オーストラリアでセミプロサッカー選手になった話#4
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3月にはシーズンが始まってしまうので、寛解しているか若干不安ではあったものの3チーム目の練習に参加した。初めて行くグラウンドだったので余裕を持って1時間前につく。すると、監督やコーチがすでにグラウンドにいてトレーニングの準備をしている。監督は東洋人の僕を見かけてすぐに声をかけてくれた。まず、ここで一安心する。「よかった、今回はちゃんと認知されている」。挨拶をしたら、すぐにクラブハウスの監督室に連れていかれた。なんと、軽い面談が始まったのである。これは今までの2チームにはない抜群の丁寧さである。日本のチームでも面談なんてなかった。この監督は選手のパーソナリティもしっかり見ることが分かった。
練習が始まる。正直、最初のチームより2つ下のカテゴリーというのもあって、レベルはそこまで高くない。足も無事なまま練習を終えた。感触はかなり良い。練習後監督に呼ばれた。Are you happy?と聞かれた。おそらく1か月くらい緊張しっぱなしだったのもあって顔がこわばっていたんだと思う。簡単に色々話して、そのまま家に帰る。
ここで英語力の無さを露呈することになるのだが、この時監督は僕に契約のオファーを出していたのだ。その日の夜、エージェントから「契約おめでとう」の連絡が入る。週末の練習試合で絶対に契約を勝ち取ろうと意気込んでいた僕はあっけにとられた。「え?俺契約できたん?」契約できたときはもっと盛大に喜んでやろうと思っていたのだが、ある意味拍子抜けである。しかし、いつものきたねえ布団に入ってからじわじわと喜びがこみあげてきた。そうか、俺は今日セミプロサッカー選手になったんだ。
登録の手続きに時間がかかって、2試合ほど公式戦には出ることが出来なかったが、無事チームの一員になることが出来た。ここまで来るのに1カ月かかった。人生で一番長い1か月だったと思う。エージェントに給与の契約をしてもらう。これで収入源は1つ確保した。
次は、家と仕事を探す。
続く