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③日本語とタイ語でダブルリミテッドになりかけた話 -大学編-

この記事は、②日本語とタイ語でダブルリミテッドになりかけた話 -中学高校編- の続編です。

無事に大学受験を終え、新生活が始まりました。
時間的にも精神的にも余裕がでてきた私は、長らく放置していたタイ語を鍛え直すことにします。


本題に入る前に、まず先に今の私のタイ語レベルについて記述しておきます。

この記事で幼児レベルで止まっていたタイ語力を大学生の時に挽回したお話を書くのですが、「挽回した」とはいえ私のタイ語は到底ネイティブと言えるものではありません。故にタイ語ネイティブと名乗ることはしていません。

先ずはライティング能力。
例えばの話。ダブルリミテッドについて書いている自分のnoteの記事をタイ語でも書けるか?と聞かれたら出来ると答えます。

ただ、読み物として面白いと思ってもらえるようなクオリティでタイ語で書けるか?と聞かれたら答えはNOです。

読んで意味が通るタイ語は書ける。テストで採点されたら丸をもらえるであろうタイ語は書ける。でも読ませる文章はタイ語では書けない

スピーキング力の方はどうでしょう。
基本的にはタイの人からタイ人だと思われます
ただ、長く話したり難しい話をし始めたりすると「あれ、海外長かった?」「ハーフ?」と言われることが多いです。外国人に対して向けられる「タイ語上手だね。」は言われないので、きっとタイ人判定はされているのでしょう。

どのポイントで「タイ語が上手な外国人」ではなく「海外が長かったタイ人」「ハーフ」と思われているのか分かりません。言葉のニュアンスや発音なのか、または言葉とは関係のない仕草や見た目等の外的要因でタイ人判定されているのでしょうか。私も気になっています。

ということで、母語は「日本語」です。この世に生まれて初めて話せるようになった言語はタイ語だったけど、生きてるうちに日本語使いになりました。
そんな感じのタイ語力ですが、自分のタイ語はまだまだ伸びしろがあると思っています。トレーニングを積めば更にネイティブに近づけることができるしょう。

でも、私はその努力をするのを辞めています

だって、現状に満足しているから。
これ以上タイ語学習に時間を費やすよりも、同じ語学学習であれば錆びついた英語力のブラッシュアップや中国語を始めることの方に時間を割きたいと思うのです。(と言いつつ、一向に手を付けられていないのですが…)
・・・
さて、そろそろ本題に入ります。


長らく放置してきたタイ語と向き合う


無事大学に入学し新生活が落ち着いてきた頃、ふと思う。

「自分はいつかタイに帰るつもりでいるのに、この幼児レベルのタイ語はいかがなものか」と。

そう、私は小中高大と日本生活が長かったのに、母親の洗脳教育のせいか日本は仮住まいという感覚でいて、いつか頃合いを見計らってタイに帰りたいと思っていた。参考記事:何で日本からタイに帰ってきたか

中高の授業や受験に関係のないタイ語は長らく放置されており、かなり心もとない状態だった。という訳で、大学の講義やバイトの合間にタイ語の勉強を始めることにしたのだ。

文字通り中途半端なタイ語力


いざタイ語を勉強すると言っても、どこから始めれば良いのか分からない。
とりあえずタイ語のグループレッスンを探し参加してみる。

初級レベルのタイ語授業。
…合わない。とてつもなく合わない。文字はすっかり忘れてしまっていたが発音は一丁前に出来るし初級であれば知っている単語も多いのでクラスでめちゃくちゃ浮く。「何故既にタイ語が出来る人がこんなところに?」という好奇とも冷淡ともとれる視線を浴びる。冷やかしに見えてもおかしくなかったかもしれない。

ただ、授業に出てくる全ての単語を知っていたかというとそうではなかった。私の語彙力はあくまでも家で親が使う単語に限られていたので、「それだけ発音できるのに何故こんな初級単語を知らない?」という現象や、逆に「何故そんなマイナーな単語を知っている?」という現象が多々発生した。

