やばい、わたし。
花とミルクの淡路島。味のあるフォントで書かれた牛乳パックを手に、店内に立ち尽くす。近所のスーパに並ぶ商品たちに見つめられる中、頭にあったのは、さかのぼること約2時間ほど前の出来事。
午後5時頃だったか、ふと、降りてきたイメージ。あ、髪を切りに行こう。シャンプーとそれから、トリートメントもして貰おうか。鼻唄まじりに、近場の街の美容室に予約をした…当日予約は珍しいことじゃない。思い立ったが吉日。ついで帰りに買いものに行くつもりで、自転車にまたがる。
googleマップで、そう、グーグル先生。美容室の名前で検索する。さあ、わたしを連れて行ってください。
30分ほど走らせながら、違和感。
50分走らせて、やっぱりおかしいな。
1時間で到着した先、眼の前にはマンションが2軒。あれ、多分、大きい方か。
中に入るも、インターホンとポストの羅列。何号室だろう。しかし、こんなにわかりづらい美容室があるものか。
予約時間も過ぎた。思い切って電話してみるか。もう一度画面をみると、目的の住所が現在地とはかけ離れている。ええと、どういうこと?とりあえずダイヤル。
ぷるるる
店員さん: はい、もしもし?
あの、予約していました。今、マンションの前にいるのですが、何号室でしょうか。
店員さん: えーと、うちに号室はないですね。
近くになにがありますか?
ドンキホーテ、あとファミレスがあります。
店員さん: …、近くにドンキはないですね。今どちらに。。。
ちがう惑星みたいに、話が全くかみ合わない。とりあえず、予約を別日に変更してもらい、電話を切る。うーん、これはどういうこと?かなり離れたところまで来たのは、間違えないよね。
フリーズする、あたま。
混乱したまま、そうして、歩いて数分のはずのスーパーに、2時間かけて牛乳を買いに行ったのだった。
翌日、この話をしてみたら爆笑の渦。
こんな話って、個人的にたくさんあるわけなのだけれど、すすんで言いたくなかったりする。ただ、人にしゃべってみることで、また違う色が出たり、気づきもあったりする。
やばいのは、起こったそのもの (いまだに不思議体験ですが) よりかは、わたしの思考回路。自分に非があるかなんて、これっぽちも思い浮かばなかった。調べた先が遠いことに気づかなかったとしても、グーグルや他人や物に押しつけている事実。任せきりにして、責任の範囲を認識しないまま、見ないふりをしている。いい大人としては、かなりやばい。やばいな。
その、やばさって、地図にたとえるならば、今まで培ってきた地層とか、もともとの地形なのだとおもう。急には自力で変えられないように、デフォルトの "かたち" を変えようとするよりは、生かした方が何倍もうまくいくらしい。やばさは、使うしかない。ただ、ひとと関わることでしか見つけられないみたい。だから、億劫だった。ひとり貯めてきたツケは、いま恥とともに晒されているわけだ。みたくないからこそ、コンプレックスはみせて、意識的に知ろうとする必要がある。
具体的にできることは、頭で決めつけないで、常に間違っているかもしれない可能性をすてない。やりかたをいろいろ試してみる。否定しない。全部できないときは、優先順位を考える。より良くをモットーに。しよう、しよう。前だけみて一歩ずつ進めば、落ち込む余裕なんて無くなるはずだ。
買ってきた牛乳で、プロテインをつくる。
ミキサーを回す音が、部屋をつつんだ。