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キンコン西野さんの考える「多くの中小企業に足りないもの」

今回はVoicyチャンネル『西野さんの朝礼』で非常にためになる話をしていたの で振り返ってみたいと思います。この回ではキンコン西野さんがリスナーさんからの2つの質問に答えていました。その答えのどちらもが、勉強になる内容です。

1つ目が「多くの中小企業に足りないものは何ですか?」という質問。これに対し、西野さんは 「ファンタジーとコミュニティ」と答えました。

まず一つ目の「ファンタジーが足りない」という文脈で、日本人の従来のモノの売り出し方の問題 点を指摘します。日本はこれまで、商品の質を追求し、なるべく低価格で売るというモノの売り方 をしてきました。こうなると、商品やサービスの中身のみが値段の対象になってしまい、薄利多売 ゲーから抜けられなくなってしまうのです。例えば、いくらでもあるコーヒーの中で、いつまでも コーヒー自体の味や量で勝負しないといけなくなります。どれも美味しいことには変わりないし、 量にもそこまで違いがないから、差別化ができず、結局値段を下げて価格競争が始まってしまう というオチです。

だからこそ、「ブランド」になっていたり、誰が売っているのかが重要で、そうなれば多少高くても買うという状況を生み出せます。商品の中身以外のものに値段が付くというわけです。
とはいえ、いち企業がファンタジーをいちからつくるのは難しいといいます。西野さんの場合は、 『えんとつ町のプぺル』という何年もかけて作り込んだファンタジーがありますが、これを再現する には時間やお金がかかりすぎてしまいます。そこで、解決策としてあげられていたのが、既存の スポーツチームと手を組む、オンデーズさんのように『サーカス』というイベントを主催するといっ たように、つくることができないならば買う、という方法です。現に、Redbullはいろんなスポーツイベントを買っていることで、ただのエナジードリンクとは一線を画しています。
近年、商品に文脈を与える作業を丁寧にやらなければ、お客さんに商品を届けることが難しく なったのがよくわかります。質が良いだけでは買わない、安いだけでは買わないというのは、いち 消費者の立場からしても間違いない事実です。

そしてもう一つの足りないものとしてあげたのがコミュニティです。これはきっとどんなに良いモノ・ サービスをつくっても、それを使ってくれるお客さん、人がいなければ売れないという意味だと思 います。

しかし、コミュニティをつくるには圧倒的な求心力が必要です。少なくとも人とは違う経験値、膨大 な知識量、影響力などを備えている必要があります。西野さんはこのコミュニティづくりが得意だ そうですが、普通はなかなか難しいところです。
そこで、その場合には、自社でスナックや横町を経営するなど、人が集まる場所をつくってしまう のが効果的だと結論付けます。スナックや横町といった場所には、自然と人が集まるというイメー ジができているのもポイントです。 ただし、その場所で売上をつくるというよりは、そこは先行投資として考えておかなければならな いといいます。このコミュニティだから入りたい、このコミュニティの人の商品だから買いたい、と 思ってもらえるためには少なからず時間がかかります。目の前の売上ばかりに目を奪われずに、 時間をかけて信頼関係を築くことで、将来的に売上につなげていくということでしょう。

多くの中小企業に足りないものは、ファンタジーとコミュニティ。この言葉にかなり大事な要素が集 約されていました。「よりよいものをより安く」のスピリッツでは、遅かれ早かれ会社はつぶれてし まうので、日本の企業はその考え方を速くアップデートしなければなりません。

2つ目の質問が「新しい情報をチームに伝えるときに気を付けていることは?」というものです。

この質問から見えてくる相談者さんの悩みは、おそらく「なんで分かってくれないの?」という想いでしょう。

これに対し、伝える側は正しく伝えている前提で、伝える相手が2つに二分されると答えます。1つ 目が、相手が理解できていないケース、2つ目が相手が理解することを放棄しているケースです。

1つ目の、相手が理解できていないケースに関しては、基礎知識がないのは相手の課題であると いいます。確かに、そこは相手の努力不足なのか、伝える側と対等に話せる状況にいません。 「進歩しすぎた知識やテクノロジーは詐欺や宗教に見える」という言葉を引用していましたが、こ れはよくあることだなと思います。初めてオンラインサロンの存在を知ったときも、メタバースが出 てきたときも、一度は何か変なもの、怪しいものなのではないかと疑ったことでしょう。

2つ目の、理解することを放棄している場合。これはまったく頑張っていない人が頑張っている人 に対して「意識高い系ですね」と揶揄するような状態だと表現していました。理解する努力をしな い反面、自分のプライドを守ることで必死な人のことを指しています。
結果、いずれの場合もあきらめるしかないと言っていました(笑) ただ、伝える側がここで注意しなければならないのが、「人は聞き慣れない単語が2個以上続くと 聞かなくなる」という事実です。言われてみればまったくその通りだと思います。馴染みのない法 律の文章などを思い浮かべれば分かりますよね。私の場合だと、難しい読めない漢字や理解で きないワードが1つでも出てくると、放棄したくなります。

だからこそ、本当に伝えたいことがあるときには、同じ話をいろんな角度から何回もして、その話 に慣れさせることしかないのです。そして、同じ話を何回もする理由も、同時に話します。こうする ことで、何回目かにはいつの間にか話の内容が理解できるようになります。

確かに、西野さんのオンラインサロンでも、Voicyでも、具体例は異なっていても、話の本筋は大 抵一緒ということがよくあります。大事なことは何回も言う、簡単な単語にしたり例をあれこれ変え ながら、できる限り伝える努力をするということが、リーダーには必要なことなのだという学びにな りました。

リスナーさんからのたった2つの質問でしたが、ビジネス、そしてチームのリーダーに必要な答え がぎゅっと詰まった良い回でした。吸収したことを、しっかり自分の活動にも活かしていきたいと思います。

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