先生に「ありがとう」を言いたくなる話~日本講演新聞
日本講演新聞は「感動の共感を世界中に」「読者の人生をより豊かなものに」をモットーに、全国の講演会を取材し「感動した!ためになった!元気になった!」という良質な情報を発信することで、世の中をより良いものにするという社会貢献をしています!
noteでは特に人気が高く、本にもなっている社説をご紹介します。
10月5日は「教師の日」です。
教師という仕事の魅力、現場の先生方の日々の実践、そのための努力について社会に伝えることが目的だそうです。
ということで、この場でも先生たちの努力・頑張りを伝えます!
最初はかなり暗い話題ですが、最後は先生に「ありがとう」と言いたくなります!
ーあのとき、きっと先生が守ってくれたー
最近、学校の先生たちに講演をする機会が多くなった。先週は「私学教育研修会」。
講演の中で、1984年の「ワープロ贈収賄事件」をはじめ、世間を騒がせた三つの事件の話をした。
「ワープロ贈収賄事件」は、関西のとある国立大学で起きた。業者が大学の事務長に賄賂を渡してワープロの大量購入を持ちかけたのだ。「予算は文部省が握っている」と事務長が言うと、業者は文部省の担当課長にまで賄賂を渡して、そのプロジェクトを成功させた。
しかし、事件は発覚した。文部省、国立大学を巻き込んだ大がかりなこの贈収賄事件をマスコミは大きく報じた。
逮捕された文部省の課長はあっさりと200万円の収賄を認めた。だが、少なく見積もっても1000万円は受け取っていると確信していた大阪地検は、連日連夜、追及し続けた。
2週間後、ついに課長は折れた。「すべてをお話して、私は死にます」と。課長の口が堅かったのはお金を若い男に貢いでいたからだった。彼は同性愛者だった。当時は偏見の強い時代だった。「このことが裁判で公になると自分も家族も生きていけない」と泣き崩れた。
担当した田中森一検事は、「女性問題なら世間でよくある話だ」と、彼と彼の家族を救うために「男」を「女」にすり替えた嘘の供述書を作成し、裁判所に提出した。
文部省官僚のカネと女のスキャンダルはマスコミの恰好の標的になった。
二つ目は、1968年に東京・府中市で起きた「3億円事件」。犯人は土地勘のある若い男と断定。警察は多摩地区在住の20代男性、約20万人を1人ひとり調べた。
1年後、「26歳の運転手Aが重要参考人として警察に拘束」と報道された。
その翌日、Aの逮捕を受けて、マスコミは「A」を「草野信弘」と敬称なしの実名で報道した。顔写真も掲載され、中学・高校時代、勤め先、近隣住民の声など、彼の過去と現在が白日の下にさらされた。
翌日、彼の事件当日のアリバイを証言する人が現れた。誤認逮捕だった。
本来ならここで「よかったね」となるところだが、3日間の報道で草野さんの人生は狂ってしまった。会社は解雇、兄弟の縁談は破談、本人はうつ病になった。「このままだと共倒れになる」と、妻と離婚した。その後、元妻はくも膜下出血で死亡。行方不明になっていた草野さんは2008年に遺体で見つかった。自殺だった。
三つ目は、2005年の「姉歯事件」。耐震強度を偽装したとして一級建築士の姉歯氏は連日マスコミに叩かれていた。
「国の基準自体が厳しいんです。計算上、震度7や8にも十分耐えられるはずです」と姉歯氏は主張したが、それが「開き直っている。反省していない」とマスコミをさらに刺激しバッシング報道は過熱した。
また、「姉歯はカツラだ」「愛人にマンションを買い与えた」「妻は高級ブランドを買い漁り、ホストクラブで豪遊している」と言い出すマスコミも出てきた。
結局、姉歯氏は逮捕。妻は自ら命を絶った。実は、事件前から妻は精神科に通っていた。そして、「カツラ」以外はすべて虚偽報道だったことも分かった。
6年後、東日本大震災が関東圏を襲った。そのとき、姉歯氏が設計したビルはすべてヒビ一つ入らず、ビクともしなかった。そのことをマスコミは黙止した。
さて、ここからが本題。あの文部省の課長にも、誤認逮捕された草野さんにも、そして姉歯氏にも、当時小、中学生の子どもがいた。だが、親は子どもを守れるような状況ではなかった。
ここからは想像だが、あのとき、親に代わって事件の渦中にいた子どもを必死に守った先生がいたのではないか。休みの日も子どもの心に寄り添った担任の先生や、学校をあげて子どもを守ろうと指揮を取った校長が絶対いたと思う。
家庭が、その機能を果たせなくなったとき、犠牲になるのはいつの時代も子どもだ。そういう子どもたちにこそ、本来の力を発揮する先生がこの国にはいる。そう信じたい。
(日本講演新聞 魂の編集長 水谷もりひと 2015/10/12号社説より)
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先生方、いつもありがとう。。。。