神殿の誓い-豊穣の女神を迎える夜-
神殿の空気は、重く、そしてどこか生臭かった。一年に一度、この古びた石造りの神殿に、豊穣の女神が降臨する。その儀式は、村の存亡をかけた、厳粛なものであった。
今年は、17歳の青年、アランがその役目を担うことになった。若く、瑞々しい体躯を持つ彼は、村人たちの期待を一身に背負っていた。司祭の古老、エドワードが神殿の中央に設けられた祭壇に跪き、力強い声で祈りを捧げる。
「おお、豊穣の女神様よ。この地に降り立ち、我々を祝福してください。若きアランであなたの身体に生命を宿し、この大地に豊かな実りを与えてください。」
エドワードの祈りが神殿中に響き渡ると、突如として風が吹き荒れ、祭壇の燭台が揺らめいた。そして、祭壇の上空に、薄ぼんやりと光が生まれ、それが次第に形を現していく。それは、美しき女性の姿だった。
アランは、薄布一枚の姿で神殿の中央へと歩み出た。女神は、彼の瞳を見つめ、静かに微笑んだ。彼女の肌は、月明かりに照らされた雪のように白く、髪は緑色に輝いていた。アランは、その美しさに息をのんだ。
女神は優しく微笑むと神殿の奥に用意された部屋にアランを誘うとその扉が閉じられた。アランはまだ女を知らない。そして、この儀式のために体を鍛え、様々な薬草を服用しているのだ。女神は着ている薄布を脱ぎ、その魅力的な姿をアランに見せる。アランは自分の体が熱くなるのを感じた。女神は優しく微笑むと、アランの薄布を脱がし、二人はゆっくりと部屋のベッドへと横たわる。儀式が始まったのだ。
儀式は、10日間続く。毎朝、疲労困憊したアランは神殿から運び出され、温かい湯につかり、栄養価の高い食事を与えられる。そして夜が訪れると、再び神殿へと戻り、女神と対面する。
日々、アランの体は衰弱していき、女神の体は次第に生命力に満ちていった。8日目、ついにその時が来た。その日の何度目かの行為でアランの意識が遠のき、大きく呻きながら気をやって女神の体内に命の元を放った。女神もアランと同時に大声で叫びながら気をやるとその身体に生命の輝きが宿るのを感じた。
二人は荒い息をつきながら、儀式の余韻に浸っていたが、女神から儀式の成功を伝えられるとアランは安堵した。
儀式の残り期間は目的を果たしたので、アランと女神は、互いに楽しむかのように儀式を行った。貪欲に行為を求め、何度も気をやった。
そして、儀式の日程が終了すると、司祭の古老、エドワードが女神を天に帰すべく祈りを行った。祭壇の上にいる女神は司祭の後ろで控えているアランと見つめ合うと女神は優しく微笑んだ。
エドワードの祈りが終わると、神殿は再び静寂に包まれた。そして、ゆっくりと、女神の姿が薄れていく。やがて、彼女は光となり、天へと昇っていった。
神殿から解放されたアランは、村人たちに囲まれ、英雄として迎えられた。儀式で疲労した彼は、自宅のベッドに横たわりながら、天井を見つめていた。10日間の記憶は、まるで夢のようだった。女神の美しさ、彼女の温もり、そして生命を宿す行為の感覚。それは、彼にとって忘れられない体験となった。
秋が訪れ、村は豊穣の季節を迎えた。大地は、実りの色で染まり、人々の顔には笑顔が溢れていた。それは、女神の加護がもたらした奇跡だった。アランは、村の果樹園で、熟したリンゴを手にした。彼は、女神に感謝の気持ちを込めて、空を見上げた。
「女神様、ありがとうございました」
アランの言葉が、風に乗って天へと届けられた。
[おしまい]