ノーコミュニティの波紋。【ひねくれ育児日記】
3~4か月健診と予防接種のために病院に行く。健診の問診票と検温を忘れて受付の方にちくちく言われる。
息子は健診でも予防接種でも泣き続けた。何とか終わって会計を待っていると、視界の端に、どこかぎこちなく、でも大事そうに赤ちゃんを抱っこしている女性が見えた。赤ちゃんをよく見ると、うちの息子よりも小さい。2か月か3か月だろう。
ああ、慣れない子育てでばたばたしているのは私だけじゃないんだ、と思った。当たり前のことかもしれないが、頭から消えていた。
私にはその女性に話しかけるようなことはできなかったけれど。
これまで、新型コロナウイルスの影響で、0歳児と親を対象としたような地域のイベントは軒並み中止になっていた。散歩中に、同じくらいの月齢の子に会うこともなかった。
今も再開しているイベントは少ない。近くの病院で最近クラスターが発生したこともあり、子育て支援センター的なところへ行くのもまだ少し怖い。
でも、言い訳をつくっているだけのような気もする。
これから「ママ友」の世界に入っていくのが怖い。
全然違う背景を持つ人たちの中で、自分のことをどんな風に言えばいいのだろう。どうしたらうまくやっていけるのだろう。
一方で、ママ友なんていらない、と言えるほど強くない。
これから保活もある。
そして、今の私はノーコミュニティ、と感じる。つまり、コミュニティに一つも属していない。バンドは退団してしまった。メンバーの皆様との緩いつながりは残っていても、すべての話題についていけるわけではない。友達とは会えないながらも連絡を取ることはあるが、1対1のやりとりがほとんどで、LINEグループが動くなんていうことは家族くらいしかない。オンラインの手段を活用して、自分の興味ある領域で誰かとつながってみたい気もするものの、小さい子どもがいてさまざまな制約のある状況では、相手に迷惑をかけてしまいそうで躊躇する。そうでなくても、オンラインでよく知らない人とやり取りをするのは苦手で、以前参加していたオンラインコミュニティは、発言する勇気が全然出なくて辞めてしまった。
この先も、ノーコミュニティ、で生きていけるのだろうか。今はその状態のおかげで、他の親子と自分たちを比べないで、心穏やかにいられる部分もある。一方で、今までバンドとか会社とか、一応は何らかのコミュニティに属しながら生きてきた時間の長い私が、この先しばらくコミュニティなしでも大丈夫なのだろうか。この数か月やってこられたし、引きこもっているほうが楽に感じるタイプのような気もするが、最近訳もなく夫にあたってしまうのは、もしかしたら他の人とのやりとりが少ないことが影響しているのかもしれない。
コミュニティ、というものに今参加するなら、小さい子どもがいるという状況が同じ人とのほうが、まだやりやすいのかもしれない、と思う。怖くても。
調べると、地域の普通の親子向けイベントは再開していないものの、オンラインイベントが行われていることがわかった。
私と同じような状況にある人も、そういう人たちを心配する人も、顔を合わせることはなくても、物理的に割と近いところに一定数いるのだろう。
寝返りをしたかと思ったが、最終的に布団から落ちたのでよくわからなかった。
鳴き声に甲高い声が交じるようになった。
ガラガラを長時間握れるようになった。