嫌いっていってくれれば
嫌いって言ってくれれば
(女3/百合シナリオ)
オンラインネットゲームで出会った
なかなか素直になれない女の子の
百合掛け合いシナリオ
⟬ 登場人物 ⟭
シルバー(女)
イメージカラーは銀と青 剣使い
銀に青メッシュが入ったぱっつんボブヘアー
銀と青が基調になった軍服風アバター
元気系関西弁天邪鬼
紫昏(しぐれ)(女)
イメージカラーは紫と白 拳闘家
紫のお団子まとめヘアー
紫色のチャイナ服アバター
クールビューティなお姉さん
水音(みお)(女)
イメージカラーは水色 弓タイプ
はっちゃけキューピッドキャラ
水色のポニーテールヘアー
水色のナース服に青ファーアバター
シルバー:出会いは必然やら一期一会なんてゆうけど。なんなんやろな、ホンマに。
紫昏:初めて見た時に、一目惚れしてしまっていた、アバターにも、声にも…
シルバー:あいつとはこのゲームを始めてから、しばらくして出会った同じギルドのライバルで……
紫昏:お互いまだ言い出せてはいないけれど間違いなく両片思いだ、絶対そう(確信)……でも。
シルバー:ムカつくし癪(しゃく)やから、好きやなんて……言うてやらん、絶対に。
紫昏:あの子は嫌いだと言うから、あたしも嫌いってことにしとく
シルバー:アイツが嫌いやって言うから、ウチも嫌いで通したる
紫昏:嫌いって
シルバー:言ってくれれば
某MMO RPG オンラインゲーム
ギルドアットホーム内
シルバー:テスト勉強でしばらくゲームから遠ざかっとったうちやけど、テスト期間がようやく終わって久しぶりにログインした。とりあえずはギルドの皆に顔だしやな!·····と、久しぶりのゲームにうきうきしながらギルドアットホームへと向かった……向かったんは、ええんやけど、そこには……そこにはアイツがおったんや
紫昏:「あ、シルバー!久しぶり!」
シルバー:「げっ」
手をひらひらと振りながらチャイナ服に身を包んだプレイヤーキャラがいたそうアイツや、うちがいっちばんライバル視しとる紫昏(しぐれ)。正直言うて今、いっちゃん会いとうなかった……せっかく人がルンルン気分でテスト明けにログインしたんに気分が一気にダダ下がりやわ!萎え萎えやわ!!
すると紫昏(しぐれ)のレベルとジョブ名が目に入る、明らかに前に見たときと違っていてシルバーは思わず叫んでしまった
シルバー:「は――――っ??いつの間にジョブ進化したんや…?レベルも上がっとるし~!!そんなん聞いてないでーー!?」
紫昏:「だって言ってないしー??いちいち教える義理もないし~!?」
シルバー:「お前·····っホンマにムカつくやっちゃなあ!」
紫昏(しぐれ)がわざと煽るように返事をするとシルバーが煽り負けして一触即発状態になり始める、その様子を見ていた同じギルドメンバーの水音(みお)が耐えかねたのか、ひょっこり出てきてシルバーに耳打ちする。
水音:「シルバーがテスト勉強でログインしてなかった間だよーっ!シルバーが居ない間に~って頑張ってたよね~♪」
紫昏:「……っ、ちょっとー?水音(みお)ちゃん!???」
シルバー:「あ、水音久しぶりやなー!教えてくれておおきにな~!……ほーう?はーん?まあええわー!そのうち抜かしたるし!!」
紫昏:「あー、まあ頑張ってー??無理だと思うけどー?」
水音:「ああぁぁぁ……ほら紫昏(しぐれ)ちゃんもわざと煽りにいかないのー!もう~ふたりともー!ちょっとは仲良くしよーよ?」
シルバー:「絶ッ対無理やな!なんでコイツと仲良うせなあかんねん!……フンッ!!」
勢い余ってアットホームから
走って出ていくシルバー
振り返り紫昏に詰め寄る水音
水音:「あっ?シルバー!!しーぐーれーちゃん―っ?もうー!顔を合わせたらいっつもこうなんだからー!!」
紫昏:「……はは」
水音:「……ねえ、追わなくていーの??」
紫昏:「…………。」
水音:「はぁ~、んもう!!仲良くなるまでギルド立ち入り禁止!!」
紫昏:「……はい?……えっ!??」
水音:「紫昏(しぐれ)ちゃんのばーか!いくらシルバーちゃんが可愛いからって、ダメだよー?好きな子には正直に!優しくしなきゃ!ほらほら!行った行った!!」
紫昏:「は?好き……??あたしは別に!そんなんじゃ……な! ……っ!!え。ちょっと水音!?なにして……」
グイグイと水音に背中を押され、紫昏は外に押し出される。びっくりして振り返るとバタンと扉が閉まる。
紫昏:「あーもう……み~お~~っ!?」
扉をドンドンと叩くが扉は開かず、ロックが掛かっている。
紫昏:はあ…………。げっ、ロックしてんの??もう入れないしー!?あーもう!仕方ないなあ、探すか……シルバー……何処に行ったんだろう?」
無理やりアットホームから押し出され、鍵をかけられてしまった紫昏は仕方なくシルバーを探す事にした。その頃·····シルバーはというと、お気に入りの川辺ダンジョンに来ていた。
シルバー:「ウチの方がレベル高かったのに……ホンマに……ムカつく……あーもう!!しかもジョブ進化して見た目も変わっとったし……なんなんやホンマ……」
