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総まとめ+ケーススタディ│今週読んだ英語記事 Vol.8


この記事の目的:

NetflixやGoogleでプロダクトマネージャーを務めたItamar Gilad氏が著した、プロダクト戦略に関する11本の記事を順番に読んでいます。

https://gibsonbiddle.medium.com/intro-to-product-strategy-60bdf72b17e3

★「今週読んだ英語記事」マガジンの記事は、私の英語力向上を目的にしています。続けることに重きをおいているので、文章の雑さなど何卒ご容赦ください🙇

#10 ルールではなくコンテクストで組織をまとめる(5/11)

四半期に一度のプロダクトミーティングで、組織全体の取り組みを理解する

Netflixでは、四半期に一度、それぞれの施策を進めているプロダクトチームが全員集まって、それぞれの進捗を確認するミーティングを開催していました。
ミーティングのゴールは主に以下のとおりです。

  • プロダクト戦略、指標、戦術を通してコンテクスト(意訳:プロダクト全体が進んでいる方向性)を共有する

  • プロダクト組織全体が同じ方向を向くようにする

  • 成果や学びを共有する

  • 未来に向けた理論や仮説を共有する

  • 各施策群への投資水準を決める

組織が巨大になってくると、それぞれのメンバーやチームを、組織全体として同じ方向に向かせるのが難しくなってきます。そのため、3ヶ月に1回このミーティングを行うことで、方向性を揃えていきます。
Netflixでは細かなルールを決めるのではなく、コンテクストを全員が共有することを重視していました。こうすることで、より自由度高く、柔軟で芯を捉えた発想でプロダクトを成長させていけそうです。

実際の現場だと、細かなルールがあって施策が進めにくいというよりも、全体の方向性とズレた施策を打ってしまうことのほうが多いんじゃないかなぁと感じます。
自分が関与しているプロダクト単体でのわかりやすい成果を追い求めるが故に、組織全体として価値を高めるために重要な施策を後回しにしてしまう場面、遭遇したことありませんか?汗
目の前のわかりやすい施策を放棄して組織全体にとってバリューの高い施策を行うのは、二重の難しさがあります。「これをやればある意味正解」とわかっている施策を捨てられる論理が必要ですし、チームを超えて多様なステークホルダーに前向きになって貰う必要があります。
そしてその発想にいたるためには、やはりコンテクストの理解がとても重要だと思います。
記事中では、Netflixのやりかたをそのままコピーするのではなく、自分たちの組織にあったやり方で会議をしてほしいと語っていました。どのようなやり方であれ、自発的に関連チームや組織全体の文脈を深く理解しようとする姿勢が大切ですね。

#11 ・#12 メガベンチャーとスタートアップのプロダクト戦略ケーススタディ(5/12)

#11と#12がケーススタディだったのでまとめて読んで比較してみました。

巨大な目標にじっくり取り組むNetflix

2つの戦略を続けて読んで見ると、当然ながら事業のフェーズや規模によって運営上難しいポイントが変わっているなという印象です。

2020年時点のNetflixは、過去に大きな成長を遂げた時期があるため、コアになる提供価値がほぼ決まっています。なので基本戦略は2010年以前のものとあまり変更がなく、「パーソナライゼーション」や「オリジナルコンテンツ」などが引き続き主要な目標となっていました。
2010年頃と違う戦略として、おそらく「オリジナルコンテンツ」をさらに強化するために、制作スタジオが「インタラクティブなストーリー」を作成するためのツールを作ることが目標に加わっています。

Netflixはすでに成功した企業なので、今の戦略から外れた事業をするよりも、既存の戦略をさらに強化するような打ち手を付け加えていくような戦略の立て方になるのではと思います。

リーンにハイレベルのプロダクト戦略を変更するスタートアップ

2つ目の事例はスタートアップでした。
この記事中で特徴的だったのが、ハイレベルのプロダクトの仮説を変更しているという点です。

記事中で紹介されているCheggという企業は、大学生向けに教科書のレンタルをおこなっている企業です。
当初のハイレベルのプロダクト戦略の仮説は、以下の3つでした。

