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童話

【ふうせん】

「待って!お願い」

「重いんだよ、もう無理。じゃぁな」

「やだぁ~置いて行かないで」


「もう。あっちゃん!勝手にテレビをつけたらダメでしょ」

「ママ。あのね、あっちゃんあの女の人にふうせんをあげる。

たくさん膨らませたふうせんをあげるの」

「えっ、どうして」

「あのね、あのね。あのお姉さん重たいんだって。

だから、お兄さんに追いつかないの。だから、あっちゃんお姉さんにふうせん沢山あげるの。

そしたら軽くなってお兄さんに追いつくよ」

「そうなの?でもあっちゃんがふうせんを届けた時にはお姉さんはもうきっといないよ」

「そうなの?でも、あっちゃん、ふうせんを届けたかったな」

「困ったわねぇ。

そうだ!ママがお姉さんに電話を掛けてあげる。

ふうせんを沢山膨らませて持つとお兄さんに追いつくよって。

それでいい?」

「うん!電話してね。そうだママにもふうせんをあげるね」

「えっ!どうして?」

「だってママ体重計に乗って、フーッと息をはいていたから」

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