ログイン出来なかった間にライバル視している相手に先を越された敗北感、焦燥感、イライラを発散するためストレスを発散するかのように一通りエネミーを倒し終わり…安全な川辺まで移動して、岩に腰を掛けるとシルバーはひとり愚痴をつぶやいていた。
シルバー:「悔しい……うちも……うちもジョブ進化クエストいったろかな……」
紫昏:「なんで?」
ふと呟いた言葉に居るはずのない
紫昏の返答が帰ってきた…
シルバーは驚いて後ろを振り向くと
そこにはやはり紫昏が居た。
シルバー:「な、なっ、な、な、なな、ななな??なーっ!!なんでおんねん!?」
当然のようにシルバーは驚いて、目をぱちくりさせている。
紫昏:「ん?だって……!シルバーっていきなり走って出ていっちゃうんだもん」
シルバー:「……!?」
紫昏:「まるで……あたしから逃げるように」
シルバー:「……っ!?そんなこと……は」
紫昏:「別にいいよ、シルバーがあたしの事嫌いなのはわかってるし」
シルバー:「……っ」
いつもやったら、はあ?そうや嫌いや?アンタの顔なんか見とうなかったわ!……とかって言うんやけど何故か……今はそんな雰囲気や無かった。逃げたのはホンマや、だってウチ……どうしたらええんか分からんかってん。進化して大人びたように見えた紫昏は……ウチがいつも見とった可愛い紫昏やなかったから……
紫昏:「……ねえ、シルバー」
シルバー:「なんや?」
紫昏:「シルバーはさ、進化、しなくていいよ」
シルバー:「は?なんでや?何でそんなことあんたに決められなあかんねん」
俯いたまま、喋る。あんたの顔が見えんように見てしもたら、いかん様な気がしたからや。幸い紫昏はウチに近づいてくる様子はなかった
紫昏:「はは、そうだね、決める権利なんて
·········あたしには、ないか」
シルバー:…は?なんで そんな、
悲しそうな声で喋っとんの?
「(小声で)紫昏は……ウチのこと嫌いやんな??」
紫昏:「…………へ?今、なんて?」
シルバー:「ウチのこと嫌いやからわざと差ァ付けたりしてウチのこと見返そうとか……わざとらしく煽ってたんやろ?……はは、嫌がらせとか散々受けたもんなあ?」
一方的に今まで溜めてた感情が、口から出る、決めつけてお返しと言わんばかりにわざと、捲し立てるように煽る。
紫昏:「あー、そう、そうね」
シルバー:……あー、内心否定して欲しかったけど、な、やっぱそうやろな
紫昏:「やっぱ……そう、取られるよね」
シルバー:「へ??」
紫昏:「ごめんねシルバー」
シルバー:「は?」
紫昏:「……勘違いさせちゃったよね、あたしが進化したのはね」
シルバー:なん……かんちがい?ちょっと待って、やめて
紫昏:「シルバーの事、強くなって守れるようにだよ」
シルバー:やめて
紫昏:「いつも助けて貰ってさ、恩返しというか……あたしも、シルバーの事助けれる様になりたくて」
シルバー:やめて·····
紫昏:「シルバーがいない間にさ、水音(みお)とか桃果(もか)に、レベル上げ手伝って貰って」
シルバー:なんで
紫昏:「……頑張ったの、頑張ったのになんで褒めてくれないの、なんで逃げるの??」
シルバー:「……っ?」
紫昏:「あたし、シルバーの事嫌いじゃないよ?……わかってるでしょ?わかってるんだよね?」
シルバー:や、いやや、それ以上聞きとうない
紫昏:「シルバー」
シルバー:や……
紫昏:「ねえ、こっち見てよ」
シルバー:紫昏が少しずつ近づいてくる
待って、やめ·····
紫昏:「シルバー。 ね、好きなの」
シルバー:いっそ、いっそ
嫌いって言ってくれれば
紫昏はシルバーの手を取り、向き合うと
シルバー仕方なく目を合わす。
紫昏:「シルバー」
シルバー:「ウチは……」
紫昏:「うん」
シルバー:「……ウチは、嫌いやっ」
紫昏:「うん、そっか」
シルバー:「アンタのそう言うとこ……っ
全部っ、全部嫌いや!」
紫昏:「……ん」
シルバー:「だい……きらい……やっ」
紫昏:「……うん」
シルバー:「アンタなんか……っ、紫昏なんか!」
紫昏:「…………っ」
シルバー:「…………………………すきじゃ……っ
……ぼけぇ……!」
紫昏:「…………!!」
シルバー:「……っうあ……あ」
涙が止まらんくて泣きじゃくる
そんなウチを紫昏は優しく
包むように抱きしめてくれた
世界一だいきらいで、だいすきなひと
紫昏:「シルバーはあまのじゃくだよねー」
シルバー:「紫昏もな!」
紫昏:「でも、あたしも
そういうとこ……全部大好きよ」
シルバー:「あほう……」
紫昏:「ふふっ、はいはい」
シルバー:ぽんぽんと、甘やかすように
優しく頭を撫でられる、なんなんほんま
むかつくくらい優しいん、なんなん……
「ホンマに……なんなん……」
その後ギルドアットホームに戻った
ふたりは……
水音:「おめでとーっ!良かったああ……!
今日はお祝いだああああ!!」
……とギルドの仲間達にちやほやされ
お祝いパーティーが開かれました。