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【鴨頭さん流~働くことってどういうこと?】喜びを感じる「働き方改革」を~日本講演新聞

『日本講演新聞』は全国の講演会を取材した中から、
感動した~!おもしろかった~!為になった~!という心が揺るがされた話だけを掲載している全国紙です。
読んでくれた方の人生がより豊かなものになることを願って創り続け、もうじき30周年を迎えます。
「働き方改革」の実現に向けていろいろな取組みがなされております。
副業OKにしたり、休日を増やしたり…「自分の仕事が大好き大賞」を主催している鴨頭嘉人さんが小学6年生に語った「働くってどういうこと?

ー喜びを感じる「働き方改革」をー

 タレントの萩本欽一さんがキムタクこと木村拓哉さんに「好きな食べ物は?」と聞いた時、返ってきた言葉に感動したという話がある。洒落た西洋料理の名前が出てくるのかと思ったら、キムタクの答えは「お母さんの作ったお稲荷さん」だった。「お稲荷さん」ではなく、「お母さんの作った」と付け加えるところに、欽ちゃんはキムタクの仕事に対する感性の良さを感じたそうだ。(『ダメなときほど「言葉」を磨こう』集英社新書

 物はただの「物」じゃない。たとえば、「今、目の前に何がありますか?」と問われて、「パソコン、メガネ、ボールペン、本」ではなく、ちょっと物に想いを込めてみてはどうだろう。

 「仕事のパートナーのパソコン、僕の体の一部になったメガネ、便りを書く時はこれと決めているブルーブラックのボールペン、この前、高野登さんに薦められて買った本、タイトルは『首長パンチ』」と、こんな具合に。

 「物」に想いを込めるのは、それらはすべて、星の数ほどある中から自分が選び、愛用している物だからである。

 なぜ愛用しているのか。「お気に入りだから」「使いやすいから」「このデザインが好きだから」、いろいろあると思う。

 大事なことがもっとその奥にある。すべての物は、一つの例外もなく「作った人がいる」ということだ。その人たちは使ってくれる人に想いを馳せ、「どういうデザインにしたら使いやすいか」「どういう機能をつけたら喜んでもらえるか」と一生懸命考え、そして生み出した。だからそれを手にした人が「欲しくなる」「気に入る」「使っていて愛着が出てくる」。

 ㈱カモガシラランド代表の鴨頭嘉人さんは、小学6年生に向けて「働くことってどういうこと?」というテーマで授業を依頼された時、心底悩んだ。「自分の話した言葉が、子どもたちの今後の人生に大きな影響を与える」、そう思ったからである。そして彼はこんな授業をした。

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 「君たちが今使っているすべての物は、誰かが『これを買ってくれる人に喜んでもらおう』という想いを込めて作った物です。それが『働く』ということです」

 それまで「働くことは大変なこと」「仕事はつらいこと」と思っていた小学生の目が輝いた。 

 鴨頭さんが主催している「自分の仕事が大好き大賞」という、大きなイベントがある。5人のプレゼンターが仕事を通して得られたこと、感じたこと、働く喜びを5000人収容の大ホールで語るのだ。

 3年前、宮本侑弥君という兵庫県の高校生が大人に混じって出場した。彼は中学2年の時にスープ屋を起業していた。きっかけは友だちと「将来何になりたい?」という話をしたことだった。

 友だちは「俺は公務員になりたい」と言った。それに対して宮本君は言った。「公務員は職業とちゃうで。職業は、例えばプロ野球の選手とか、そういうものや」。それでも友だちは言った。「何言うてんの。安定が一番や。今はどんなにいい会社に入ってもいつ潰れるか分からんやろ」

 宮本君は怒った。「今の世の中、安定なんかないで。世の中どんどん変化しとる俺らが変わらなあかんどんどん挑戦せなあかん。そんな人間が現れなかったら日本は潰れるで。やろうよ、俺らから」

 「その日から友だちが減った」という宮本君。冷静になって考えた。「言葉で友だちを説得するのはやめよう。自分が行動を起こして変わっていく姿を見せよう

 経営塾で大人と一緒に勉強した。スープ屋は移動販売の形態にした。最初の営業は夏祭りの屋台だった。周りの屋台に人だかりができているのに、宮本君のスープ屋には一人も来なかった。

 1時間が過ぎた頃、やっと一人の女性が来た。「嬉しかった。幸せってこれなんだと思った」と彼は言う。「働く。お客様が来る。買っていただける。なんて素晴らしいんだ」と。

 働く喜びをどうしたら感じられるか。本当の「働き方改革」は、そんなところにあるのではないかと思う。

  (み日本講演新聞 魂の編集長 水谷もりひと 2018/10/01号 社説より)

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