相続した借金は必ず放棄すべきなのか?
相続放棄をする前に、もう一度、過払い金が無いかを確認しよう~故人の残した過払い金も請求が可能です!!~
「親が、サラ金(消費者金融)・カード会社から多額の借金をしていた。親が亡くなった今、借金を相続したくないので、相続放棄をしたいと思うのですが、お願いできますか?」
といったご相談をよくお受けします。
確かに、親が借金をしていることが分かった場合、すぐに相続放棄の手続きをご検討されることと思います。しかし、相続放棄をする前にひとつ確認していただきたいことがあるのです。
それが「過払い金」の存在です。
故人がサラ金(消費者金融)・カード会社から生前借り入れをしている場合、かなりの割合で利息制限法を超える違法金利での支払いを行っていた可能性があります。
故人の生前の貸し借りを、利息制限法による利率の引き直し計算を行い、借金を返しすぎていたこと(これを過払いといいます)が判明していた場合、本来であれば、これは借金を返済する必要は無く、逆に過払い金を取り戻すことが出来るのです。
被相続人(亡くなった方)がどこから借金をしていたのか不明の場合、次の方法で確認を行います。
契約書、利用明細書、カードなどの確認をする
信用情報機関から信用情報を入手する
※法定相続人となる配偶者またや2親等以内の血族の方が手続きを行うことができます。
【必要書類】
申込書
手数料
手続きする方の本人確認書類
法定相続人であることがわかる戸籍謄本(抄本でも可)
被相続人が亡くなっている事実がわかる公的書類(戸籍謄本(抄本でも可)、
除籍謄本)
どこの消費者金融と取引していたのかがわかったら、取引履歴の開示を請求します。
↓
取引履歴が届いたら法定内利息で引き直し計算します。
↓
過払い金が発生していたら他の遺産もあわせて計算し、プラスに転じていれば相続放棄をする必要がなくなります(マイナスの場合は相続放棄を検討してください)。
被相続人に借金があるからといって安易に相続放棄をしてしまうと、相続放棄をした後に過払い金の請求をすることは出来なくなってしまいます。
相続放棄は、借金などの負債だけでなくプラスの資産もすべて放棄することになります。当然、過払い金を請求する権利も消滅してしまうのです。
また被相続人が生前に借金を完済していても完済した日から10年経っていなければ相続人から過払い金の請求をすることは可能になります。
過払い金の計算をしても借金の額が上回ってしまう場合は相続放棄した方が良いかと思います。
しかし過払い金をしっかり計算せずに安易に相続放棄をすることだけは絶対にやめてください。消費者金融やクレジット会社などは自分に不利になることは教えてくれません。自分でしっかり調べる必要があるのです。
時効成立の前に過払い金請求が必要
法定相続人は、過払い金請求の時効が成立する前に、過払い金請求の手続きしなければなりません。
過払い金請求には時効があって、故人が最後に取引した日から10年が過払い金請求の時効になります。最後に取引した日とは、完済した借金の場合は「借金を完済した日」、返済中の借金の場合は「最後に返済をした日」のことで、時効を過ぎてしまうと、いくら過払い金が発生していても回収することはできません。
最後に取引した日がいつかなのかは、貸金業者からいつ、何パーセントの金利でいくら借りて、いつ、いくら返済したかわかる取引履歴を取り寄せればわかります。自分で取引履歴を取り寄せる場合、時間がかかるなどの注意点があるので事前に確認しておくと安心です。