  • テキストブックのレンタルで大きく稼ぐ

  • 電子教科書をリードする存在になる

  • 他の学生サービス(就職、インターンシップなど)への展開

このうち「テキストブックのレンタルで大きく稼ぐ」という戦略は、NPSの改善などで成功が見えていました。しかし「電子教科書をリードする存在」というのは、あまりうまくいっていませんでした。その理由は、2010年代当時、大学生たちは物理的な本のほうが圧倒的に良いと感じていたからです。
電子教科書はマーカーを引けない、馴染みが薄い、そして値段も物理本とほぼ変わらない、という状態のため、電子本であるメリットをほぼ感じていないことを、顧客インタビューで突き止めていました。そこで著者は、この戦略を外すという判断をしました。

この、戦略を外す判断ってかなり難しいと思うんですよね。なぜなら「マーカーを引けるようにする」「電子教科書をもっとPRする」などの打ち手を取るという道もあるからです。個人的な経験だと、創業者やチームメンバーの誰かに強い思い入れや利害関係があると、フラットな判断を下すのは正直厳しい場合があると思います。特に、その人のモチベや、会社・サービスの存在意義に関わってしまうことがあるので、上手に扱うにはエビデンスを揃える力や実行力はもちろん、高いEQやリーダーシップが要求されるなと感じます。
著者も記事中で「このインサイトを発見するためには長い時間がかかった」と言っています。
結果的にこの会社は「宿題の支援」という別の伸びる可能性のあるサービスを見つけられてそちらに注力していくわけですが、実際のところ、「他のよりよいサービスが見つかったから電子教科書は優先度を落とそう」的な判断になることって意外と多いんじゃないかなと感じました。

#13 総まとめ(5/13)

プロダクト戦略記事、最後の1本です😃
(今更ですが11本じゃなくて13本ありました。。。どこで間違えたのやら)

13本目の記事はTLDR("Too Long, didn't read"の略。長すぎて読まない、転じてサマリ記事の意味)です。詳細に和訳するのは著作権・翻訳権的にどうなんってところがあるので、ざっと振り返ります。
せっかくなので、記事の順番ではなく概念の大きさ順に整理してみました。

#8 プロダクトビジョンを描く
特に大きな組織では、メンバーを同じ方向に向かせるのが難しかったり、チーム運営が長くなると途中から参画してくるメンバーが増えるので、プロダクトビジョンによって同じ方向を向かせることが重要です。
プロダクトが持っている文脈をメンバーが理解していることで、方向性がズレた施策が実行されることが少なくなります。

#1 ,#2 ,#5 DHMモデルで筋の良い戦略を立てる
Delight(顧客を圧倒的に驚かす)、Hard to copy(競合が真似しづらい)、Margin-enhancing(利ざやを確保する)プロダクト戦略を立てる際は、この3つの要素がよく満たされているものにしよう、という話でした。
また、戦略を立てて行き詰まったら、すでに実行中の施策からKJ法的に抽象化して指標にする手法も紹介されていました。(#5)

#9 GEMモデルで戦略に優先順位をつける
Growth、Engagement、Monetizationのうちどれに影響を与える施策を優先するかを、前もって決めておきます。どのように決めるかはプロダクト全体のステージによって変化します。

#3 プロダクト戦略/メトリクス/プロジェクト
プロダクト戦略が立案できたら、それぞれのハイレベルなプロダクト戦略を、1年程度で実現していくプロジェクトサイズに落とし込みます。この後さらに四半期サイクルに落としていくのですが、その中間として1年程度の目標を置くのがミソでした。

#4 #6プロダクト戦略目標の細分化(Proxy metrix)
ハイレベルのプロダクト戦略目標やその指標(Netflixの場合はリテンション)は、変化に長い時間がかかるので、もっと計測しやすい指標に細分化します。その際に、平均値を使わない、game的に動かせる指標にしない、などのポイントがありました。

#7 プロダクトロードマップ
四半期ごとのプロダクトロードマップを描きます。
プロダクトロードマップといっても、四半期ごとの目標を書いただけのシンプルなものでした。この目標をもとに、施策をアジャイルに打っていきます。

以上が、Gibson Biddle氏がNetflixで実践していたプロダクトマネジメントでした。全体を通して、目標をピラミッド的に管理するときのコツと、目標に対してアジャイルに柔軟性高く、でもプロダクト全体の目的からは外れないための運営例としてとても参考になりました。

今回の記事はここまでです。読んでいただきありがとうございました!
明日からはプロダクトのメトリクス設定に関する記事を読んでいく予定です。よろしければぜひフォローお願いします!!

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