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"チャリ”から"自転車”へ、時代は移ろう。
高校生の下校ラッシュを見た。
夕方16時。出かけ先、いつもあまり通らない道を車で走っていた時、通りがかった高校の校門から次から次へと溢れ出るように大量の高校生が出てきた。
あまりの数の高校生に圧倒された。
高校って帰宅時間こんなに全学年かぶったっけ?とか、
部活は休みか?とか、
なんか特別時間割の日だったのかな?とか、
色々な原因が頭に浮かんだ。
が、そんなことを悠長に考えるほどの余裕はなかった。
なぜなら、そこは道がとにかく狭いのだ。
歩道は1人で歩けるほどの広さしかないうえに、ガードレールもない。
車道も対向車とギリギリすれ違える程度の幅しかない。
しかし、高校生は縦横無尽だ。
急に横断するし、ただでさえ狭い車道を自転車で走り抜けていく。
「ちょちょちょっ!あぶねぇ〜……こえ〜よぉぉぉ…」
自分が事故りそうになっているわけではないのだが、高校生の危険を顧みない行動に肝を冷やす。
ビビり倒して慎重に運転していると、ふとあることに気づいた。
今の高校生って皆んな、めちゃくちゃかっこいい自転車に乗ってませんか?
私や私の姉達の高校時代は、ママチャリが流行っていた。
椅子を低くして、ハンドルをちょっと高めにしたママチャリ。
特に男子は、ほぼ全員といっても過言ではないほど、ママチャリがちょっとかっこいいイケてる乗り物だったのだ。(私が勝手にそう感じていただけだったのか不安になったので夫にも確認。認識は間違ってなかったようです。よかった。)
私の通っていた高校はスキー部があり、その子達はトレーニングも兼ねて学校の行き帰り自転車に乗っていた。中には片道10キロを自転車で通う強者もいた。
その人達が乗る自転車はタイヤが、"これでもかっ!”というほど細く、サドルとハンドルの高さがほぼ並行。いわゆる"ロードバイク”というやつだ。
(こんなスポーティーなイカした自転車、アスリートしか乗らんだろ。)
そう思っていた。
実際にスキー部以外は大体がママチャリ。ちなみに私は、ママチャリに淡い憧れを抱きつつ、姉のお下がりのオレンジ色のフツーの自転車。結構気に入っていた。
しかし、今の高校生。
タイヤの細さこそスキー部には敵わないものの、皆それぞれにスポーティーでスタイリッシュなカッコイイ自転車に乗っているのだ。
もう"チャリ”ではない。
ちゃんと"自転車”、もしくは"バイク”と呼んだ方が相応しいかもしれない。
それにしても、なんでママチャリがあんなにイケてる乗り物だと思っていたのだろう。というか、あれの正式名称ってなんなんだ?
…と思って調べてみたら、あれ、"シティーサイクル”っていうんですね。
シティーサイクル。爽やかでいい響き。
茶色い髪を後ろで一つに結んで赤い水玉模様のワンピースを着た女の子が、ショッピングバッグにフランスパンを差し込んで自転車のカゴに入れ、青空の下颯爽と自転車で走り行く画が目の前に浮かんだ。
"シティーサイクル”といえば、"ママチャリ”よりちょっとスタイリッシュでお洒落な感じがする。でも多分、私はこれからもあれを"ママチャリ”と呼び続けるだろう。特に意味はないけど、その方が口が慣れているし、親近感も湧く気がする。
ママチャリ。やっぱ落ち着くいい響き。
とにもかくにも、高校生諸君。
安全第一で、無理のない運転を!