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半年分のチームの成果を振り返る。LIFULLアプリチームのダブルループ学習実践録
こんにちは!LIFULL HOME'SでiOSアプリの企画を担当している宮浦です。
私たちのチームでは、デザイナー、エンジニア、企画の3職種が上流から深く関わり合ってチームでプロダクトマネジメントをする姿勢を大切にしており、前期の終わりに「ダブルループ学習」を実施しました。
施策の精度を高め、市場に届ける価値の最大化を目指すプロダクトマネージャーさんに広く読んでいただけると幸いです!
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上流から関わるプロダクトマネジメントにご興味を持たれた方はぜひ一度お話ししましょう!😀
ダブルループ学習とは
「ダブルループ学習」は、「学習する組織」という本で紹介されている組織開発の手法です。「学習する組織」は世界で100万部以上発行されている組織開発分野の名著で、ユニリーバ、VISA、インテルなどの名だたる企業でも導入されてきました。
この手法の特徴は、既存の目的や手法、前提そのものを疑い、改善を促進する点にあります。
例えばPDCAサイクルのような、施策立案→実装→検証→振り返り/それを元にした次の施策立案、といった形のサイクルは「シングルループ学習」と呼ばれる改善サイクルです。
一方ダブルループ学習では、「PDCAサイクルで回すことが本当に最適なのだろうか?」「私たちがPDCAサイクルを回して得たかった成果は本当に目指すべき成果だろうか?」というように、自分たちが立脚している前提を検証し、改善を図ります。
自チームでのダブルループ学習の結果
私たちのチームで実施した振り返りでは、
どのような傾向を持つ施策がアウトカムにつながるのか
プロジェクトを進行する際に、注意したい点は何か
の2つの観点で振り返りを行いました。
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具体的には、半年間実施してきた施策を一歩引いた目で眺め、アウトカムの創出に高く貢献した施策の特徴を見つけ出したり、半年間の出来事をまとめた図表を眺め、自分たちが取り組んできたことを振り返ることによってチームがより高い成果を出す組織になるためにKeep、Tryすることを話し合いました。
振り返りで特定された課題点は、次期のロードマップ作成や、施策アイデアの優先度付け、チーム体制のアップデートなどに活かされています。
今期の活動は始まったばかりですが、ダブルループ学習で出てきた改善点への合致度が高い施策はアウトカムの創出への貢献度が高く、手応えを感じています。
ダブルループ学習をやってみて感じたこと
組織としての知見の集積を感じる
ダブルループ学習のアウトプットは、チームメンバーが半年ほどの期間をかけて感じてきたことが反映されます。
スプリントごとの振り返りでは出てこない抽象度の高い視点を共有できることは大きなメリットだと感じました。
チームメンバーがなんとなく感じているけど言語化をしたことがない事柄、つまり暗黙知がアウトプットとして出てきやすいので、その内容を明文化して形式知にしておくだけでも価値があると思います。
深い振り返りにはチームの共通認識と信頼関係が必要
私たちのチームが実施したダブルループ学習は「事象を一歩引いて眺める」という行動にとどまっており、「前提を疑う」という段階には達していません。シングルループ学習では学べないことを得られてはいますが、現状では1.5ループ学習といったところでしょうか笑
1on1や雑談の形式ではなくチームでの議論として前提を批判的に見ることは、まだ実現できていない状態です。
実はこのさらに半年前は1.5ループ学習の実施自体を断念しているので、そこから比べるとチームの練度が深まっています。それでも、事象を眺めるのと批判的に捉えることの間には高い壁があると感じました。
今後の展望
ダブルループといいつつ1.5ループ学習をやってみたので、次はダブルループができるようになりたいです!
ダブルループ学習がチームで回せるようになるためには、チーム全員がメタ的にチームを捉え、かつ他者との認識の差異を適切に扱える必要があるのでなかなか難しい話だと思います。
ですが一歩一歩進んでいけば、きっとできるようになると思います。そしてその先に、チームメンバーの一人ひとりがあらゆる面でより良い仕事ができる環境を作れたら嬉しく思います。