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この夏、忘れてはならない「デング熱」

 今年の夏は、蚊の大量発生が懸念されています。そこで気になるのが蚊媒介感染症です。本格的な蚊の季節を迎えた今、その動向を調べてみました。

デング熱、前年同期の3倍近くに

 四類感染症の蚊媒介感染症について、2024年第26週(6月24~30日)までの累積届出数を見ると、デング熱が96件と突出していました(表1)。昨年1年間の届出数が175件ですから、今年は半年間で54%に達しています。

表1 四類感染症である蚊媒介感染症の動向(数字は累積届出数)

 半年で半分越えですからそんなにも増えていないように思えますが、月ごとの推移(図1)を見るとちょっと心配な状況が浮かんできます。2023年は6月までの届出数が35件で、年間の20%に過ぎなかったのです。同じ期間で比べると、今年(96件)は昨年(35件)の3倍近くになっています。

図1 月ごとに見たデング熱の届け出数の推移(7月は14日まで)

国内感染例はゼロ、96例は全て海外感染例

 幸い、96例の感染地域を見ると、全ての症例が海外で感染した輸入感染例でした。国内感染例はゼロです。

 とはいえ、輸入感染例の報告が全国から寄せられていることは留意すべきでしょう。累積患者数を都道府県別に見ると、東京都が28人と最も多く、愛知県が10人、神奈川県が9人、埼玉県と千葉県が5人ずつでした。これに大阪府(4人)、兵庫県(4人)、福岡県(4人)、京都府(3人)が続いています。報告がある自治体は、27都道府県です。昨年は7月2日までに12都府県でしたから、倍以上に広がっています。

写真1 ヒトスジシマカ(出典:CDC/ James Gathany)

 日本では、沖縄地方から東北地方まで、デング熱を媒介するヒトスジシマカの生息が確認されています。今や北限は青森県にまで達しているようです。2014年に162人もの国内感染例があったことを記憶している人は、多いに違いありません。国内感染を防ぐためにも、引き続き蚊の対策を全国規模で進めなければなりません。


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