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ケーキを買って帰るって。
宮近くんのお誕生日、あと1時間半で終わっちゃう。今日は幸せがたくさんあったから、未来の私と他の誰かにおすそわけしようと思う。
赤い服を着て、臙脂色のアイシャドウでキラキラさせて、赤いハンカチと手帳をデスクに置いてお仕事をした。
電話に出た時、いつもよりちょっと活舌よく話せた気がする。いつもちょっとイラっとしちゃう同僚にも、今日は優しくできた気がする。
帰り道には、ちゃかまるを読んだ。
「そんな中」だって、宮近くんの誕生日は特別な日に決まっているでしょう?「そんな中」だから、いつもと同じように、いつも以上にお祝いしたくなっちゃうなんて当然でしょう?と、優しい宮近くんにすこし泣いた。「大事な宝物」「最高のプレゼント」と言ってくれて嬉しかった。嬉しすぎて堪らなくなって、またすこし泣いた。
お家に帰る前に、ショッピングセンターに寄ってケーキを買うことにした。
「宮近くんのお誕生日」幸せとか好きが膨らみすぎて、私だけじゃ溢しちゃいそうだったから、家族4人分買って帰ろうと思った。ショーケースを見ながら、「弟はチョコが好き、お母さんはショートケーキか栗がいいかな、お父さんはチーズケーキがいいかも、私は残ったやつでいいや。」とか考えながら、じっくり選んだ。
箱が斜めにならないように、スキップしたい気持ちを抑えてゆっくり歩いた。「喜んでくれるかな、笑ってくれるかな。」お家に帰るのがこんなに楽しみなの、久しぶりだった。
子どもの頃、なんでもない日にお父さんがケーキを買って帰って来てくれたとき、こんな気持ちだったのかな。単身赴任していたお父さんが、帰ってくる度にお土産を買ってきてくれてたのも、こんな気持ちだったのかな。何かいいことや嬉しいことがあった帰り道、たまたまケーキ屋さんを見かけて、「これが好きかな、あれが好きかな。」「喜んでくれるかな、笑ってくれるかな。」って選んでくれていたのかな。あぁ、あの時「おかえり!今日なんかいいことあったの?」って聞けばよかった。お母さんに「また無駄遣いして」って怒られてばかりだったけど、きっと、無駄遣いとかじゃなかったんだよね。幸せな気持ちをおすそわけしたくて、その為のケーキならプライスレスだったんだよね。きっとね。
インスタライブを見ながら、家族でケーキを食べた。どこかで掛け違えたボタンはなかなか簡単には戻らない。だけど、いつかまたあの日のように笑えたらな。今日のところは大好きな宮近くんが京本会のみんなに囲まれてとっても楽しそうな姿を見て、いっぱい笑い声を響かせてみた。
2023.09.22 choro