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「BIMで残業時間を減らせたら。手戻り工事を無くそうぜ編」~一級建築士を持っているだけの凡人がいきなり設計部になった話♯13



※※本編前に※※

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それでは気合い入れて書いていきます。





以下の記事で「BIM」についてご紹介しました。
(前記事▷「時代はBIMらしい」~一級建築士を持っているだけの凡人がいきなり設計部になった話)

軽くおさらいしておくと、BIMとは1つの建設プロジェクトの情報をまるっと3Dモデルに統合し、設計から工事、管理、運用までを一気通貫でやるよ〜!というものでした。


ちょい前からシリーズ化、
近年の日本の建設業界が目指す
「残業時間短縮」 「生産性向上」
にBIMがどのように貢献できるのか

をテーマにお送りしていきます。


今回は、工事と設計に関わるお話。
「手戻り工事」とは、一回作ったものを、お金と時間をかけて泣きながら壊して作り直すというもの。
…うぅっ。
何が悲しくてそんなことをせねばならんのやら。


そんな悲劇を、BIMを使うことでどう解決できるのか。
早速議論してみましょう!




・手戻り工事が起きるわけ

先程説明したように、手戻り工事とは「1回作ったものを壊してまた作り直す」こと。
建築はゴールへ向かうための手順が大方決まっており、
「よーし外壁を先に作ろう!」
「杭は時間がかかるから1階の部屋と同時進行で!」
なんてわけにはいきません。

建物は「下から上へ」
トンネルは「手前から奥へ」
ざっくりですがそんなイメージです。

で、手戻り工事っていうのは、
「せっかく上まで作って来たのに下の作りが間違っていやがった!戻ってやり直しだ!」
ってことですね。

RPGでいうと、
「せっかくさっきのステージをクリアしたってのに鍵がないと次のステージへ進めないだと!戻ってやり直しだ!」
って感じ。


この失敗の多くは下記によるものです。


建築の「手戻り工事」の原因は主に以下のようなものがあります。

1. 設計ミス
初期の設計段階での誤りや不備が後の工事に影響を及ぼすことがあります。

2. 施工ミス
工事中に施工者が指示通りに作業を行わなかった場合、手戻りが発生することがあります。

3. 材料の不具合
使用した材料に問題があった場合、施工後に修正が必要になることがあります。

4. 変更要求
クライアントや関係者からの設計変更や追加要求があった場合、手戻り工事が必要になることがあります。

5. 法規制の変更
建築基準法や関連法規の変更に伴い、既存の工事が適合しなくなる場合があります。

6. コミュニケーション不足
設計者、施工者、クライアント間の情報共有が不十分であると、手戻りが発生する可能性が高くなります。

これらの要因が重なることで、手戻り工事が発生し、プロジェクトの進行に影響を与えることがあります。

AIが生成

ざっと目を通すと、

・検討不足
・ヒューマンエラー

が上記のミスを引き起こす根本的な原因であることが言えると思います。



・手戻り工事のデメリット

私もゼネコン社員なので、自社の現場のミスや建築ニュースでの施工ミス発覚~なんてよく目にします。
工事への影響については、小さなものから大きなものまで様々。


デメリットについて以下にあげてみましょう。

手戻り工事のデメリットは以下の通りです。

1. コストの増加
修正作業や再施工にかかる費用が発生し、予算がオーバーする可能性があります。

2. 工期の延長
手戻り工事により、全体の工期が延び、プロジェクトの納期に影響を与えることがあります。

3. 品質の低下
急いで修正を行うことで、工事の品質が低下するリスクがあります。

4. 関係者の信頼喪失
手戻りが頻発すると、クライアントや関係者の信頼を失うことにつながります。

5. モチベーションの低下
施工チームの士気が下がり、作業効率が悪化することがあります。

6. 法的問題
手戻り工事が法規制に適合しない場合、法的な問題が発生する可能性があります。

これらのデメリットは、プロジェクト全体の成功に悪影響を及ぼすため、事前の対策やコミュニケーションが重要です。

AIが生成

わかってはいましたが多いですよね。
コスト、工期、品質だけならまだしも、信頼やモチベーションなんて心にも傷を負っちゃうなんて、とんでもない代物ですね、手戻り工事っていうのは。



・BIMを使って何ができるの?

そんな先祖代々続いている「手戻り工事」。
我々は黙って発生しないことを祈るしかないのでしょうか。

ミスが起きるたび会社では、
「どうすればミスが無くなるだろうか!」
といって会議が増えまくり。

「ミスが起きないようたくさんチェックしよう!」
といって書類が増えまくり。


皆さんおわかりでしょうが、そんなことをしていては時間がいくらあっても、人がいくらいても足りません。
さらには、書類に会議にと疲れた社員がまたヤッちゃいます。


先ほど、

・検討不足
・ヒューマンエラー

が手戻り工事の根本原因であると言いました。
ヒューマンエラーについての試行錯誤(仕組み化、ロボット化っていうのはもう当たり前にわかっているのでね)は今後に持ち越すとしておいて。

