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便乗 #聞かせてあげたい建築の名聞


どーも、おっちーです。

#教科書に載せたい建築の名文
というハッシュタグを見つけ、一つ思い出したので単発ですが書かせていただきます。

はじめに

このハッシュタグの前提で「建築の義務教育の為の教科書」とあったのですが、私の立場的には建築を義務教育にすることはまあ無いとしても賛同しません。(もし実現可能性があればむしろ反対の立場に回るでしょう)
その理由はここでは書きません。では教科書とは別に「13歳のハローワーク」の様に建築の仕事や仕組みを学ぶ様な本が登場するとした時。
この言葉はぜひ載せていただきたいなと思い紹介させていただきます。

注意事項

注意事項ですが、まず今回紹介するものは書籍などで「名文化」されたものではありません。むしろ伝聞的に語り注がれている言葉で多少の脚色は伝聞の過程で盛り込まれていると思います。その時点でレギュレーション違反気味ではありますが敢えて
「建築の名聞」

として紹介できればと思います。 前置きが長くなりましたが早速紹介します。この言葉を述べたのは下の建築家です。

建築家 吉阪隆正 (1917ー1980)
早稲田大学理工学部建築学科を卒業、その後助手として在籍しながらル・コルビジュエのアトリエに勤めます。帰国後は「U研究室」を設立、早稲田大学の教授も勤めながら多くの建築を生み出した建築家です。

代表的な作品として、いまも現存する八王子の大学セミナーハウス

またベネチアビエンナーレ日本館は建物のみならず図面のドローイングの密度や圧倒的な世界観を持ち、建築の図面を超えたある種の絵画作品の様な迫力さえあります。

そんな吉阪先生が大学の卒業設計の講評会、その締めとして総評を行なった時に仰られた言葉をご紹介します。

卒業設計で一等になった人は・・・多分、いい建築家にはなれない

・・・・・当然自分はその時の現場に居合わせていたわけでは無いのですが、どんな空気となったかはある程度推測できます。

吉阪先生は建築の作品とは別に様々な建築の言説を発表されてます。また建築よりも山の方が好きでは無いかと思うほど山岳や自然を愛した人物です。そして上の画像を見るとわかる様に歴史の教科書にも出てきそうな独特な風貌ゆえに「仙人」と呼ばれていたと言います。
(教授にもかかわらず大学にほとんど来ないレアモンだったそうです。)

そんな教授の講評の場を凍らせるかの様なこの一言。
私は今になって様々な意味が込められているなと感じています。

○誰もがいい建築家になれる可能性があることを含めた言葉

大学の建築学科は良くも悪くも閉鎖的で特異な空間です。実際に存在しない計画を「課題」と評して取り組み、それに対する教授や先輩の評価、言葉に一喜一憂する世界です。
そんな世界で一番となることはいい建築家になることも保証するものでは無い。逆を言えば一番にならなかった人にだっていい建築家になる可能性がある。学生全体に向けた「総評らしい」一面がある言葉だと思います。

○書を捨てて地に足をつけよ

吉阪先生は助手をしながらコルビジュエのアトリエに勤め「世界の建築」を学び、日本で活動をしてきました。また先ほども述べた様に山岳を愛し、本当に学ぶべきは学校の外にあることを伝えたかったのだと思います。

私自身もですが、大学の課題の評価は万年「Bマイナス」「お前の様な奴が建築の世界にいる事は社会の為に良く無い」と罵られていましたが、不思議な事に、この世界に6年も勤めてます。社会に悪影響を与えて本当に申し訳ないと思いながら生活しています。

もし教科書に載せるなら

以上で紹介は終了しますが、もしこのハッシュタグの定義に習って教科書ができたとしたらこの言葉は最後に載せて欲しいですね、
教育を終えたときにこの言葉を見て、建築設計をする事を諦めずに自信を取り戻すきっかけになる。教授におだてられて評価されてきた人がいたら、その鼻を綺麗にへし折るパワーワードだと思います。

吉阪先生は非常に言葉選びに気を使われた方だと言います。だからこそ未来に羽ばたく人たちみんなに向けて、誰もが奮い立つ、そんな言葉として発言されたと思います。 
建築は学校へ行こうが働こうが一生勉強です。それを改めて思い出させる一言だと思います。


ではでは


動画も含め、建築を「伝える」「教える」コンテンツ、場を作る事を目標としております。よろしくお願いします。