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今回は金子みすゞ記念館館長 矢崎節夫さんの記事をご紹介します。誰もが知っているあの詩には奥深い意味がありました。
「こだま」それは人間の最も美しい行為
金子みすゞ記念館館長 矢崎節夫さん
東日本大震災後、繰り返しCMで流れた金子みすゞさんの詩があります。『こだまでしょうか』です。
「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
「馬鹿」っていうと
「馬鹿」っていう。
「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。
そうして、あとで
さみしくなって、
「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。
金子みすゞ全集(JULA出版局)
私が「遊ぼう」と声を出しても、「あなた」がいてくれないと私はその言葉を言うことはできません。だから、あなたはいるだけで役に立っているということなのですね。
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さて、皆さんはご自分を人間だとなぜ分かるのでしょうか?
ある小学生が「人間のお母さんから産まれたから」と言いました。その答えではまだ70点くらいです。大事なのはそこから先です。
人間のお母さんから産まれても、犬の群れの中に置かれたら、その赤ちゃんはきっと自分を犬だと思います。なぜか? 「周りがみんな犬だから」です。
つまり、周りにいる皆さんが人間だから、「私は人間だ」と気付くことができるのです。
かつて私たちの周りにいた大人は、私たちをいつも自分のことのように思ってくれていました。
たとえば、私が転んで「痛い」と言うと、「痛いね」と言ってくれました。それで痛みは半分になり、さらに「痛いの痛いの飛んでいけ」までやってくれたので、痛みは消えました。
でも、ある時から私たち大人は「痛くない」「泣くな」と言うようになりました。そう言われた子どもたちは、どんな思いでしょうか?
一度も「こだま」をしてもらえないその痛みは、子どもの心の中に全部残ります。やがて心の中が痛さや悲しさや寂しさでいっぱいになります。そしてある日、器をひっくり返して空にするかのように大きな問題を起こすのです。
その時、私たちは「なぜあんないい子が」「なぜあんな優しい子が」と、全部その子のせいにします。
違います。私たち大人が、痛いときに「痛いね」とちゃんと受け容れてあげていたら、その子の痛みは消えていたかもしれないのです。
つまり、「こだま」の基本は、「丸ごと受け容れる」ということなのです。
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実は、「こだま」の原形はお母さんと赤ちゃんの心音から始まっています。お母さんのお腹に聴診器を当てると、赤ちゃんの心音がトクトクと聞こえ、その後すぐにお母さんの心音もドクドクと聞こえるのです。
「いるよ」「いるね」、「大好きだよ」「大好きだよ」とお母さんと赤ちゃんの心音がこだまする。だから産まれることができるのです。
「こだま」は人間の営みの中で最も美しい行為なのですね。
((公財)生涯学習かめおか財団が主催した京都府での講演会より/取材・清水大伸関西特派員、編集・重春文香~1月1日号3面の続編です)
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