どこまで出来て、どこからが出来ないか、を明確に人に説明するのが難しかった。というか、そういう風に区切るのはそもそも無理な話なのかもしれない。

とにかく、皆で足並みを揃えて…というグループレッスンは私向きではないことが分かった。でもマンツーマンレッスンも高いからなしだった。

そんなこんなで語学学校で学ぶのは何か違う気がして、結局独学で学んでみることにした。

とにかく書く、読む、聞く


主に使ったのは、タイ文字アルファベット本、タイ語で書かれた読み物、タイのドラマだった。説明下手な母は全くあてにならなかった。

ゴーガイ(日本語でいう「あいうえお」の“あ”)からやり直した。正直かなり地味で地道な勉強法だった。

リスニング力を鍛えるため、また、活字を読むだけではつかめない生きたタイ語に触れるためにタイのドラマもたくさん見た。
どの作品を観てもまたタイドラマお決まりのパターンかよと思いつつ、私の目的はストーリーを楽しむことではなくタイ語を聞くことと言い聞かせとにかく観まくった。おかげでタイの俳優、芸能人やタイ文化もたくさん知れた。

ほぼ忘れているとはいえ初言語がタイ語であるのは大きすぎるアドバンテージであった。やればやるだけするすると頭に入ってくる
文字が読めるようになると今まで耳で聞いて知っていた単語の整合性もとれるようになってきて相乗効果で更に上達が加速する。

欠けたパズルのピースを拾い上げ、一つずつはめ込んで完成させていく感覚だった。

こうして大学生活の四年間で、タイで仕事ができるレベルのタイ語能力まで引き上げ、新卒でタイで就職した。めでたしめでたし。


別にダブルリミテッドでもいいと思う

もし小学4年生の時に、塾に通い始めず自分の日本語力にも特に疑問を抱かずに生きていた世界線があったとしたら、どうなっていたのだろうと考える。きっと中学受験で挫折を味わわずに済んだだろうから、もっとお気楽な人生を送れていたのかもしれない。間違いなくこんなに勉強を頑張ることはなかっただろう。

ダブルリミテッドは計らずも免れた、ではダブルリミテッドだったら人生困っていたのか?

すごく無責任なことを言うが、別にダブルリミテッドでも良いんじゃないかと思ったりする。本人が不自由を感じず楽しく生きているのなら。

私は結果的にダブルリミテッドにはならなかったため、彼/彼女らの心境は分かり得ないが、自分の子供が言語習得に興味がないようだったら、学習するよう無理強いをしたいとは思わない。
もし本人が悩んでいたり困っていたりした際には手を差し伸べることができる存在ではありたいけど。

ー おしまい ー

駆け足になりましたが、以上で ”ダブルリミテッドになりかけた話” は完結です。
長らく読んでいただきありがとうございました。

①日本語とタイ語でダブルリミテッドになりかけた話 -小学校編-
②日本語とタイ語でダブルリミテッドになりかけた話 -中学高校編-


余談

訳あって作中一切登場させていないのですが、私には弟がいます。同じく日泰ハーフでずっと一緒に生活していましたが、私とはまた全く違うタイプの人間。

勉強全般苦手で日本語もタイ語も△、英語なんて以ての外。本人の自己評価は分かりませんが(恐らく自覚なし)、姉から見た弟はまさに「ダブルリミット」であるように見えます。こんなこと言って申し訳ないけど、ね。
タイ語よりは日本語の方ができるけど、その日本語も正直何を伝えようとしているのか理解に苦しむことがよくある。

同じ家で育った日泰ハーフ兄弟と言えど全く違うので、本当にその人次第、個人差によるところが大きいことなんだと実感します。

弟の話はまた今度気が向いた時にでも・・

ー 本当におしまい ー

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