心が宿るLovécoの造花/テキスタイルデザイン「message」の話
布・生地の通販サイトnunocotofabricさんより発売中のテキスタイル「message」は、日常生活の中でふっとわいてくる感謝の思いを、
一輪の花にこめて贈ろうとするような気持ちをバラの花で表現したデザインです。
デザイン制作がスタートしたのは母の日の3か月前。
母の日に贈るプレゼントを検索していた際、見つけたのがB印MARKETです。
ビームススタッフの皆さんがセレクトした商品を、ご自身のエピソードを交えながら紹介されているサイト。その中で母の日ギフトを紹介されている松下圭さんの記事が「message」のコンセプトを決めました。
松下さんのお話の中にあった
「仕事終わりに近所の駅で花束を買って」
に松下さんの温かいお人柄、お母さんへの思いやりが滲み出ていて、
記事を読みながら良い息子さんだなぁ〜と感動しました。
と同時に、こちらのエピソードをもとに、人がお花に込める感謝の気持ちを表現してみようとデザインの制作を始めました。
それも、母の日や記念日などの特別な日ではなくて、仕事終わりに駅でちょっと買って帰るような、ささやかな感謝。その思いを、 一輪の花にこめて贈ろうとするような、ささやかで温かいデザイン。
それなら通年使えるデザインになるのでは?と考えました。
母の日といえばカーネーションですが、「ありがとう」を伝える感謝の意味の花言葉を持つ花は様々。今回はピンクのバラをチョイスし制作を進めます。
『母の日ではない日に、仕事終わりに駅前の花屋さんで目にした一輪のバラを購入。 これから母に渡しに行こうと街路を歩いている。』
そんな情景をイメージしながら、花屋さんでバラを買ってデッサンしたり、
バラをどのような角度で描いたら美しく見えるのか、
本やネットで調べたり。
インプットとアウトプットを繰り返します。
そんな時、一輪の造花に出会いました。
Lovéco(ロヴェコ)のバラです。
こちらは洋服やインテリアなどに用いられる生地から作られたサスティナブルフラワー。裁断後に余った生地や、洋服として使われることのない残反が再生されています。
お花という形で体現されているブランドの理念。品物を実際に購入し観察してみると、残反による花びらは、手仕事だけが持ち得る、血の通った厚みがあり、その素朴な輪郭も、生花とは違った人間らしさを感じました。
ではLovècoのバラをスケッチして構図を探ります。
クロッキーから導き出した構図で写真を撮り、資料を作成します。
続いて資料と実物を観察しながらデッサンします。
テキスタイルデザインに起こすにあたり、模様のバリエーションをつける意味で、つぼみの形も加えることにしました。
こちらは花屋さんの切り花からデッサンしました。
ではテキスタイルデザインへ起こしていきます。
今回のコンセプトにある「日常生活の中でふっとわいてくる感謝の思い」
を表現するために、モチーフを穏やかに、揺れ動くように構成しました。
その動きを演出するために、花びらや葉っぱも加えています。
そして要所要所につぼみを配置し、全体の動きを引き締めました。
「人や物を大切にする」というLovècoのブランドのテーマと、職人さんの心が通った手仕事に後押しされ、テキスタイルデザイン「message」が生まれました。ものづくりの姿勢を私に教えてくださったLovècoの皆様には心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
私もデザインを通して、現代社会に良い影響をもたらすことができるよう、今の自分にできることから1つ1つ積み重ねていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!また次のデザインでお会いしましょう!