんなさいね、と言わんばかりの台詞。「私」の浮気が、あやまちなのだろう。彼は変わらずやさしくしてくれたに違いない。
さらに、こう続く。
♪ ひとときの気まぐれぇ~ 通り過ぎるま~で~ ♬
ん? 許してよ、ちょっとした浮気心なんだからさぁ。と言いたいんかいっ!
♪ 忘れてよぉ~ 忘れてよぉ~ 愛したぁ~こと~な~どぉ~ ♬
「あなた」なのか、「浮気相手」なのか、「私」の愛の向かう先がよく分からない。
そして再び、サビがくる。
♪ ああーー 水色のぉ 雨ぇ~♬
この盛り上がりのサビで、浮気など、あとかたもなく流されていってしまうような。それならば、なんと浮気後の女性に都合の良い歌なのだろう!
着目すべきは、ココ。
♪ ああーー くずれてしーまえぇ~♬
「○○てしまえ!」と、命令形なのである。
タイトルは「みずいろ」と、あえて平仮名をつかっている。女の子らしい平仮名と、歌詞では「くずれてしまえ!」という気の強さを表現している。
「あーあ、もう次の男へ行こうぜ!」と、女子会で盛り上がること間違いなし。
私がこの歌を初めて知ったのは、同級生とカラオケに行った時だった。
彼女もやけに古い歌を知っていて、私に「まちぶせ」や「真っ赤な太陽」を歌い教えてくれた。歌もとんでもなく上手く、とても魅力的な人で、浮気性だった。
♪ あとかたもなく流~されてゆくぅ~ 愛の~かた~ちぃ~♬
今は夫も子も居て幸せそうな彼女。年賀状がくる度、美人な娘と小さな息子、優しそうな旦那と撮った家族写真でくる。
あとかたもなく流された、彼女の愛。彼女が淋しい目をしていたところを見たことは滅多になく、流され泣いた男性は何十人居たのだろうか。
♪ ほほえんで~ 居ただけ~の~ 懐かし~い~日々ぃ~♬
私たちの肩を抱いてつつんで、降り続く思い出の日々。
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