2018/08/23 大切な記憶を共有しているということ
6:44
病室はいつも同じ匂いがする。何の匂いなのかは分からない。
5時過ぎに目が覚めて、ビッケの散歩をしてから身支度をする。
ふっと、その匂いがした。家にいるのに。
ビッケにご飯をあげて、たっぷりの余裕を持って、電車の時間の35分前に車で家を出る。
8:46
特急わかしおで東京に向かう。無事に乗れた。やるべきことをすべてやって。
やればできるじゃん。
今までいかに亮くんに甘えてたのかと、ひとり恥ずかしくなった。
18:30
今日はよく仕事をした。仕事復帰だ。
東京駅。丸ノ内線を降りて、京葉線ホームに向かって通路を歩く。声が聞きたい。声が聞きたい。声が聞きたい。
この時間ならまだ、ご両親が病室にいるかもしれない。義父に電話をかける。コール2回、3回、4回。義父が出た。挨拶をして早々に「亮くんどうですか?」と聞く。「良いよ」。
先生がいらして、「自力でトイレに行きたい」という会話をしたこと。透析が本当に疲れて辛いようだ、と。亮くんの声が聞きたい。言い出せずに、「あとでまた電話をするから」に「わかりました、ありがとうございます」と電話を切った。
声が聞きたい。亮くんの声が聞きたい。自分の声が内側で大きく響いている。そのエネルギーが体を動かしている。
明日は金曜日。透析の日だ。また「本当に疲れて辛い」亮くんがそこにいるのだろう。
私がいることが亮くんにとって良いことなのか、わからなくなる。明日は行かずに透析の無い土曜日のほうがいいんじゃ。そんな考えもチラつく。
19:45
家に帰るまで不安だ。
万が一ビッケに何かあったら、その時は自分が崩壊するんじゃないかと割と本気で思う。
それほどに、ビッケが支えになっている。
駅に着いた。早く帰ろう。
20:56
亮くんは、ずっと寂しかったんじゃないだろうか。
100%在宅ワークの亮くん。私は、週に数回は外出することが多い。今年は特に出張も多くて、直近の7月なんて、1/3は家にいなかったかもしれない。
この家にビッケと2人でいると、こんなにも寂しいんだね。こんなこと今までなかったから、全然分かってなかったよ。想像力もなくて、本当にごめんね。
明日、たとえ亮くんが透析で疲れていようと関係ない。会いに行く。
もう、寂しい思いはさせたくない。
21:20
ご両親から電話がある。
亮くんが一瞬でも靴を履いて立ったらしい!涙
(良い方のリハビリ用靴を買っておいて良かった!と、絶賛を受ける)
そして、亮くんがあの日のことを話したと。
サーフィンから戻り、私に電話をし、そして「体の中がバキバキで体が冷えたからかと思ってシャワーした」こと。あの日の記憶はたぶん無くなっていると聞いていたから、ものすごく驚いた。
そしてボーナス。結婚式の場所を、「軽井沢の石の教会」と、言えたらしい。嬉しい!
大切な記憶を共有しているということが、いかに尊く、いかに有り難いことなのかに気がついた。