[キッズライン代表取締役]経沢香保子 × [The Breakthrough Company GO 代表]三浦崇宏の対談
こんにちは。STANDの宮原です。
今回は尊敬する起業家の一人である、経沢香保子さんが自身のインスタグラムで、毎週配信し ているインスタ起業塾を視聴してのまとめや感想をシェアしていきます。
インスタ起業塾では毎週、今活躍する豪華なゲストを招き、起業の経緯や今取り組んでることな どリアルなお話を対談形式で聞いていきます。また、ライブ配信ということもあり、リスナーからの 質問も受け付けながら、よりラフな雰囲気でぶっちゃけトークが繰り広げられるのが特徴です。
今回のゲストはThe Breakthrough Company GO 代表の三浦崇宏さん。博報堂でのPRやクリエ イティブディレクターを経て2017年に独立。「社会の変化と挑戦にコミットする」というビジョンを掲 げ、コンサルタントやクリエイティブの分野で多岐にわたり活躍し、日本PR大賞やカンヌライオン ズなどで様々な受賞歴を持つ、大活躍のマーケターです。
お二人の対談の中で上がった様々なトピックの中でも、共通して三浦さんの中にある考え方や価 値観にふれた3つのテーマについてまとめていきたいと思います。
◆広告クリエイターという仕事について
まず、本回で語られていた三浦さんの考える広告クリエイターという仕事に関する見解が、とても 勉強になりました。
話題の始まりは、経沢さんの「世の中がホワイト化しているのは良いことだけど、20代のうちにめ ちゃくちゃ働きたい人には居場所が少なくなっていますよね。」という趣旨のひと言。たしかに、 「働き方改革」や「ライフワークバランス」が叫ばれ、意欲的に働きたい人でさえも会社を強制的に 追い出される現代です。特に広告業界においては、数年前の電通での事件をきっかけに、規制 が厳しくなっています。
こうした現状に対して三浦さんは、「広告クリエイターはどこまで行っても技術職。100回試合に出 た人が2回試合に出た人に負けるわけがない。20代のうちにたくさん経験積んでおいたほうが有 利な可能性が高い。」と述べています。
確かに、経験を積んでなんぼ、考え方を身に付けてからやっと仕事らしい仕事になるというのが マーケティングの世界だなと感じます。 また、広告クリエイターという仕事は「センス×練習量×コンディション×運」で成り立っていると言い ます。中でも、センスと運が一番大事だからこそ、練習量とコンディションの部分では負けないよ うにしたい、そのためにはやはり数を打つことだ、ということです。
◆本質的な仕事の仕方
次に、経沢さんはクリエイティブの分野で重要になる「練習量」の多い場を数多く社員のためにつ くっているのは三浦さんであり、なぜこんなにも仕事が集まってくるのかについて聞き出します。こ こで話されたのが、三浦さんの仕事に対する考え方です。
大前提、「クライアントさんに絶対に損させないような設計にする」というのがモットーだそうで、そ のために条件が合わないものに関しては断ります。かつ1件1件を丁寧にこなすために、高単価 でしか受けないようにしています。なぜなら、CMを作るにしても単発で仕事を受けることはなく て、半年ぐらいの長期間単位で仕事を受けるからです。コンサル費やクリエイティブ費を電博の2倍くらいもらっている分、その分1件1件に対してしっかりやるということを、案件をとる際の軸にし ているということです。
対談の中では、直近引き受けたファミリーマートのリブランディングについて話題に上がりまし た。ファミリーマートといえば、業界3位らへんを彷徨っている状態でしたが、そこで「1位がセブン だからしょうがない」とせず、決意表明したことが勝因だったそうです。ファミマルというプライベー トブランドを新しく創ったことで、セブンとローソンが昨年業績を落とした中、ファミマだけ売上好調 という結果を叩き出しました。
このリブランディングコンペで戦ったのが博報堂とADKだったそうです。クライアントの意向は、前 プライベートブランドであるファミリーマートコレクションは残して、お母さん食堂をリブランディング したいということでした。そんな中、GOだけがファミリーマートコレクションもやめて全部変えようと 提案しました。ファミマのブランドを1位のセブンイレブンに対抗するブランドにして、ローソンという ブランドイメージを消そうという構想で突破しました。例えば、3位もいるのになぜか1位と2位が セットにされる状態がよくあります。電博、マクドナルドとバーガーキング、早慶など。このように 「コンビニといえばセブンとファミマだよね」という状態をつくろうという方向で舵を切ったことで当た りました。
しかし、コンペの裏側では実は強運も味方につけていました。博報堂時代にマクドナルドを担当し ていたときのCMOがファミマのCMOになっていたのです。この経営陣の共感を得られたのは大 きかったといえます。広告クリエイターに運が必要というのは、まさにこのことなのでしょう。
ただし、ここで経沢さんは、経営陣が向かっている方向に合致させていけるのはなぜかを問いま す。その答えとしては、何をやることがファミマにとって一番正しいかを考えたということでした。ま た今回はイレギュラーでしたが、通常はクライアントさんや経営者がどんなことを考えているのか を、過去の外部メディアやFBを見て探るようにしているのだそうです。
ファミリーマートでのリブランディングにしても、他社へのコンサルにしても共通しているのは、クラ イアントさんにとってGOを、「業者」ではなく「医者」だと思ってもらうことがポイントとしてあります。 そのために、プロジェクトへの参画が決まった際には、全社員を集めて決意表明までするというこ とでした。仕事をとるためではなく、あくまで相手と一緒によくなるために全力で取り組み、コミュニ ケーションをとる姿勢なのが分かります。
◆言語化する力
最後に、全体を通して感じられた三浦さんの言語化力のすごさについて述べていきたいです。 初めの方の、採用の面でどのような基準を設けているのかという経沢さんの質問に対して、三浦 さんは「過去のプロジェクトについてどれだけ言語化できるかを重視している。成功したにしろ失 敗したにしろ、言語化できるように。」という趣旨の発言をしていました。
この発言から感じられるのは、三浦さん自身がどの過程においても客観視して、言語化できる能 力に優れているからこそ、実績が伴ってくるのだろうなということでした。クリエイティブという、非 常に言語化しにくい分野でも、スクール事業をしたり、本を出したりと、自分のやっていることや考 え方を常に言葉に落とすことが、結果としてクライアントさんの売上の最大化や権威ある賞の受 賞に繋がっているのだと思います。
特に印象的だったのが、スクール事業を展開している理由について述べた部分です。「経営は効 率や論理が優先されがちだが、お客さんは最終的に、デザインやキャッチコピー、CMといった必 要なものよりも好きなものを優先する。お客様が最終的に物を買う理由はクリエイティビティである。」と。トヨタが車を売り続けた先に都市をつくったり、ユニクロは美術館に出資、アップルが売 れている理由はプロダクトがかっこいいこと。いずれにしても、この20年で経済の流れが効率か らクリエイティビティに変わってきたと例をあげて明確に示していました。
クリエイターとは、デザイナーという特殊な人種ではありません。発想力やコンセプト、アイデアを つくる力は本来誰にでもあるものだからこそ、事業におけるクリエイティビティを学ぶ塾をつくって いるのだそうです。クリエイティビティの面白さや重要性について、説く部分に非常に一貫性があ りました。
今回の対談で、三浦さんの論理的な話し方や本質的な考え方、言語化力にかなり魅了されまし た。おすすめされていた、『超クリエイティブ』という著書も読んでみたいと思います。