ばあちゃんへ
お久しぶりです。
あの世では元気にやってますか。
それとも、すでになにか
生まれ変わったりしているのでしょうか。
映画の"あん"をみたあと、
"がばいばあちゃん"の小説を読んで
貴女のこと、思い出しました。
どちらの作品にも、
つよく、賢く、やさしくて、愛情深い
女性の姿がありました。
なんだかたまらなくなって
手紙を書こうと思い起こした次第です。
わたしは、今ちょうどね
内面の旅の折り返し地点に居るようです。
言い訳したり、逃げたり、
まわりの所為にしたりして生きてきた、
癖がまた出てきて、あーまたか。
と言う感じで、そろそろ
やめたいなとおもうのです。
あと、もうひと山な気がします。
どうかな。
ばあちゃんが亡くなってから
憶えているのは、ただ
こころにぽっかり穴が空いた気持ちでした。
悲しい、というよりは
もうあえないことへの残念さ。
わたしにとってはじめての
一番身近な、どこか遠くへ消えたひと。
薬で蒼く染まったお骨を
箸でつついて壺にほうり込まれても
うんともすんとも言わなくて
みんなの服はまっくろで
とっても静かなの
正直、きみが悪かった。
あれ以来、お見送りはありません。
ねえ不思議です、ばあちゃん。
考えてみたら、何も知らないんです。
貴女がどうやって生きたか。
スイカの他に好きなものはあったのか。
死に際になにをおもっていたのかも。
訊けなくなって、
何年も経ってから気になるの
可笑しいでしょう。
ちょっと、遅すぎだよなあ。
そう言えば、
うれしかったのはね
わたしら姉妹や、従兄弟らが
喜んでいたら、
よく
よかったねえ。
と言ってくれたっけ。
もう少し長生きしていたら、
家出したときは、ばあちゃん家に
行ったかもなって。
相変わらず、手のかかるわりには
図体だけでかくなってしまったのです。
でもねたしかに、どうやっても
自分自身を嫌いには、なりきれなかった。
ばあちゃんを見習ってぜんぶ
愛したいんだよ。
でも多分いちばん簡単で、難しいね!
まず、愛がなんだかわからないです。
頭ではわからない。
なんとなく感じられはする、ような。
聞こえてくるのがラジオなら
ノイズをつまみで調節するというところ。
夏は、波の音に浮かんでみます。
ありがとう、ばあちゃん。
そんな感じで終わります。
スイカ買ってくるね、じゃあね。