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朝顔に つるべとられて もらい水
むかしむかし、ある村に、美しい朝顔の花が咲いていました。この朝顔は、村人たちの間で愛され、毎朝その美しさに感動していました。しかし、ある日、村の井戸のつるべに、朝顔が蔓(つる)を巻いてしまったのです。
ある朝、村の一人の女性が、井戸から水をくんで顔を洗おうと井戸に向かいました。しかし、井戸のつるべには、美しい朝顔の花が、蔓(つる)を巻いて咲いていました。女性は驚きましたが、急いで顔を洗いたいので、やさしく言いました。「朝顔さん、つるべに巻きつかないでください。お願いですから。」
しかし、朝顔は女性の言葉を無視し、蔓(つる)がつるべにしがみついたままでした。女性はもう一度お願いしましたが、朝顔は動こうとしませんでした。女性は仕方なく、朝顔を力づくで取ろうとしましたが、朝顔は驚くほど強力で、女性は朝顔にひっぱられて井戸に落ちてしまいました。
女性は濡れてしまい、顔を洗うこともできませんでした。そして、村人たちに助けられ、彼女の話を聞いた誰もが驚きました。人間がたった一輪の朝顔に負けてしまったのです。この屈辱的な出来事は、村の人々にとって笑い話となり、女性は「朝顔に負けた女性」として村で有名になりました。
しかし、この出来事の後、女性は朝顔に謝り、井戸のつるべに巻かれないようにお願いすることを続けました。朝顔もまた、女性の優しさに触れ、次第に心を開いていきました。そして、井戸のつるべに巻かれずに美しい花を咲かせ、村人たちに喜ばれるようになったのでした。
この物語から、優しさと謙虚さが大切であり、力だけでは解決できないこともあることを学びます。そして、朝顔もまた人間の心の温かさに触れて、変わることができることを示しています。そして、その後、村はますます平和で幸せな場所となりました。
[おしまい]