「運動会は全力で」その傷が素晴らしい人生になる~日本講演新聞
『日本講演新聞』は全国の講演会を取材した中から、
感動した~!おもしろかった~!為になった~!という心が揺るがされた話だけを掲載している全国紙です。
読んでくれた方の人生がより豊かなものになることを願って創り続け、もうじき30周年を迎えます。
運動会シーズンですね。親御さん、教育者の方は子どもたちがケガなく無事にやりきってほしいところ。運動会だけでなく、できれば日々の生活でも…。
でも『7つの習慣』を日本に紹介したジェームズ・スキナーさんは意外なことを言っています。
ーその傷が素晴らしい人生になるー
「傷だらけの人生を送りましょう」なんて話を経営戦略家のジェームズ・スキナーさんは話していた。
面白い発想だなぁと思って、早速SMPして、SKPすることにした。ちなみに、SMPとは「そのまんまパクる」、SKPとは「少し変えてパクる」という意味の略語である。
先月行われた中学校の体育大会、開会式でのPTA会長あいさつで使わせてもらった。
「今日一日、ケガのないように十分気をつけて頑張って下さい、と昨年はお話しましたが、今年は違います。ケガの一つや二つなど恐れずに、骨の一本や二本折れても大したことはありません。修復可能なケガはたくさんしましょう。傷だらけの中学生活というのもまた素晴らしい思い出になるでしょう」
今年の体育大会は「さらなる限界に向かって…」みたいなスローガンを掲げていたので、こんな話をした。
「なんてひどいことを…」と保護者からクレームが出るかもしれないので、「それくらいの緊張感をもって競技に臨むと、逆にケガをしないものです」という一言も最後に付け加えておいた。
後で「そうそう、今の子どもはケガくらいしてもいいんだ」と話しかけてきた保護者がいて、ホッとした。
スキナーさんは、日本の社長さんたちを対象に、以前「経営者セミナー」を主催していた。平和な日本で仕事に追われている社長たちを、あるときはロシアに連れて行った。
ツアーの途中、彼らの乗った観光バスが街はずれに差し掛かると、数台のロシア軍のトラックが猛スピードでやってきて、銃を発砲しながらバスを制止した。
十数人のロシア軍兵士がバスに乗り込んできた。銃を向け、全員に「降りろ!」と指示。手を縛られて、軍のトラックの荷台に乗せられ連行された。日本の社長さんたち、全員血の気が引いた。
到着したのはロシア軍のキャンプ。トラックから降ろされ、処刑のときのように膝をつき、一列に並ばされた彼らに銃が向けられた。そこに総司令官らしき男が出てきて一言、「うちのキャンプへようこそ!」とネタばらし。
スキナーさんはロシア軍の特殊部隊に経営者セミナーへの協力を依頼していたのだ。
スペインに「牛追い祭り」という、かなり危険な祭りがある。日本の旅行会社が企画するのはそれを見学するツアーだが、スキナーさんは「参加ツアー」を企画する。「ケガをしたらどうするんですか?」と質問されると、「大丈夫、すぐ病院に連れていきます」と答える。
スキナーさんの言う「傷だらけの人生を」というのは、「事なかれ主義なんてつまらない。傍観者の人生にサヨナラを」ということである。
最近は心が傷つくのが怖くて恋愛をしようとしない若者が多いそうだ。でも、「あのとき、自分はすべてを失って死のうと思ったけど、そこから立ち上がってまた恋をしたんだ」、そんな人生のほうが味がある、とスキナーさん。
テレビや本の情報ばかりに頼っていると、どこか感覚が傍観者的になってしまう。だからといって事故やトラブルを歓迎するわけではないが、たとえそんな事態に遭遇したとしても、素晴らしい人生に塗り替えることができるという話である。
年を取ったとき、孫からこう聞かれることがあるかもしれない。「おじいちゃんの人生はどうだったの?」。そしたら背中の傷を見せ、「この傷はな、あのときの…」って語れる。「おじいちゃんはこうやって生きてきたんだ」と。
その逆はどうか。「おじいちゃんの人生はどうだったの?」「うん、別に何もなかったよ」「ふ~ん、つまんないね」
ま、何もないのも幸せの一つの形とは思うけど、あえて自分の可能性を信じて、挑戦的な人生を送ってみるほうが後生に語れるものを残せるというものだ。
(日本講演新聞 魂の編集長 水谷もりひと 2010/10/18号社説より)
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