大好きに想いを馳せてみたら。
大人になって大好きなものを忘れてしまっている。
子どもの頃は、世の中には好きなもので溢れていたように思う。
家族も、友人も、趣味も、人生そのものも。
歳を重ねるにつれて忘れてしまった大好きなものに想いを馳せる機会をいただいたので、ちょっと書いてみよう。
1 家族
父とか母とか弟とか祖父母とか。
小さな頃、家族って大好きだったのだけど、いつしかそんなことも考えもしなくなっていた。
祖父母の家に行っては別れるのが寂しくて、帰り際、乗せられた車で号泣していたのが忘れられない。
結婚して新しい家族ができて、「家族」と言うものに想いを馳せることが増えた。
大好きだからずっと一緒にいて、一緒にいることが当たり前になって、いつしか好きとか嫌いとかそんな次元を超えて、空気になる。
生きていくのに不可欠な存在になる。
私と私の両親がそうだったように、私と夫もいつしかそうなっていくのだろう。
でもね、昔と変わらず大好きなんだよ。ずっと愛してるよ。
2 友人
私はあまり交友関係が広くない。
一人遊びが得意だし、一人の方が落ち着くなあと思うことすらある。
けれどもそんな私にも唯一無二と言える友人がいる。
この歳になって照れくさいけれど、彼女は私の親友だ。
むかしむかし、もちろん喧嘩もした。
なんだか急に苦手になって距離を置いたこともある。
それでも今、私たちがこんな距離感でいられるのは彼女がとびきり優しいからだ。
きみの一番は私だと知っているし、私の一番もきみなのです。
意地っ張りな私はそんなこと言ったこともないけれど。
だからここで言っておきます。
ねえ、きみの幸せを心から願うくらいには大好きだよ。愛してるよ。
3 趣味
本を読むことが何より好きで、暇さえあれば本を開いていた。
ハリー・ポッターシリーズは新刊が出るたびに鞄にあの重たい本を入れて登校していたっけ。
大人になって楽しいことが増えるたび、だんだん本を開く時間は少なくなっていって、私の本棚は買って読みかけの本がコレクションされている。
社会人になって読書が好きと呟くと、ビジネス書や自己啓発本とか身になる本を勧められるのだけど、私は何のためにもならない物語が好き。
しかもとびきりのハッピーエンド。
「物語の中くらいはしわあせでなくっちゃ」が私の信条。
楽しいことがあったときも、悲しいことがあったときも、本の中にはしあわせがあって、私を知らない世界に連れて行ってくれるから。
だからね、本を読むことが大好きだよ。愛してるよ。
大人になって忘れていたけれど想いを馳せたら、大好きなことって書き切れないくらいあって、がちゃついた大好きもいっぱい思い浮かんで、本当はもっともっと書きたい気もするのだけど、なぜだかとても満ち足りたから、あとの大好きはとりあえずわたしの胸に大事にしまっておこう。