検討不足の根絶には皆さんお待ちかね、BIMの出番です。



【デジタルモックアップの例】

ちょっと引っ張ってしまいましたが、意外と検討不足って多いんです。

現場:「納まりはどうなりますか?」
設計:「現場で検討して」

知ってました?
めちゃくちゃ多いんです。

これは設計=デザインの場合、形だけデンジャラスにして作りは考えてね〜っていうもの。
めちゃくちゃ多いんです。

知ってました?
デザインを考えるのは設計の仕事。
じゃあ構造を考えて材料を考えてそれ通りに作るのは?
そう、多くが現場の仕事になってしまっているんです。


BIMを使うとこの「見たまんま作って」と施工者に依頼する前に、設計者が自ら検証することができるのです。

素敵なデザインを作るだけ作ってお客様を期待させておいて、実際には作れないとか相当コストがかかるとなってしまったら…設計者は考えただけで夜も寝れませんね。

自分で確認しておけば、より現実化しやすく、お客様とも円満にいき信頼も得られますし、良いことづくしです。




やり方はいたって簡単。
BIMで作りたい3Dモデルを作成するだけ。

ほとんどの場合はBIMソフトの基本機能でできるので、ソフトの使い方を知っていて、少しのテクニックがあれば難なく作れちゃいます。
デジタルモックアップっていうらしいです。

物を作るには寸法が必要なので、今までの2D図面では角度がついたものの作成って難しかったんですね。

3Dモデルにして細かい部分の寸法がわかれば、あとは材料は何を使うかどのように組み立てるかを検討すればOK。

材質照明の当たり方周辺環境との兼ね合いなどもBIMでは表現できるので、より実物に近い物を見ながら検討を行えます。


進んでいる国なんかでは、BIMでモデルを作成すると機械が自動でその形を作ってくれるなんてこともやっています。
日本では建設業より製造業の方が進んでいるので、すでに大多数の工場ではそのようなロボットが人に変わって働いているのは皆さんも想像できるでしょう。



【シミュレーションソフトの例】

他にもBIMはアドオンソフト(付属のソフトでお金かかるやつ)を使うことで、様々なシミュレーションができます。

主なシミュレーションの種類としては、以下のようなものが挙げられます。

1.4Dシミュレーション
3次元モデルに時間軸を加え、建築物が建設されていく様子を視覚的にシミュレーションできます。これにより、工程の計画や調整、問題点の早期発見が可能になります。

2.干渉チェック
異なる専門分野のモデル(構造、設備など)を統合し、設計段階で部品同士の干渉をチェックできます。これにより、施工中の手戻りを減らし、工期短縮に繋がります。

3.構造解析
構造モデルを用いて、建築物の強度や変形を数値的に解析できます。これにより、構造設計の最適化や、地震などの外力に対する耐震性の評価が可能になります。

4.日影シミュレーション
建物の配置や周辺環境を考慮し、日照条件をシミュレーションできます。これにより、採光計画や熱負荷の予測、環境負荷の低減に役立ちます。

5.エネルギーシミュレーション
建物のエネルギー消費量を予測し、省エネ設計に役立てることができます。

6.ライフサイクルコストシミュレーション
建物の建設から解体までのライフサイクル全体を通してのコストを予測し、経済的な視点から最適な設計を検討できます。

AIが生成

すごくないですか?
やる気になりゃあこんなにいろいろなことが出来るんですよ。
やる気と…金がありゃあね。


上記にもありますが、BIMシミュレーションソフトを使うことによるメリットは、なにより視覚的にわかりやすくなるためミスを早期に発見できること。
それにより検討不足による手戻りを防止し、効率的にプロジェクトを進めることができるのですね。



私の会社はまたBIMを取り入れて日が浅いのですが、干渉チェックなんかはよくやっていてとても便利です。
具体的にいうと、意匠図・構造図・設備電気図などを3D化し重ね合わせることで、何か不具合が出ていないかチェックするものです。

例えばよくある失敗例が、
配管が多くて天井内に入らないとか。
コンクリートの梁があって扉の高さがとれないとか。
最悪の場合、パンフレットとは違う形になりお客さんに謝り倒すなんてことも。

これらを事前に発見し、解消しておく事ができるので工事もスムーズに進みます。


2Dでは見えてこなかった不具合も、3Dにするだけで意外と気付けるんです。


・まとめ

今回は、設計段階の検討不足はBIMによって解消できるよーって事をデジタルモックアップの例、シミュレーションソフトの例を上げて説明しました。
なんだか長くなっちゃいましたね。


「こんなはずじゃなかった!」
を無くすため、プロジェクトの最初に重点的に検証を行う。
フロントローディングの考え方が繋がってきましたね。
(フロントローディングについてはコチラ▷「時代はBIMらしい」~一級建築士を持っているだけの凡人がいきなり設計部になった話)

シミュレーションっていうのは私もまだ実際には経験が少ないため、今後は会社をたぶらかしながら金をせびり(語弊)ながら、いろいろやりたいと思っています。
きっと数年でもっとたくさんのシミュレーションや便利機能が出てくるんだろうな…

ということで、まだまだ残業を減らしていきますぞ!!


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また、本編に入る前に書きましたが、今回はnoteのイベントに参加して「有料記事」にしてみました。
今回の記事にもしお金を出す価値があると感じて頂けましたら、一番下のボタンから応援して頂けると嬉しいです。

有料部分に記事はありません。
(筆者がAIで生成したお礼イラストがあります。)

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!


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