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ユーザーログを追体験するUXリサーチ、「シーケンス分析」をやってみた


こんにちは!LIFULL HOME'Sアプリの企画職を担当している宮浦です。私たちのチームでは、改善施策の立案のために「シーケンス分析」に取り組みました。

シーケンス分析は、ユーザーの課題を定性的に把握したいけどユーザーインタビューだと時間・費用面で十分なコストがかけられないチームや、ユーザーの課題に対して共通認識を持つのに有効な手法だと思います。

この記事では、シーケンス分析の活用方法とその効果を紹介します。
ユーザー課題の把握に取り組みたい方に読んでいただけると幸いです。

シーケンス分析とは?

シーケンス分析は、ユーザーの行動データを順番や掛かった時間を考慮して分析し、ユーザーの状況を理解する手法です。
特定のページでユーザーに期待する行動に時間がかかる理由や、目立たないリンクがクリックされている背景などを追体験することにより、ユーザーのニーズや行動パターンを具体的に把握します。

書籍『UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論』で具体的なやり方について詳しく解説されているので、取り組まれる方はご一読をおすすめします。

私たちのチームの取り組み手順

STEP1:シーケンスの準備

シーケンス分析では、ユーザーの行動を追体験するための「シーケンス」(ログのようなもの)を準備します。

シーケンス

amplitude等の行動ログ分析ツールからデータを抽出し、代表的なユーザーの行動をシーケンスとしてまとめます。

STEP2:ユーザー行動の追体験

作成したシーケンスを、エンジニアやデザイナーなどのメンバーに体験してもらいます。シーケンスを作成した人が上から順番に読み上げ、メンバーは読まれた通りにデバイスを操作します。

シーケンス分析会の様子

STEP3:課題点のアウトプット

デバイスを操作してみると、「ここに便利な機能があるのに、おそらく気づいていないな」「特定の動作を何度も繰り返しているけど、きっと〇〇がしたいのでは?」といった課題点・仮説が浮かび上がってきます。

シーケンス分析で浮かび上がった課題点

これらの課題を整理し、必要に応じて追加の調査を行なって改善施策化していきました。

取り組みの感想

シーケンスを用意するのがちょっと大変

シーケンスを用意するプロセスはどうしても手間がかかります。
特に、イベントのログを日本語に変換していく作業が手間でしたが、この辺はAIを活用すれば大幅な効率化が可能かもしれません。

また、シーケンスを作成する対象ユーザー定義するのが少し難しいと感じました。筋のよい対象ユーザー選定のためには、プロダクトの現状(As is)と目指すべき状態(To be)を明確にしておくことが重要だと思います。

1つのシーケンスでも、人によって解釈が異なるのが良い

1つのシーケンスを複数のメンバーに体験してもらうと、異なる課題点や改善案が出てきます。これによって多様な視点を取り込むことができ、アイデアに深みを出せるようになると感じます。
また、同じものを見たときの考え方の差をお互いが知ることができるのも、シーケンス分析の良いところだなと思います。

まとめ

シーケンス分析は、チーム全員がユーザー視点で追体験して共有できる点が面白いです。体験するものはほぼ一緒でも多様な解釈が生まれるので、企画者にとって意外な気付きが得られます。
これからもチームのアイデアを形にする武器の1つとして、上手に使っていけたらいいなと思います!


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