「資格?何それ食えるの?」~一級建築士を持っているだけの凡人がいきなり設計部になった話♯7
「へ〜!一級建築士お持ちなんですね!」
名刺に書いてるもんで、言われることが多いんです。
設計部に入ってからは言われることは減るだろうと思ったがそれほど減る訳でも無く。
あらやだ若造に見えるのかしら。←乾燥肌の30代
見た目は年相応だと思うんだけど喋り方とか落ち着きの無さが若手とよく間違われる所以なんだと思うんですよね私。(自分調べ)
ついでにここ数年、部署移動してばかりなので自分の仕事の分野の方が集まる場に行くと初心者なんですよね。
頭の上に?が見えるタイプだともよく言われます。
まぁそんな話は置いといて。
最近あまり社外交流会をおこなっていないので(昔からやってはいない)、「最近の世の中は資格社会なのかどうか」っていうのが疑問でですね。
資格を取る前は夢見ていたわけですよ。
「一級建築士になったら、なんでも出来る(気がする)!!」
そして資格を取ったら取ったで
「すごいよ!よく取ったね!将来困らないよ!」
ここまでは、あー資格を取って良かったななんてキラキラ気分でしばし過ごしていました。
ところが最近の出来事。
「資格なんて無くてもさぁ!実務でちゃんと会社に貢献してるんだからもっと給料もらってもよくない!?」
どこからとも無く聞こえる声。
私はゼネコンに勤めてるので他に多くの技術系の部署があるのですが、声の主は違う部署の上司でした。
なぜそんな話が上がったのかというと、少数精鋭の設計部のとある1人のベテランが、資格を持っていないばかりに給料が上がらず転職してしまったからのよう。
(理由は給料だけの問題じゃないんですけど。)
そこで話題に上がったのが
「資格による昇給基準が高すぎるんじゃないか?」
「資格が無くても実務ができていれば昇格させてやっていいのでは?」
ということ。
どこの会社も同じだとは思うのですが、うちの会社は昇格基準に「特定の資格の取得」を義務付けられています。
特定と言っても、一級建築士だけではありません。
例を上げるなら、二級建築士や一級施工管理技士(建・土・園)、コンクリート主任技士など。
難しい資格ではありますが、まぁこのくらいの知識がないと仕事やってられないよねってレベルのものがほとんど。
これらのどれかを取らないと昇格できませんよ~ってことで、社員はみんな仕事をしながら勉強したりしているのです。
で、そのやめてしまった方は何も資格を有しておらず何年も安い給料でやっていたのですね。
この流れは私は何も間違っていないと思ってまして。
技術者として仕事をするなら、それなりの知識と勉強する姿勢は大切です。
ましてやゼネコンなんて建築のプロでなくてはならないわけで、お国もそう言っています。
もちろん傍から聞いていただけなので、本人が頑張っていなかったとは言いませんし知りません。
加えて、一級建築士の肩書きが無いって事は設計をしても設計図書に名前が載りません。
ということは、彼らは何かあっても社会的に責任を取らなくて良いのです。
これで有資格者と給料同じでっていうのは虫のいい話だと思いませんか?
言ってる人達の中には経営に近い層もいます。
人材が足りなく苦しい現代で、藁にもすがる思いなのかもしれません。
しかし、
運転免許のない運転手のタクシーに乗りたいですか?
医師免許のない医者の手術を受けられますか?
建築士免許のない人の建てた家に住みたいと思いますか?
別に住めるし、極端だよ~と言う人は言うかもしれません。
しかし
「資格は無くても設計ばっちりプロでっせ~」
と言われてもお客さんは、
「うそやん。証明して?」
となりますよね。
「私の知識量はこのくらいで…アレを知っていて……あーでこーで……」
なんていちいち説明してられないし、よっぽどでなければ不信感は募るばかり。
というか名刺にそんな長ったらしい文章も書けないですし。
設計者は堂々と「建築士の私が設計しました」と言えることが1番良いと思ってます。
それが一番の顧客の安心・信頼ですよね。
正々堂々、儲かりますね。
さてここでタイトル回収しますと、
「食えるわ!!」
となります。
(忘れた方のために今回のタイトルは、「資格?何それ食えるの?」ダヨ!)
おあとがよろしいようで。
長くなりましたが最後に。
少し話は逸れますが、
「資格はとったもん勝ち」
なんてよく言われるけれど、私は資格を取る事ではなく
「取る過程に意味がある」
と本気で思っています。
特に一級建築士なんかは、試験のための勉強だったとしても、基礎的な知識や考え方、疑問の持ち方などありとあらゆる所で受験した事がないの方との差を感じます。
同じ業界にいて、同じ仕事をしている人の言葉ひとつ取っても、違いがわかるんですよね。
共感してくれる方いるかな?
こんなことがある度に「知識は底上げされてるんだな」と実感でき、ちょっぴりホッとしたりします。
疑問を持ったりもしたけど、やはり資格は大事なんだと再確認できました。
めでたしめでたし。
ということで、本当に最後に。
「何かを始めるのに最適なのは今だ。」
「これからの人生の中で今が一番若い。」
ってどっかのDaiGoが言ってました。
それでは。